25話:真実ってのは自分の目で見るもの
皆さんこんにちは。奇柳業です。今回はだいたい響也視点。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「ひっ・・・助けっ・・・」
「遅ぇよ。」
逃げる男を鎌が両断する。
「おいおい容赦ねぇなー葵。」
「フラニック先輩。先輩も少しは働いてください。」
「いや俺が出たら後輩の育成にならないじゃん?あとフラニックでいいって。」
葵とフラニックだ。2人はギルドでの依頼を受け、この平野に足を運んだ。
「それにしてもきな臭いね。『マモン配下の活動の活性化』なんて。」
「ええ。全く。」
「覚悟ッ!!・・・うわぁぁぁぁぁ・・・」
世間話をしながら2人は次々と襲ってくる輩を片手間で始末する。
「もういないっしょ。帰ろ、葵。」
「ええ・・・それにしても珍しいですね。団長に頼まれる前に自分からこの依頼を受けるなんて。」
そう葵に指摘されると、フラニックは少し顔を赤らめて言った。
「いや・・・さ。せっかく新しい後輩来たじゃない?なら可愛い後輩のための環境整備って大事だと思って。」
「なるほど。」
その後も、他愛のない話をしながら2人はギルドへ戻った。とりあえず今日のことを報告するのだ。
「戻りました・・・」
「ああっん!!もう!!何よこれ!!随分と刺激的じゃなぁい!!」
・・・刺激的なのはお前の声だよ。内心そう思いながら葵は団長に報告をした。今日聞き出せた情報を。
にしてもなんでディアロはあんな声を出してんだ?と思って、葵は研究室に向かった。あいつは大抵ここにいる。いつもろくでもない実験をしているのだ。そこにあったのは恐ろしいほどの数のCDと、色褪せた腰袋。渉輝のものだ。
そういえば、渉輝がCDの謎の解明のためにこいつに預けていた気がする。腕だけはいいからなこの人。
「ああっ!!中はこう?こうなのね!!ああんっ!!じれったい!!」
中から聞かなかったことにしたいような劇物指定の声が聞こえてきたため、葵は急ぎ足で研究室を離れた。
◇◇◇
「試練は成功だ。これで俺も竜戦士さ。それでなんだが・・・」
渉輝とオヂサンに事の顛末を伝える。渉輝は笑顔で祝福してくれた。オヂサンは『真竜大全』に興味を持ったようだ。
「それでネクロクンの暴走の原因は分かったのカナ?オヂサン心配でネ。」
「ああ、それなら・・・」
俺は二人に本を見せながら説明する。
どうやら呪怨龍は、不定期に『狂暴期』というものに入るらしい。その期間になると、理性は失われ見境なく暴れ出すらしい。なんだがネクロは一応理性が残ってた。念話で会話できてたしな。あとこいつらの正式な食料は人間の恨みなどの負の感情らしい。それを食う時は黒い光のようなものが捕食対象から出るというんだが、今の今までそんな物は見たこと無い。
・・・これガセネタじゃね?
「といっても呪怨龍なんて捕まえようとするやつもそんなにいないしいても悪用目的だからね。情報も少ないさ。」
ルナがぼやく。んー。どうなんだろ。ネクロに聞いてみるか。
『おーいネクロ。』
『ナニ?』
『この本にはさ、お前さんらは人の負の感情を食うって書いてるんだけど本当なのか?』
『・・・タベレナイコトハナイ。デモ、マズイ。ソレヨリウマイノアル。ゴシュジンノヨロコビトカノココロ。』
なるほど。ネクロの話によると、初めて会ったとき、俺の中に渦巻いていた幸福感を一口かじってみたらしい。するとそれが恐ろしいほどの旨さで、他のマイナスな感情は食えたものじゃなくなったらしい。ただあまり感情を食いすぎても悪いからプラスの感情が有り余っているときにだけ感情を食っていたらしい。その謙虚さにおれ感動しちゃうよ。さすが俺の愛龍。
「まあ、書いてある情報が常に正しいって言うわけでもないわな。」
「さて。用も済んだしそろそろ帰ろうか。きっと団長も気になってると思うヨ。」
「そうですね。じゃあ俺たちはそろそろ行くよ。またなルナ。」
「ああ。また・・・」
「「おうおうおう!!動くんじゃねぇぞ!!ここは俺たちが支配した!!」」
いきなり男二人の怒声が響いた。さっきの青果店の方角からだ。ルナがしかめっ面になり、俺たちに話しかけた。
「やっぱ手伝ってくんね?」




