41話:拳で語り合え
「どれだけ強くなってんのか見せてもらうぜ!!」
「多分だがお前の想定の数倍だぜ!!」
「〈鷲の銀弾〉!」
「〈闘気破砕拳〉!」
拳がぶつかり合う。確かな感触。景気のいい音を立てて空気が弾ける。初手は相殺か。といってもどうせまだアルゴスは本気出してなんかいないだろう。
「中々仕上がってるじゃねぇか!ならこれはどうだ!」
そう言うとアルゴスはスピードを上げ、俺の周囲を回りながら蹴りや拳を放ってきた。だが、まだこの程度の速度なら耐えられる。フラニックに感謝だな。しばらく応酬していると、俺の体も慣れてきた。まあLEVELが上がった〈体術〉スキルの効果もでかいだろうけどな。
「今ッ!!」
俺は蹴りが放たれた瞬間を狙い、無防備な軸足に拳を叩き込んだ。叩き込んだんだが・・・ドンと背中に来る衝撃。結界にぶつかった衝撃だ。
「予備動作無しで軸足動かすとかふざけてんの?アルゴス。」
「戦闘に常識を求めるのは三流の戦士がやることだぜ?」
あの野郎俺が拳を当てる瞬間に足を振り上げて逆に俺を蹴り飛ばしやがった。どうなってんだよまじで。というか結構本気で殴ったんだけど無傷ってキツイわ。今の俺の闘気量じゃ傷一つつかないってかい。ならしょうがない。あれを使う時が来た。
俺は腰の革袋から赤いディスクを取り出し、一口かじり取る。DVD見る前の『おやくそく』で大体だめだよって言われてるあれだ。別に気が狂ったわけじゃない。これが俺の新しい武器だ。
◇◇◇
「はい♡完成したわ♡」
「・・・ありがとうございます・・・」
青酸カリ級のウィンクと共に俺が手に取ったのは、よくわからんからとりあえずディアロに研究してもらっていたCDだ。やっと研究が終わったらしい。
「んーとね。まず結論から言うのだけど・・・完全解明とまではいかなかったわ。でも多少仕組みはわかったしちょっと改良しといたわ♡」
「改良?」
「そう。これを見て。これが今作れた改良版CDよ。」
そう言って机の上に広げられたのは、赤、青、緑、黄の色をした四種類のCDだった。なんだろうね・・・この溢れ出るシル○ァディ感は。
「これにはね。赤には炎、青には水。緑には風で黄色には雷の属性を付けたの。」
「属性・・・ですか。」
「ええ。これをかじればアナタの闘気と反応して闘気に属性を付けられるわ♡我ながら傑作ね。」
なんて便利なんだ。これを使えば俺の専用技のタイプがへんげんじざいだ!
◇◇◇
・・・なーんて記憶が蘇ってくる。実践で使うのは初めてなんだがうまくいくかね。
「〈闘気開放〉!!」
体の内側にある闘気を放出する。そして、噛んで割れたCDから出てきた炎が闘気にまとわりつき融合する。そういやまだ名前をつけていなかった。まあシンプルなのがいいよな。
「〈炎闘気〉!」
「ほう・・・こりゃまたおもしろいことをするな。」
「感心するのはまだ早えぜ?〈闘棍ー炎〉」
〈闘気武芸術〉を使い燃え盛る棍を作り出す。また肉弾戦してふっ飛ばされたら敵わないからだ。
「〈刺棍ー延〉」
棍を使ってラッシュを仕掛けるが、どれもアルゴスには届かずに捌かれる。これだから武人ってやつは。
「こんなもんか?〈鷹の嘴〉!」
アルゴスが縮地のような動きで俺との距離を詰め、貫手を放とうとする。これは不味い。たぶんおそらく間違いなくあれ食らったら俺は死ぬ。
「〈闘気壁〉!」
闘気の壁を作り、手の到達を遅らせてから紙一重で貫手を躱す。すかさず反撃の一撃を叩き込こもうとしたのだが貫手の風圧に吹き飛ばされて再び結界に背中を預ける羽目になった。ふざけるな。
「ほんっっとお前さぁ・・・」
「まだへばったりしねぇよな?まだまだ行くぜ!!」
戦況は微妙。有効打なし。攻撃は完全にしのぎきれてるわけじゃない。いやまあ一年じゃ足りなかったか。
・・・どうしよう。この状況。
・・・二週間に一回の頻度になるかもです。




