27話:亀と蛇
皆さんこんにちは。奇柳業です。今回は渉輝本格戦闘回。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「オラ行くぞ!〈黒速大蛇〉!!」
「〈深淵見つめし群青甲羅〉」
スネックが黒いオーラに、タトルが群青のオーラに包まれる。そのままの勢いで、スネックが俺に走り出す。どうやら少し早くなったみたいだ。
「死ね!」
「遅い!」
腕に闘気を込めてスネックを迎撃する。が、俺の拳はタトルの腕にいつの間にか現れた甲羅に防がれた。こいつも中々早い。
「これを防いだからっていい気になるなよ・・・『黒速』と呼ばれた俺の実力を見せてやる!!」
「防御は任せろスネック。」
そう言うと、あいつらはドームの中を縦横無尽に走り出した。どこから攻撃するかをバレないようにしてんのか?浅はかだな。俺が一体この一年。誰の速さを見てきたと思ってる。この程度の速さ。俺の敵じゃあねぇ!
せっかくなので新技をお披露目してやる。俺はこの一年、響也のように多くのスキルを得ることは出来なかった。しかし、一つだけかなり有用なスキルを手に入れることができた。それは〈闘気武芸術〉だ。これはマジで有能。通常この世界では、武器を上手く使うには武器と同じスキルが必要になる。例えば剣を覚えたいなら〈剣術〉スキル。槍を覚えたいなら〈槍術〉スキルが必要となる。しかしこの〈闘気武芸術〉があれば、闘気で作った武器ならまるでそのスキルを持っているかのように自在に扱えるというものだ。イカれスキルやね。
とはいえ作る武器の硬さは俺の闘気の質に比例するからまだまだ店で売ってるレベルのものしか作れないんだがな。そのうえあくまでも材質は闘気だから切断力のある刃物などは作れない。ってなわけで俺が好んで使ってんのは・・・
「〈闘棍〉!」
棍は便利だ。拳を主体にして戦うとどうしてもリーチが足りなくなってしまうが棍はそれを解決してくれる。
「〈刺棍ー延〉」
「なっ・・・俺が見えてっ!」
「守る。」
そして何より俺の棍は特別製だ。俺が闘気を込めれば込めるほど伸びる。さらに俺の棍は他の誰でもない俺自身が作ってる。つまりはどんな形だろうと変幻自在!
「ぐおッ!?」
「スネック!?」
俺の棍はタトルを避けるように形を変え、後ろのスネックを叩き落とす。まあここで終わらせる気はないがな。
「〈薙棍ー連〉!!」
棍を変幻自在に変形させ、ぐらついたスネックを滅多打ちにする。できることならここで倒しておきたいが・・・
「調子に乗るなよ。〈安息とは幸福か否か〉」
「すまねぇタトル!すぐに復帰する!」
そうもいかないな。スネックはタトルが作り出した球体に覆われ、俺の棍を弾き返した。これじゃあ攻撃力が足りないか。そう考えてる間にも、蛇のようなエネルギーが飛んでくる。根性あるなあいつ。とりあえずエネルギー弾は棍で消し飛ばしてと。
ほっとくと面倒くさいから先にタトルから倒すか。うん。しかし恐らくタトルの耐久はあの球体以上だ。この棍じゃ威力が足りない。ならまあ武器なんか使わないで行くか。
「〈闘気跳躍〉!」
闘気を開放しタトルに急接近。闘気量が増えた今ではその速度も馬鹿にならない。そのままの勢いで右腕に闘気を込め、構える。
「〈闘気破砕拳〉!!」
「っ・・・〈幸福とは安息か否か〉〈神秘なる鉄壁〉〈月にも負けぬ守り主〉」
今度はタトルを球体が覆い、更に二重に結界らしきものが貼られる。だが無駄だ。俺の〈闘気破砕拳〉は闘気を腕に最大限こめて殴るだけの技。響也の〈空瞬の獄〉のように魔力を使うこともない。要はちょっと強い通常攻撃みたいなもんだ。つまり回数制限なんてもんは無い!
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「くっ・・・不味い・・・」
「タトル!!今行く!〈這寄王蛇ぁぁぁっ!?」
右。左。右。左。右。左。ただひたすらに拳を打ち続ける。なんかもうひとり巻き込まれたような気がするが気にしない。近づいてきたほうが悪いんだよ。一枚。また一枚。結界は割れていく。そしてついに最後の結界が破れた。止めの一撃を食らわせてやる。まずは一撃殴りつけてふっ飛ばす。そして加速。
「見せてやるぜ俺の奥義!!」
勢いはそのままに両肘両膝に最大限闘気を込め、体を反らし力を溜める。タトルとスネックが俺の牙の範囲に入った。
「〈闘魂獅子〉!!」
二人の首元に肘での打ち下ろしを食らわせ、それに被さるように膝蹴りも食らわす。バキッと骨が折れる音がした。結界も薄れてきている。俺の勝ちだ。
それにしても結界の中で戦ってたからあいつら俺の活躍見れてないんじゃねぇかな。




