37話:眼が合ったんだからね。仕方ない。
皆さんこんにちは。奇柳業です。今回は久々に一人称視点。今年度の投稿はこれで最後となります。一年間お疲れさまです。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「行くぞお前ら!!いつものフォーメーションだ!!」
「「「「了解!!」」」」
俺はアビッシュ。マモン様の忠実な配下にしてこいつらのまとめ役。本能戦士団の中でもそこそこの強さは持っていると思う。俺のスキル〈海鼠目〉は相手の力量を測る。便利なもんだからと言ってこいつを駆使した確実で堅実な戦運びが俺の強みだ。
だが、こいつに関しては全く読めねぇ。いや、俺のスキルによると大したことはないと結果が出ているんだがどうも信用ならない。スキルを過信しすぎるのは愚か者のすることだからな。なにかこいつにはまだ隠し玉があるというか・・・実力を隠しているだけのような・・・
あとは時計だ。奴が死刑宣告と同時に廻りだした時計は5分の1ほど進んでいる。なにかあの時計にも能力があるのか?
まあいい。考えていても仕方がない。まずは基本のフォーメーションで確実に相手の戦力を図る!!
「〈鱓弾〉」
部下たちに周囲を囲ませ、その間を縫うようにウツボ型の弾幕を張る。俺のお気に入りのこの技は俺が敵と認識したものをある程度追尾する。さあ、どう出る?
「『死神』と眼が合ったのが・・・貴様らの死因だ。」
死神とか言った野郎が何か喋ったが、それと同時に奴の周りに吹き荒れた暴風によって声はかき消され、俺のところまでは届かなかった。面倒なことに部下もウツボも全部まとめて吹き飛ばされた。部下共は対してダメージを受けているわけでもないがウツボはだめだ。
「お前ら!次のフォーメーションに移る!次は・・・」
「〈収穫〉」
死神が円を描くように鎌を振るった。距離を取っている俺達には当然届かないが何かの技のタメかもしれない。
「お前ら!気ぃはれよ!何が来るかわかんねぇぞ!」
・・・返事がない。いつもなら元気すぎるくらいの返事で返してくれるはずなのに。嫌な予感がする。慌ててあたりを見渡しても誰もいない。さっきまで隣りにいたはずの仲間たちも。
時計の針はもう5分の4まで進んでいた。
「お前ら・・・?」
「彼らには永遠の安息を与えた。貴様も休むが良い。」
奴の言葉で確信する。俺の部下たちはもうダメだ。それどころか俺の命すらも危うい。これは久々に本気を出さなければならないな。
「やなこった!!お前には特別に俺の本気を見せてやるよ!!」
「無益な。もうすでにお前は『死神』の眼に写っている。」
そういった瞬間、高速で死神が俺の方へ突進してくる。今度は刀を構えてだ。俺は跳躍してそれを回避。これで上は俺が取った!!見せてやるぜ俺のおう
ボーン
ボーン
ボーン
そこで、アビッシュの思考は潰えた。結界の中に残っていたのは役目を終えて降りてきた懐中時計を片手に「今日は中々死神っぽい行動ができたな〜♪」と上機嫌に鼻歌を歌っている『死神』だけだった。
それでは良いお年を




