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2輪ノClover  作者: 奇柳 業
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13話:血清と抗体の違いってあんまりわかんない

皆さんこんにちは。奇柳業です。今回は主に響也視点となっています。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 「何を言ってるんだ馬鹿野郎。」


いきなり渉輝が俺に罵倒を浴びせてくる。そういう趣味は無いんだがな。別に何も変なことは言ってない。ただ病人の血液を持ってきてくれといっただけだ。といっても、妙なとこだけ勘のいい渉輝は何に使うかまでわかったんだろうな。


 「どうせお前のことだからその血液を自分に入れてまた抗体作ろうとするんだろ!頼むからお前はもっと自分を大事に・・・」


やっぱりだ。しかしここは俺も引き下がれない。


 「だがな渉輝。今できることは他にないだろう。今作った抗体で〈灼熱血液散弾症候群(バーニングマグナミア)の患者はなんとかなるだろう。じゃあ〈笑顔傀儡性症候群(マリオズスマイリア)〉は?他の病気の患者たちはどう治す。」

 「それは・・・」


渉輝が言葉に詰まる。少々申し訳ないがここで更に畳み掛ける。


 「俺達がここに来た目的を思い出しなよ。ギルドに入るためだろう。ギルドに入らないとやれることもできねぇ。そうだろ?」

 「だとしても!お前がさっき倒れたとき俺がどれだけ心配したかわかるか!?お前はもっと自分を大切にしてくれ!」


おっとそうきたか。これ言われると弱いな。だが、俺も引き下がれないんだよ。


 「今回ばかりはわかってないのはお前のほうだ。お前はは自分が病にかかったときを想定しちゃいねぇだろ。」


返事はない。考えてすらいなかったのだろう。

 

 「もしお前が面倒な病にでもかかってみろ。それで万が一にでもお前を喪っちゃ俺は生きる意味を失う。だから俺はお前が病にかかる前に全部の抗体を作らなきゃならねぇんだ。」

 「だとしても・・・だとしてもだ!仮にそれを行ったとしてお前が生き残る確信があんのかよ!」

 「ある。」


俺はきっぱりと答えた。ここまではっきり言われるのは予想外だったのか、渉輝は驚いたような顔をしている。

 

 「俺の体が証明だ。〈灼熱血液散弾症候群〉より厄介な病はないだろう。それに俺は耐えることができた。それならばほかのものもなんとかなるだろ。」 

 「だがやはり危険すぎる。おいバロン!お前からも何か言ってやってくれよ。」


渉輝からの勧告を受けて、ここまで聞きに徹していたバロンが口を開く。


 「俺も反対かな〜君たちは〜まだ正式な団員じゃ無いし〜命をかけるには・・・」


バロンも前向きじゃないようだ。困ったことだね。こりゃ久々に頭を使いそうだ。




     ◇◇◇




 数十分に渡る討論の結果、俺はなんとか二人を納得させることに成功した。とはいっても。必ずバロンの支援魔法を受けて、危険を感じたら即刻辞めるという条件つきだったがな。


 というわけで、早速〈笑顔傀儡性症候群〉の血液をもらってきた。これを挿せば・・・なんか自分から病気になりに行くってなんか変な感じだな。まあいい。俺は二人に見守られながら自らの腕に注射を刺し、そのまま意識を手放した。




     ◇◇◇




 「バロン。一つ頼みがあるんだ。」

 

 寝込んでいる響也を見て、俺は隣のバロンに話しかける。


 「俺に戦い方を教えてくれ。」


バロンは真面目な顔でそう頼み込んだ俺の顔を覗き込むと、少し笑みを浮かべてこう言った。


 「俺の特訓って結構厳しいって評判だよ?」




     ◇◇◇




 「やっと肩の荷が下りたぜ渉輝。」

 「お前はいつもむちゃし過ぎなんだ響也。」


 5日後・・・じゃなかった。10日後、俺はこの街にはびこっていたすべての病の抗体作成に成功した。なんと5日で・・・10日だったわ。なぜこんなに時間を間違えるかっていうとだな、俺がかなり寝込んでいたかららしいんだよ。俺としては活動してたのは5日だったのだが、思ったより時間がかかっていたらしい。


なにはともあれ、この街の病人は抗体によりすべて完治し、もはやパラノイアは病の街では無くなった。町医者に抗体の培養も頼んでおいたし、しばらくは大丈夫だろう。


今俺たちは病の抗体や街の現在の様子について、改めて報告するためにズミーラのいる場所へ向かっている。


 「いや〜本当に君たちには〜驚かされるよ〜。」


しっかり依頼はこなせたんだしこれは入団試験合格かな?なーんて事を思っているとすぐに屋敷にはついた。すぐにズミーラが出迎えてくる。


 「いやはやお待ちしておりました。バロン様、響也様 渉輝様。この度のことは、私にとってはとても衝撃的で、もうなんと言ったらいいか・・・」


あ、そうだ〈探知〉を発動させておかないと。


 「そうですね、ここまでのことを起こしてくださったお三方には何か礼をしないと・・・」


ここでふと違和感を感じる。わずかに現れた感情の思念。俺にとっては感じなれた思念。これは・・・


 「強欲の魔王マモンの忠実なる下僕の一人と・・・災厄を撒き散らすドラゴンを退治するチャンスなどはどうでしょう。」


 間違いない。殺意だ。しかし俺が何かを呼びかけるよりも、バロンが俺たちの首根っこをつかんで建物の外へ脱出したことのほうが先だった。だがバロンの頬を一滴の汗が滴り落ちる。


 「まさか~あれが出るとはね〜災厄の魔龍、〈呪怨龍(カースドラゴン)〉」   

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