39話:焼肉は鉄板に限る
皆さんこんにちは。奇柳業です。今回はプロテス先輩が主役です。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「〈獄炎の火柱〉」
「おわ熱っ!タンマやタンマ!ワイ焼けてまうわ!!」
「あら残念。焼けてないのね。」
「うわ酷っ!人に言うていい言葉やないやん!」
戦闘開始から数刻。レプティルは未だに炎から逃げ惑っている。しかし、流石にずっと防戦一方ではいられないのか、少しづつ攻勢に出始めた。
「〈奴らはグルメじゃない〉!!」
レプティルはその蛇の手からさらに5つの蛇の頭を生やし、それらを伸ばしてプロテスを襲わせた。
「趣味が悪いわね。〈反逆の獄炎〉!!」
だが、その蛇たちはプロテスの体に触れると同時に燃え上がり、レプティルの方へと燃え広がっていった。
「おお!恐怖っ!こりゃワイもも少し慎重にやらんとなぁ!」
そう言いながら、レプティルは蛇を切り捨て、自分が燃えるのを防ぐ。そのまま距離を取ると、しっかりとプロテスを見据えた。
「なあ・・・もういっぺん聞くがな。ホンマにワイに体譲ってもらえへんか?」
「あら、私は何度も同じ質問をされるのはあまり好きではないのだけれど。」
「取り付く島もなしでっか。ほんならしゃーないなぁ!」
そう言うとレプティルは大きく後退し、蛇の手に魔力を込めた。
「〈毒吐王蛇〉!!」
そう叫ぶと、蛇の口から集めた魔力はまるで意思を持ったかのように複雑に動き出し少しづつプロテスとの距離を詰めていった。、それをうまく盾にしながら、レプティルはプロテスへと駆け出した。
「まだまだ行くで!〈壁も天井も床同然〉!」
さらに、結界を利用し結界の壁、天井、当然床にもヤモリ型の魔力弾を放ち、全方位からプロテスを襲わせた。それと同時に地面を蹴り砂埃を巻き上げ、新たな技を使った。
「〈色彩仮面〉」
(ワイの〈色彩仮面〉は完璧に周囲の景色と同一化する!これならワイの姿も見えへん。さらに・・・ここの地下には〈色彩仮面〉を施した部下がごまんといる。これでこのべっぴんさんも終わりや!ワイらの総攻撃、喰らいなはれ!!)
と、レプティルが思ったとき、少し残念そうな声が戦場に響いた。
「これがあなたの奥の手?透明化といったところかしら。だったら残念ね。少し期待していたのだけど。」
そうため息を付き、なおも言葉を続けた。
「でもまあ、私が少し真面目にやってあげるくらいの強さはあるわね。ところであなた。焼肉は好き?」
(いきなり何を言い出すんやこのべっぴんさんは・・・まあしょせんは時間稼ぎや。ワイが話しに乗って喋りだすとでも思ったんか?生憎その手の搦め手は対策済みや!)
だがプロテスは、返事がない状況を楽しむかのように明るく話しだした。
「返事がないってことは嫌いってことね。だったら残念だわ・・・せっかく私があなた達にプレゼントしたい料理が気に入ってもらいないなんて。鉄板焼って知ってるかしら?私はあれが大好きなの。知ってる?鉄板焼。」
返事はない。魔力弾にレプティル、そしてその部下たちは着実に迫ってきている。しかし慌てることもなく、楽しそうにプロテスはお喋りを続ける。
「あなた達にも鉄板焼を教えてあげるわ。鉄板焼っていうのはね・・・こういうものよ!!〈獄炎世界〉!!」
結界の床がすべて、灼熱の炎に包まれる。
(熱う!なんやこれ!こんなんされたら地面にいられないやん!)
「これで・・・地面にいるお仲間さんもこんがり焼けたわね。」
そうプロテスが笑顔で指をさす先には、黒焦げになったレプティルの部下たちが現れていた。更には〈壁も天井も床同然〉で作られた魔力弾も、〈毒吐王蛇〉も焼き払われていた。
「なめんじゃないで!!〈しぶとき亀の緑甲羅〉!!」
「あら、器用な真似をするのね。自分の技で巨大化させた甲羅に乗るなんて。」
でも、と。プロテスは妖艶な笑みを浮かべた。
「私が少しやる気になったんだもの。安置なんてないわよ。〈獄炎舞踏会〉」
それは、今までのプロテスの技のような華やかさはなかった。一見何も変わらないように見える。その対戦相手以外は。
「うっ・・・あっ・・・なんや・・・これ・・・」
突然レプティルが苦しみだした。その原因は焼け付くような痛み。なぜか?そんなものは聞くまでもない。〈獄炎舞踏会〉のせいである。この技は、発動と同時に自身の周囲全体に眼には見えないほど小さな火花を放出する。この火花は軽く、少し息を吸っただけで吸い込まれていく。そして、吸い込まれた火花は体内で発火。相手を内側から焼き殺す。
「さて・・・今回はローストかしらね。でもごめんね?私って肉を焼くのは好きだけど食べるのは嫌いなの。だからあなた方を美味しく食べることはできないわ。」
静かな結界に、焼ける音だけが鳴り響く。
「あら、もうみんな焼かれたのね。幹部って聞いて少し楽しみにしてたのに。残念。」
来月の今日はバレンタインか・・・




