31話:風呂は種族を超える
皆さんこんにちは。奇柳業です。今回は視点が少し入れ替わったり。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「あなた方なんか体繋がってません?あと腕多くないですか?」
いやはや見間違えだといいんだが、俺の隣で風呂に入ってる人(?)は胴体が紫、白、緑の3色に分かれていて、それぞれの胴体にそれぞれの体の色と同じ色の頭が一つづつ、腕が四つづつ、足が二つづつついている。まるで四腕人が3人背中合わせでくっついたような。そんな姿をしていた。深夜の風呂で出会いたいやつじゃない。ディアロより出会いたくない。
「ああ、そうだった。自己紹介がまだでしたね。ワタシはナタラージャ。」
「オレはマハテーヴァだ。」
「ルドラだ。」
「訳あってこのような姿ですがどうぞお気になさらず。よろしくおねがいしますね。」
「はあ・・・あ、俺は響也って言います。『義勇兵団』所属です。」
「『義勇兵団』?どこかで聞いたことのあるような・・・」
とりあえず自己紹介したはいいが、肝心なところをぼかされた。まあいい。言いたくないんだろ。
「おい、ギルドに入ってるってことはなかなか強いんだろ?ちょっと戦らないか?」
「待てマハテーヴァ。ここは風呂だ。それに響也の迷惑になるかもしれん。」
「ええ、ルドラの言う通りです。すいませんね、響也さん。」
「響也でいいですよ。ナタラージャさん。」
「ならばそちらも。ナタラージャでいいですよ。あとマハテーヴァとルドラも呼び捨てでいいです。」
「敬語もいらない。」
「一緒に風呂入った仲だろ?構わねぇさ。」
「そうか、ありがとう。ナタラージャ、ルドラ、マハテーヴァ。」
ちょっと不思議な奴らだが、まあ悪い気はしないしいい奴らだな。それにしても、どこかでこいつらの名前聞いたことがあった感じがするんだけどな。思い出せないや。
その後も、俺は三人と他愛のない話をした。出会いは唐突だったが、中々に楽しめた。にしてもこの少し強引な感じ、誰かを思い出すな。
「おや。もう夜が明けてしまいますね。深夜の風呂というのも風情があるというのに。」
「全くだね。ナタラージャ。俺もこの雰囲気好きなんだよ。」
「暗闇に月明かりというのは良い。その意見には同意しよう。響也。」
「オレはサンサンに照らす太陽の下での風呂も好きだぜ。というか風呂は全部好きだ。」
「そろそろ寝ないと不味いでしょう。上がりましょうか。」
「ああ。今日はありがとな。」
本来は一人でのんびり入るつもりだった風呂だったが、気のいい奴らとともに入る風呂というのも、まあ悪くない。
◇◇◇
「うぅぅ・・・あっうぁぁううう・・・」
俺の隣からうめき声がする。聞き馴染んだ声。
「おぉぉおゔぉおお・・・ああぁっぁ・・・」
目を開ける。いつの間にか帰ってきていた響也がうめき声を上げている。
・・・こいつは時々悪夢を見る。所詮夢と笑い飛ばせればよかったのだがそんなものではない。こいつが見ている夢は過去の経験。トラウマ。それを見ているときにこいつは必ずうめく。まるで誰かの助けを待つように。だから俺はこんな時、いつもこうする。
「おい、うるせぇよ。どうしたんだ響也。」
「ああ・・・渉輝。すまねぇな。」
ふと思い立って、響也の方へ手をのばす。
「お前の手を握らせろ。じゃねぇといちいちお前がうめくたび俺はいちいち起きてお前にデコピンしなくちゃならねぇ。」
「・・・ありがとう。」
「なんでお前が礼を言うんだ。頼んだのはこっちだぜ。」
「・・・野郎のツンデレは人気でねぇぞ。」
「うるせぇ黙って寝ろ。」
◇◇◇
ピッチュピッチュウという鳥のささやき声で目覚め・・・れたら良かったのだが、俺はラトス先輩のかかと落として目覚めた。渉輝はまだ寝てるみたいだ。部屋がなく、俺たちは全員同じ部屋で寝ることになった。それでも男組の布団とティタン姉妹の布団は数メートル話してたつもりなんですがね。
見るとラトス先輩はごろごろと転がりながら部屋の各地に移動している。どんな寝相だ。ここにいてもまた蹴られるような気がするので、俺は顔を洗い庭に出た。早朝の散歩でもしよう。
「おはようございます。よく会いますね。」
「zzz・・・」
「マハテーヴァが寝ているのは気にしないでくれ。こいつは朝が遅い。」
「ああ、おはよう。」
先客がいたみたいだ。その後もなんとなく流れで一緒に散歩していたが、不意にルドラが俺に問いかけた。
「響也。お前もしかして日本という国からこの世界に来た界渡人じゃないか?」
今日、12月2日が誕生日だったり。饅頭食べました。




