43話:之を言うは易しにして、之を行うは・・・
皆さんお久しぶりです。奇柳業です。作者を取り巻く新たな環境がまだ落ち着いていないのでもうしばらく不定期投稿になってしまうかもしれません。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「〈猛虎の爪〉!!」
「〈神獣の爪〉」
ライガーの腕から振るわれる虎の爪を、神獣の爪が弾き返す。こちらの結界では大分野生味のある戦いが繰り広げられていた。
「こんなもんじゃないよね〜?早く本気を出しな〜」
「貴様舐めるのも大概にしろ!」
怒りに任せてライガーが激しく爪を振るい、ことごとくバロンが受け流していく。そして隙を見つけてはバロンが切り返していき、少しずつバロンが有利な展開になっていった。
「認めよう。貴様は強い。ならば私も本気を出そう!さあ、正々堂々一対一だ!勝負といこうじゃないか!」
「・・・いいよ〜」
ライガーの一騎打ちの提案を受け、神獣の腕でバロンは試合う。
「うおおォォォォォォォォォォ!!」
「暑苦しいね〜」
猛攻を仕掛けるライガー。涼しい顔のまま対応し続けるバロン。両者の戦いは一瞬だけ均衡した。だが、バロンが体勢を崩し、均衡した戦いは終わった。
「獲ったり!」
ここが好機とばかりに爪を構えて突撃してくるライガーを見据えて、バロンはにやりと笑うとすでに神獣化させていた両手でライガーの体を掴んだ。
「貴様っ・・・」
「うんうん。オヂサン。やっぱりチームプレイの方が好きだネ。」
すると、いつの間にかライガーの背後に回っていたオヂサンがライガーの胴をその腕で貫いた。
一対一と言ったじゃないか。と言いそうな目で見つめてきたライガーを、バロンはもう一度切り裂いた。
「卑怯・・・だとは・・・思わんか・・・」
「悪いけど〜負け惜しみは聞く気はないカナ。」
「オヂサンありがとう〜」
ちなみにマモンとの戦いを放棄してていいのかと思うかもしれないがライガーを貫いたのはさっき作っていた分身体なので問題はない。
「貴様には・・・騎士道精神というものがないのか・・・決闘の規則を破るなど・・・」
「何を言ってるのかわからないけど〜これは戦争だよ?戦争に騎士道を求めるのは〜酷じゃないかな〜」
飄々とバロンは言葉を続ける。
「そもそも騎士道って〜何かを守るためのものだよね〜でも〜君が言ってる騎士道精神で〜何が守れたの?」
ブチッというような音が聞こえた気がした。ライガーの中で何かが切れた音が。
「そこまで言うならいいだろう。負けはしたからこの場は譲っても致し方なしと思っていたが・・・気が変わったよ。お前さんの言うとおり。戦争らしく醜くても我が主を守って見せようではないか!」
「胴じゃなくて〜喉笛を切っておくべきだったカナ?」
「大丈夫だよ〜オヂサン。後は〜俺がやるよ〜」
「じゃあ、オヂサンはオヂサンの戦いに集中するネ。」
「〈猛虎降臨〉!!」
ライガーの体から煙が放たれ、結界の中を煙が埋め尽くした。ごうごうと空気の鳴る音がする。
「霧に虎とは〜中々おあつらえ向きだね〜」
「グルルルルルルルゥゥゥゥ・・・」
霧を裂いてバロンに襲いかかったのは一匹の雷を纏った虎だった。雷のように素早い動きでその爪と牙を使い、一心不乱にバロンを襲う。しかし、当のバロンは焦りもせず的確にいなしていく。逆に虎に変化したライガーの方には焦りが見えてきた。そして、一際大きく虎の爪が振るわれた瞬間、バロンが動いた。
「〈除災招福〉!」
流れるように虎の胴体に正拳突きを放ち虎の体を吹っ飛ばした。その衝撃で虎化が解けたライガーとの距離を詰め、神獣化させた腕でバロンはライガーの首を切り落とした。
「俺と似た能力だったし〜少し気分悪いかな〜」
そう飄々とバロンは言い放つと、まだ戦っているであろうオヂサンの援護に向かうべく再び歩き出した。




