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2輪ノClover  作者: 奇柳 業
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8話:旅に出るなら晴れた日に胸を張っていきたい

皆様ハッピーホワイトデー。せっかくなのでお世話になってる人に感謝を伝えてみてはどうでしょう。今回は響也視点です。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 チュンチュン。鳥の鳴き声が聞こえる。ここは・・・どこだ?眠たい頭で考える。そういえば、何やらさっき不思議な夢を見たんだ。俺のたった一人の親友と異世界に転生する話。さっきから体にあたる柔らかい感覚。ふかふかしたものが体を覆う。ほんのりとした温かみが体の末端から伝わってくる。


 変だな・・・俺は普段寝るときは何もかけないで椅子の上で寝ているはずだが・・・寝る前の記憶が呼び起こされていく。そして擦り切れて埃っぽい布の香り!!間違えなく布団だね。なんでこんなとこにいんのよ俺。


 「おお響也(ヒビヤ)!!やっと目覚めたか。心配したんだぜ。」

 「響也く〜んおはよう〜。」


椅子に座っていた渉輝(ショウキ)とバロンが俺に声をかける。それにより、これまでのことは夢ではないと確信する。流石にあそこから夢オチですませんのは無理だったか・・・聞けば、俺はあのとき倒れてから丁度一晩寝ていたらしい。ここまで寝たのは初めてかもな。


 「済まない二人共。今は頭痛は治まったよ。バロンの魔法のお陰で。」


バロンに礼を言うと、彼は複雑な顔で答えた。


 「それがね〜魔法ね〜使ってないんだ〜。」

 「え?でもあの魔法陣は・・・」

 「組み上げたまでは〜いいんだけど〜君の鼓動で〜かき消されちゃった〜。」


KO・DO・U?鼓動?何それ。そんなの出した覚えないんだけど。


 「いやーアレは驚いたよ。すっげぇ真空波みたいなの出してさ。」


どうやらなにかそんなのも放ってたらしく。すぐに収まったそうだが、倒れた俺の脈を調べるために俺の胸に耳を近づけてた渉輝は結構なダメージを受けたらしい。


 「身内から攻撃受けるとは思わなかったぜ。」

 「悪かったよ。」


申し訳ないな。にしてもなんでそんなことが・・・


 「そうだ響也。これ見てくれよ。」


思い出したように渉輝がそう言うと、渉輝は腕を上から下に振るい見覚えのある青いウィンドウを出した。


 「これは・・・」

 「そう。さっきギルドで見たやつと同じもんさ。ついでにそれだけじゃないんだ。」


さらに渉輝はウィンドウの『スキル』の欄にある『闘気術LEVEL1』と書かれているところをタップした。



 『闘気術LEVEL1・・・闘気を操る力。闘気量はLEVELに比例する。』



 「見ろ響也!これを使うと自分の武器とかスキルとかの解説が見られるんだ。」

 「へぇ・・・そいつは便利だな。」

 「あのときの頭痛は〜このウィンドウと〜君たちの頭を同調させるときの〜拒絶反応だよ〜。」


 なるほどな。渉輝は自分のスキルや武器はもう確認したらしい。これを使えば俺の謎スキルも確認できるかもな。そう思い、俺もウィンドウを出し、一つ一つ確認を始める。



 『探知LEVELX・・・五感を強化する。LEVELによって強化度合いが変わる。強化可能部位は目・耳・鼻・肌・舌の5つ。』

 『被験者(モルモット)・・・全ての耐性が無くなり、回復能力が異常発達する。』



 ・・・耐性消滅・・・だと?おいおい冗談じゃないぜ。全属性弱点とかスライム以下だぞ。回復能力が異常発達とか言ってっけどなー釣り合うのか?これ。


 「なんか・・・独特なスキルだな。」

 「全くだ。独特すぎるわ。」

 「そうだ。お前武器も見てみろよ。調べてみると使い方とかはっきり解るぜ。」


渉輝に促されて、武器の欄も見てみる。ナイフのこと詳しく知りたいんだよなー



 『森羅万象書庫・・・触れたもの全てを封じ込める本。封じ込める事ができる数には限りがあり、封じ込めたものは放出できる。』

 『十字刃ノ片割レ・左(ツヴァイセイバー)・・・非物質特攻能力を持つバタフライナイフ。柄を破壊することで腕と同一化、同一化解除ができる。同一化させることで初めて攻撃力を得る。」

 「十字刃ノ片割レ・右(ツヴァイカッター)・・・物質特攻能力を持つバタフライナイフ。柄を破壊することで腕と同一化、同一化解除ができる。同一化させることで初めて攻撃力を得る。」



だからな。特殊すぎんだよ。性能が尖りすぎっつーか。ナイフに至っては腕と同一化前提じゃねぇか。使いずれぇな。


 「本当に〜面白いね〜君たち。」


バロンがのんきに声を放つ。


 「そうそう。二人共〜今回もうひとり〜一緒に行く人がいるよ〜。」


そう聞いて、腑抜けていた思考をもとに戻す。渉輝も顔つきが真面目になった。


 「おいで~。」

 「皆様こんにちは。モモ=トッルと申します。」

 「お前は・・・」


バロンに呼ばれてこの部屋に入ってきたのは、さっきギルドで依頼をしていた若者だった。まあそりゃそうか。案内役とか居るし。


 「響也くんも〜元気になったみたいだし〜早速出発しようか〜。」

 「分かりました。」

 「了解だ。」

 「案内は・・・任せてください。」


そうして俺たちは、この街からパラノイアに向かって出発した。




     ◇◇◇




 トッルを先頭に、俺と渉輝、次いでバロンと縦に並んで歩いた。しばらく歩いた後、渉輝が口を開いた。


 「あの・・・ギルドってどんなことやってんすか?」


たしかに気になるな。なんか成り行きで入ろうって話になったけどどんなとこかとか、俺達は全く知らねぇ。入るなら少しは知っておかないとな。


 「ここではね〜今みたいに誰かの依頼をこなしてるね〜なんでも屋?みたいな〜あと。」


ここでバロンは少し真面目な声で言った。


 「魔王軍の侵略に対する防衛。とかかな。」

 「防衛?報復とかはしないんですか?」


ちょっと気になったので問う。防衛は確かに大切だが、反撃もしないといつまでたっても戦況は変わらない。


 「したいんだけどね〜人手不足実力不足。とってもじゃないけど〜反撃に手を回せないのさ〜。」


まあ、と区切ってバロンは続けた。


 「私怨とかで〜勝手に行動する人も一定数居るんだけどね〜俺もその一人だけど〜。」

 「そうなんですか?」


少し驚く。この人に恨みとかの感情ってあったんだ。でもまあこういうのほほん系キャラって闇深かったりするよな。少し詳しく聞いてみるか。


 「ちなみにどのようなものですか?私怨って。」

 「ある人物を探してる。としか言えないかな〜。」


 ある人物か・・・それを聞いてあることを思い出し、隣の渉輝(親友)に目を向ける。そして二人して同じことを考えてたらしく目があった。全く。大事なとこ良く気が合うもんだ。まあこれは、もう少し強くなってからでもいいだろう。


 「皆様。今日のところはこちらで休みましょう。」


トッルが宿を指さして俺たちに呼びかける。今更だがこの世界は交通手段とかはなく、移動は徒歩か魔法である。休み休み行かないとな。人の心と体は軟弱だ。休息を取らないと長持ちしないのよ。


まあ、あっちの世界で全ての睡眠の質を仮眠レベルに落としてた俺が言うと説得力無いけどな。

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