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南の風刃 最強の劣化コピー  作者: 金雀和博
2/6

朱雀の血筋

新規作成で書かないと駄目ですね…

一度書いたの全部消えちゃいましたし



天界と言うから天使が空飛んでたり大地が雲の上とかだったりするのかななんて思ってたが意外と普通な場所だった


未来都市と言えば良いのだろうか車が飛んだりしてる近未来みたいな町並み

円柱状な建物が多くある

 

ただ唯一驚いてもいいところは人も普通に飛んでるということだろうか

ちなみに天使ではない

羽なんか生えてない普通な人間が空飛んでる

機械をつけてもいない

人間というより天界人という天界に住んでる人間らしいが


天界人は人より優れた能力を持つものが多いらしい

道中父火人が話してくれた

魔力、天界人の誰もが使える特殊な力

その魔力を元に湊の特殊な能力は発揮されていた


ちなみに人間にも魔力は宿っているホントにごくわずかだがまれに巨大な魔力をもって生まれる人間もいるらしいが


火人に導かれ神蘿はある場所へ連れてこられていた

城…のように見えなくもない大きな…学校?のような所だった

周辺のグラウンドや他の建物も多く敷地内はドーム球場十個分くらいはありそうな土地だった


門の立て札を見ると麒麟寺学園と書いていた

やはり学校のようだ


「ちょうど今は4月の初めで新学期に入るところだ。シン、ここに転校するんだ。中等部二年生としてな」

「ここで魔力について学べるのか…」

「ああそうだ。しかも天界軍入隊率NO1の学園だからなかなかレベルが高いぞ」

「天界軍…軍隊か。輩出率NO1なら相当厳しそうだな。何もわからない俺が二年からついていけるのだろうか…」

 

別に最強になろうとか思ってるわけでもなくてただ魔力について学びたいというだけの神蘿にとっては少し荷が重そうな場所だ

 

しかも同級生はすでに一年の学習を終えているわけだしその時点で差はでかいだろう


「安心しろ。優秀な家庭教師もつけてやるし中等部ならまだそこまで厳しくはない。外部生も入ってくる本校からが本番なところもあるからな」

そう言って神蘿の頭をくしゃくしゃなでる


「だが普通一学年からじゃないのか」

「一年なんてたかが知れた授業しかしてないから大丈夫だ。ここを卒業した俺が言うんだ間違いない!」

そうは言っても何もかもわからない神蘿が不安に思うのは当然だ


「…というかなんの力もない俺をよく転校手続きできたな」

「ん…?まあ、な。俺の持つコネや人脈をフル活用したからな」

「…え」

コネに人脈?

もしや神蘿の父親美波火人はとてつもなく偉く立場の高い人物なのではないだろうか


「さっきのワープゾーンからなら人間界の家から通えるし楽だろと思ってここを選んだんだ父の母校をな」

「…まあ確かに通うのは楽そうだな」

「ただ無理はするなよ…お前が望んだから一番いいここを選んだが前にも行った通りお前には才能がないんだ。無理だと思えばすぐに人間界の学校に戻ったっていい」

子の想いは尊重するが父親としてはこの道に進んでほしくはないんだろうとひしひしと伝わる

とはいえ軍に入るつもりはないが


「…うん…ありがとう」

「ただ中等部くらいなら大丈夫だとは思うがな。才能はないとは言ったがお前には強力な魔力を内に感じるしな」

「…強力な魔力?」

「ああ。出力だけなら相当なものだと思うぞ。それを使いこなす才能がないだけでな」


「使いこなす…才能…か」

自分の手を見る

はっきし言って自分では何もわからない

ただそれが本当なら…今度は守れるだろうか…


「あ、今の中学から転校するならルミ達に説明しないとな…」



それから数日

ついに始まったのだ麒麟寺学園新学期が


数多くの生徒達が通学してくる

その中に混じっている三人の生徒

赤髪短髪の天パで背丈の低い少年と逆に背丈が高く制服越しからもわかるほどのムキムキの坊主頭にタレ目でかなり猫背の黒髪の少年だ


天パは北斗淳平ほくとじゅんぺい

ムキムキは片栗小太郎かたくりこたろう

あだ名はかたくりこ

タレ目は五十嶋延吉いそしまのぶよし


「あ~あもう新学期かよ春休み短かったなー」

あくびしながらボヤく北斗

「ま、気持ちはわかるんやけどぺーさん今年は頑張らねえと留年間違いなしやぞ」

と片栗

「キヒヒヒまったくだぜ。でもよぉかたくりこ、淳平は頑張ろうが才能ねえから同じことだぜぇ?」

と気味の悪い笑い方をする五十嶋

「うるせーぞ雑魚どもオレっちはなあ将来の天界軍を背負って立つ男だぞ。つまり未来の天界四将軍だな」

天界四将軍とは天界軍最高戦力かつ最高幹部の四人の事だ

立場状の上は総司令などがいるが軍最強の者であることに偽りはない


「きーひっひー!昨年の成績ドベに近かった奴がな~にほざいてんだぁ?」

「オレっちの実力は授業なんかじゃ測れんのだよ」

「いやいや実技もドベに近かったやろ」

自身は満々だが二人の友達は全否定な態度に不満そうな表情を浮かべる北斗


「ちっ。見てろよ〜今年のオレっちの目標は南城春人と憎き生徒会長を実力でぶっ飛ばすことだからな。まあ未来の四将軍としては当然の目標だな」

そんな北斗の発言に二人はというと…

「ぶっ、ギャハハハ〜!」「きーひっひー!」

腹抱えて大笑いときた

「てめーらなにがおかしいんだこんちくしょう!」

「そら笑うわ。なーんで成績ドベ近くのやつが学年トップの南城に本校進学せず直接天界軍入隊がすでに決定してる生徒会長を倒せるんや」

「そうそうもう少し現実的な目標でも上げろってっこったキヒヒヒ」

目標の相手がそんな雲の上レベルの相手なら言われるのも仕方ないのかもしれない


そんな馬鹿笑いしてる声に近くを歩いてる女の子がため息まじりに一言

「うるさい連中…」


三人を追い越してツカツカ歩き去っていく

そんな彼女の存在に気づいた北斗が嬉しそうに

「おっ!ゆかりん!おっすおっす!」

無視して歩きつづける

そんな彼女の名は水無瀬みなせゆかりという

眼鏡をかけた茶髪のおさげ頭

ダウナーっぽい雰囲気をしてるがとても可愛らしい女の子だ

胸など出るとこ出ていてスタイルがいい


「嫌われてんなぺーさん」

「恥ずかしがってるだけだろ。く〜かわいいのお」

「頭お花畑な奴ぅ~。ま、かわいいのは否定しねぇがなキヒヒヒ」


水無瀬の歩きペースに合わせて速歩きしだす北斗、それにつられてほか二人も歩く

「一緒に登校しようぜゆかりーん」

「嫌よ」

一蹴される

そんな様子を笑う二人


校舎が見えてくると突然何か思い出したかのように片栗が

「あ、そうそう知ってるか?なんか今年人間界からの転校生が入ってくるらしいぜワイらの学年にさ」

すると常に無視していた水無瀬の足が止まる


北斗が耳ほじり興味なさそうに

「人間界の〜?なんでまた」

「知らんよ。なんかお偉いさんのコネだかで」

「ちっ親の七光り野郎か気に入らねえ」

「そっちで教育受けたわけでもない奴がいきなりここ入ってくるってのも変な話だよな~だったら一年からやりゃええのに」


「事情でもあるんでしょ」

水無瀬が話に入ってきた

「まあ詳しくは私も聞いてないけど」

「ん?ゆかりん知ってんのそいつのこと」

「会ったことはないわ。ただその子の親とうちの親が仲良くてね」

「ふーん」

「そのせいか私の許嫁みたいでね」



「は?」


「はああああああああ!?」

水無瀬の衝撃発言に大騒ぎした北斗だった


長い始業式が終わりクラスの発表が行われた

先ほどの三人に水無瀬、そして神蘿はAクラス

だった


そのAクラスの教室内

普通な中学校と比べると教室3つ分くらいでかい

黒板はなくどこからともなくヴィジョンが映し出されてその映像に文字を書いたりもできる

ちなみに電源コードなどはないため機械によって作られたものではない

魔力で作り出されたものなのかも


教室内はガヤガヤ騒がしい

その中で黙って座っている神蘿に水無瀬


女子生徒達がヒソヒソしている

「ね、ねえあの人めちゃくちゃカッコよくない?」「ほ、ホントね…アイドルかなにかなのかな?」

神蘿の容姿に騒いでいるようだ

そんな女子達の様子に気づいた北斗が見る

「見覚えねえ奴だな。ってことはあんにゃろうがゆかりんの…」

歯ぎしりしてイライラする


すると騒いでいる生徒達が黙るほどの大きな音を立ててドアが開く

そして一人の女性が入ってくる

黒髪ロングのモデル体型をした綺麗な女性

だが眉間にシワを立てて怖そうな表情をしてる


「聞け貴様ら!私はこのクラスを受け持つ伊豆木穂希いずきほまれだ!これからグラウンドで授業を行う!来い!」

そう告げると教室内を出る

そんな先生に一人の生徒が

「ちょっ、ちょっと先生!」

「なんだ聞こえなかったのか?」

「い、いえただクラス替えしたばかりなんだし自己紹介とかじゃ」

「名前なら名乗ったろ」

「先生じゃなくて俺らのですよ」


ため息をつく伊豆木

「くだらん」

「えっ?」

「そんなくだらん事に貴重な授業時間を使えるか。そんなことは個人個人で勝手にしろ。それにここは仲良しこよしになるための学園ではない。むしろクラスメイトはライバルなのだからな」

「えええ…」

「わかったら全員集合しろ!」

見た目だけでなくホントに怖そうな先生だった


Aクラス生徒全員がグラウンドに集合すると

「よし、まずは一対一で軽く組手をしてもらう。相手はこちらで決め」

「ちょっといいっすか先生〜」

北斗が手を上げて話に割り込む

「ん?貴様は…」

伊豆木はヴィジョンを映し出し生徒の名前を調べようとする

「あ、北斗淳平っす」

「それで?」

「組手ならこっちで相手選んでもいいっすか」

「…まあ構わんが」

「なら」

北斗は神蘿の事を指差す

「てめえだ親の七光り野郎」

少しざわつく

「七光り?」「あーなんか聞いた気が」「何あいつ」


「は〜ぺーさんの奴…」

「あのバカ…」

呆れる片栗と水無瀬


「ご指名だが…どうする?美波神蘿」

神蘿の事は調べずとも名前を言い当てた

やはり教師内でも有名なのか

(別に誰が相手でも勝ち目などないしな…)

そうネガティブに考える神蘿

「…わかりました」

「よし。なら始めろ」


二人は前に出る

そして互いに構えて…

「行くぜ七光り野郎!」


あっさり決着はついた

ものの数分で伊豆木のストップが入り組手は終わった

結果は…神蘿の惨敗

北斗にまともに傷一つつけられず奴の電撃技であっさりノックアウトしたのだ


「よっわ〜なんだこいつ」

そんな神蘿を見下ろしてから

「ぷ、くはは。あーっはっはっは〜!弱すぎだろ!ガチで親がすげえだけの無能じゃん!」

大声で馬鹿笑い


この態度いかがなものか…

相手は魔力を使うことには初心者みたいなものとわかっているはず

使えるものと使えないものの差はでかい

大人と子供、いやそれ以上の差がつく


一部賛同して笑うものもわずかにいたがほとんどの者は北斗にドン引きだった

友達の片栗達ですら

「さすがにねーわぺーさんよ」

「まああんにゃろうが気に入らねえのはわかるがさすがに淳平の奴みっともねえよなぁ~下がさらに下を見下してるだけだしよぉ」

そして嫌われたくないだろう水無瀬の反応にいたっては…

「…最低ねあいつ」

ドン引きどころか軽蔑するかのような表情をしていた


「いつまで馬鹿笑いしてる貴様。終わったのだから早く下がれ!」

伊豆木が北斗の襟をつかんで放り投げる

「うおわ!」

勢いよく尻もちをついてしまう


ツカツカと神蘿の元へ歩いていき

「大丈夫か?立てるなら手をかすぞ」

「…ええ…だ、大丈夫です…」

伊豆木は倒れてる神蘿に肩をかし起き上がらせる

「あたしはまだ生徒の力を見なくてはならない。変わりに誰か彼を保健室にでも連れて行ってくれ」

そう他の生徒達に言うと女性陣が私が私がとこぞって手を上げだす

そんな女子達の様子が気に入らない北斗は

「けっあんな醜態さらした雑魚のなにがいいんだよ」

とツバを吐き捨てた


「とはいえ他の連中の実力はまだ見ていないからな…見る必要なさそうな実力者に連れてってもらうのがいいかもな」

そう言うと生徒名簿が載った例のヴィジョンを映し出して…

「よし。お前がいいな…前年度学年成績No2…」

彼女を指差す

「水無瀬ゆかり!連れて行ってやれ」

「え?あ、はいわかりました」

少し驚きつつも水無瀬は言われるがまま神蘿の元へ歩いていく 


無論北斗は気に入らない

「はあああ!?ざけんな!反対反対〜」

「黙れ小童!そんなことより貴様神聖なグラウンドにツバ吐いたよな?後で仕置きだ」

伊豆木は北斗の襟をつかんで放り投げる

「おわあああ!」

勢いよく尻もちついてしまう


「…案内するわ美波君。肩貸す?」

「いや、大丈夫…だ」

二人はそうして保健室ヘ向かう


道中

「その、ごめんなさい」

突然謝りだす水無瀬

「急に何だ?」

「あいつ…北斗淳平があなたに喧嘩売ってきたの間接的には私のせいで」

「…?」

「詳しくは言わないけど余計な事をしゃべっちゃってね」

「…親の七光りがどうとか言ってたが父のことか?」

「まあ…それもあるかな…」

言葉を濁らせる


「…まあ別に気にしてない。いずれわかることだしな…」

「それでもあの態度は許せなくて…」

憤る水無瀬


七光り…神蘿は思う

父火人はどれほどの人物なのか

「水無瀬…だったか?君は俺の父の事知ってるのか?」

「会ったことはないわよ。ただ私の両親が仲いいらしくて」

「俺はついこの間まで天界のことも知らなかったんだが…父はどういう立場の人なんだ?」

「そういえばずっと人間界で暮らしてたらしいわね。なら教えてあげる。あなたの父親美波火人さんはね」

天界軍の幹部クラスは考えられるが果たして…


「天界軍最高幹部天界四将軍の一人。そして総統デュランとかいう魔族を討ち取った英雄らしいわ」

…想定以上の人物だった

偉いなんてものではない

父親が軍の最高実力者だなんて思いもよらなかったろう

神蘿にとっては普通の父親だったからだ


「おまけに四神朱雀の血筋の一つ美波家当主」

「朱雀の血…?」

「天界人は聖獣という存在に力を授かる事ができるんだけど四神、別名四聖獣はその中でもトップクラスの聖獣なの」

「…もしかしてその血筋のものだけが四聖獣に…?」

「そう、四聖獣の一族のみが四聖獣になることができるの」

力をさずかるではない

なる、と水無瀬は言った


「他の聖獣と違い自らが四聖獣になるらしいのよ。見た目とかは変わらないらしいけどね」

聖獣そのものになる…あまり想像つかない


「…なんにせよ俺はその一族の面汚しって事か」

そんなエリート一族でこのザマでは…と卑下する

「確かに朱雀の一族だけどそんなエリートの家系ではないわよ。先代朱雀とあなたのお父さんという例外はいるけど」

…先代朱雀?

前の朱雀という事だろうが…それはつまり


「父はそれだけすごい人なのに朱雀ではないのか」

「ええ。それだけ狭き門なんでしょうね。現時点では軍に四聖獣はいないし。先代なんて百年以上昔の話らしいし」

百年に一人の逸材でもでなければなれないという事なのだろう


「まあそもそもあなたは美波家とはいってもよ…」

途中で口を止める

「どうした…?」

「い、いえなんでもないわ。」

口止めされてるんだった…とボソッと神蘿に聞こえないように小さくつぶやいた

 

そうこうしてる間に保健室についた

礼を言って授業に戻っていいと言うも帰り道迷うとアレだしと水無瀬も残った

本音はサボりたかっただけかもだが


保険医は定年間際くらいのおばあさんだった

髪は真っ白で腰が少し曲がっている

朗らかで優しそうな人だった


おばあさんは特殊な魔力であっという間に神蘿の傷を直した

傷跡一つ残らずだ

流石に度肝を抜かれた


「おや、かなりおどろいてるねぇ。回復魔術初めて見たのかい?」

「ええ…すごいですね…」

「まあ回復魔術は使い手も少ないし今この学園で使える者は生徒の中じゃ多分いないしねえ」

「それほど貴重なんですか…」

「使えればすぐに天界軍がスカウトしてくれるよ。回復要員も立派な戦力だしね。まあ最低限のレベルがあればの話だけどね」


「その点先生は軍の誰より回復魔術に優れてますよね」

水無瀬がにこやかに褒める

「まあ隠居した身とはいえ軍にいたからね。水無瀬のお嬢ちゃん、褒めても何も出ないよ」

「事実を言ったまでですよ。両親も言ってましたし」

「ふふ、そうかいそうかい」

照れくさそうにしている


「さあさあ治療は終わったんだし授業に戻りな。もう大丈夫なはずだよ」

神蘿の肩を押す

「ありがとうございました」

深々と頭を下げる

「ここに通ってれば怪我も多くなるしいつでも来な。この黄金こがね先生に任せな」



その後は普通に授業に復帰した

右も左も分からないと言ってもいいほど何もわからない神蘿にとっては授業についていくことはほぼできなかった

だが教師の伊豆木が上手くフォローしてくれたりわかりやすく説明してくれたりとかなり気を使ってもらったためなんとかなった


最初の印象と違いかなり優しい先生だなと神蘿は思った

なにはともあれおかげで無事に一日が終わろうとしていた


「よし…今日の授業はここまでとしよう」

ふ~終わった〜と生徒達の疲れからの言葉がもれだす

「だが最後に魔力チェックをしてから帰宅しろ」

そう言うと伊豆木は小型のルービックキューブみたいな物体を取り出す

「これに魔力を注ぎ込め。すると魔力のランクが浮かび上がってくる…この装置では最高Sから最低Gまで測る事ができる」

手本を見せるように伊豆木は魔力を注ぐ

するとCの文字が浮き上がってきた


「このように、な。まあ貴様ら程度の魔力を測るならEランクまで測れる機械で充分だがな」

「はぁ?どういう意味っすか」

北斗が不満をもらす


「そのままの意味だ。中等部の連中にそんな高いランクのものなどいるはずないだろ。それに軍入隊の通常条件がDランク、そのレベルに貴様らが到達してるはずもないからな」

天界軍養成校、それも中等部にすでに入隊できるランクのものがいるとは確かに思えない話ではある


「ならなんでそんな高レベルまで測れる装置なんかあるんですか」

一人の生徒が質問

「今見せたように教師がランクを見せる必要もあるしな。…まあ教師でもここまで測れる必要はないがな。軍にもAとその上のSなど一握りしかいないからな」

「へえ…でもまあ全部測れる装置が無駄ってわけでもないですしね」

「言っておくがSランクは魔力ランクの最高ランクではないぞ。SSランクなどまだ上がある」

「うええ!?マジですか!」

「貴様らには関係ない話だがな」


伊豆木は装置をジッと見る

「…ここまで測れる装置を置いているのは学園にいたときのあの人がSランクを叩き出したからなんだがな…あんな例外はもう二度とないだろうが」

生徒に聞こえないレベルの小声でつぶやく


「さあ全員始めろ」

一人一人順番に装置を手にとり魔力を送っていく

F、F、F、FとFの文字ばかり浮かぶ

「なんだよみんな同じじゃん」

北斗がつまらなそうにボヤく

「Gランクは人間くらい低いレベルだからこの学園に入学できたものならあまりいないだろうしEランクは逆に高すぎる。妥当な事だ」

「でもみんな互角ってのも面白くないっつーか」

「別に互角とは限らんGに近いFもEに近いFも同じFと判断されるわけだからな。下位や上位まで細かくわかるものではないからな」

同じランクでもドベとトップなら差があるのは当然の事だろう


次々とFの文字が出る中ついに…

Eの文字が一人写った

「ほう…やるな水無瀬ゆかり。2学年ですでにEランクとはなかなか優秀だぞ」

褒められるも水無瀬は浮かない顔

「でも上には上がいるんじゃないですか?」

そんな質問に眉一つ動かさず

「まあそうだな。貴様らと同学年の南城春人はDランクだったらしいな」

周囲がざわつく

「おいおい南城ってそんなにすごいのかよ」

「もう軍入隊の条件満たしてるじゃん」

「そんなの生徒会長くらいだと思ってたのに同級生でそんな化け物いるなんて」


一方神蘿はさほど驚かない

まあ雲の上みたいな存在にいちいち嫉妬などしない…そんなテンションなだけだが

現時点では普通のクラスメイトとも差があるのだから当然な話


「いちいちうろたえるな小童共。今は貴様らとの差がでかいのは事実だが将来的にはわからんのだからな」

「そーそー先生の言うとおり。で、将来オレっちは四将軍っと」

北斗は装置に魔力を送る

出た文字はF

「これ壊れてるっしょ」

コツコツ叩いて信用しない北斗

「それが貴様の実力だ認めろ」

と装置を取り上げ次の者ヘ


その後もFばかりだ

そして最後の一人、神蘿の番が来た

「さあ君の番だ」

伊豆木はそう言って神蘿に手渡す

受け取る


「あの雑魚野郎の事だしGランクだったりしてな」

ニヤニヤ笑う北斗


「あの、どうやって魔力出るんですか」

測る以前の問題が神蘿にはあった

「…あたしが魔力でサポートしてやろう。」

伊豆木が神蘿の体の中にある魔力を出しやすくすることでやっと装置が反応する


「な、に!?」

伊豆木は驚愕する

なぜなら浮かび上がった文字は


Cランクだったからだ


(馬鹿な…なんの訓練もしたことのない13、4の子供があたしと同ランクだと…)

逆に今度は伊豆木がうろたえる


また神蘿も驚いて

「壊れてるわけではない…ですよね?」

恐る恐る聞く

「ああ…でも、そうだな…君はあの人の弟だしな。そんなに驚く事ではないのかもな」

独り言のようにつぶやく伊豆木

あの人の弟、その言葉に神蘿は反応せざるおえなかった


「先生…あいつを知ってるんですか?」

「え?あ、いやなんでもない忘れてくれ」


Cの文字は他の生徒にも見えていた

さっき以上にざわつく

「おいおいどうなってんの!?」「潜在能力がやべーのか!?」「すっごい!カッコいいだけじゃないのね!」「尊敬〜」


「うっせぇぞ!!」

北斗が叫ぶ

「なんかの間違いに決まってんだろ!壊れてんだよ!考えてもみろよオレっちに手も足も出ない雑魚がそんなに高いわけねえだろう!」

「黙れ装置は正常だ」

冷静に言う伊豆木

「彼は魔力を使う技術がないだけで内に持つ魔力は高い。それだけの話だ。それを使いこなす事ができるかはわからんがな」

「けっできるわけねえっすよ!」

ガチギレしてる北斗


神蘿はそんなことは気にせず考える

(父さんが言ってた魔力は高いって発言は気を使ってくれたとかじゃなく事実だったのか…)


「とにかく魔力は測り終わったんだ解散しろ貴様ら!」

そうして一日は終わった…


その後神蘿は帰宅…


それから数週間

神蘿は父親から用意してもらった家庭教師に学園の授業で少しずつ魔力を扱えるようになってきた


だがまだまだクラスメイトには到底追いつけるレベルではなかった

仕方ない事だ

その高い魔力を使いこなすのは当分無理だろう


…そのはず…だった


ある日の事だ

突然神蘿の様子が変わった

なにかをしたのだ


そんなことなどつゆ知らず北斗がその日組手の相手にまた神蘿を選んだ


「へっ連戦連勝記録伸ばさねえとな。今年の組手は無敗で終わらすぜえ」

首をポキポキ鳴らしながら準備運動する北斗

「ぺーさんもこんなだせー男になっちまうとはなあ。組手になれば美波ばかり選んで無敗無敗とほざいてよお」

呆れている片栗

「ホントだよなあ流石に笑えねえわぁ。組手の無敗が成績に反映されるとしても相手が同じじゃ大して評価なんかされねえってわかるもんだろ…キヒ…」

五十嶋もいつものような笑いがない

互いに友人のみっともない嫉妬に愛想がつきかけてるのだ


「さ~て今日は何秒で倒しますかねえ」

「…」

神蘿は手を前に出す

すると突然凄まじい突風が吹き荒れる!

「え、ぬわあああああああああああ!!」

北斗はその突風に吹き飛ばされ肌が少し切れて

後ろの柱に強く激突してしまった!

「ごっはあ!」

その衝撃で思わす吐血する北斗


シ~ンとするクラスメイト達

驚愕する面々

その驚愕する者の中には撃った神蘿自身もいた

 

自分で自分に驚いていたのだ

冷や汗をかき自らの手のひらを見る

「これが…俺の力…いや、あいつの力…」

手を握りしめる

「やはり間違っていなかった…俺の才能では到達しえない次元に一瞬で…」


神蘿が何をしたのかは数日前に遡る必要がある


…そしてこの日は神蘿が記憶を失うきっかけのある悲惨な戦いのちょうど一年前の5月1日だった

次回は強さを得たきっかけ回です

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