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2輪ノClover  作者: 奇柳 業
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9話:病の街

今回は渉輝視点です。執筆環境の大幅変化のため、少し投稿頻度が落ちるかもしれません。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 ギルドを出て数日。大したトラブルもなく、俺たちはパラノイアに到着した。足元に駆け巡る気配を感じて響也(ヒビヤ)が口を開く。


 「うわ・・・ネズミだらけだな。まさか病四天王のうちの一柱(ひとり)がここにいるとは。」

 「病四天王?なんだそれ。」


ちょっと気になったので聞いてみた。すると響也は笑顔で語りだした。曰く、

 

 病四天王とはこの世に病をはびこらせる一大原因を作り出すもののことらしい。具体的には以下の通りらしい。


 ネズミ・・・黒き死を常世に振りまく死の化身。小さい体と機敏な動きであらゆる場所に侵入する

 蚊・・・マラリアなどの凶悪な病を運ぶ死の運び屋。俺たちの元の世界で最も殺人を犯している

 蝿・・・体に病を纏う不潔と不浄の使徒。奴の居る場所では食物も毒物に変わる

 ダニ・・・回帰熱を運ぶ極小の暗殺者(アサシン)。ちょっとした隙間からも侵入する殺しのプロ


 「どうだ?わかりやすかったか渉輝(ショウキ)。」


響也がドヤ顔で俺に語る。こんなことばっか詳しいんだから。まあ素直に褒めておくか。

 

 「悪くはなかったよ。んでどうすんのよこの街。」


一応来た理由はこの街を救うためなのでそれの相談もする。


 「お褒めに預かり光栄だ。まあこの街は・・・先輩に聞いてみるか。」


そう言うと響也は、少し前を行っていたバロンに向かって問いかけた。


 「まずは何しますか?」

 「現状把握だね〜まずは。情報がないと〜何も出来ないさ。」

 「あ、それと・・・これって俺たちがなにかに感染しないような対策ってありますか?」


たしかにそうだ。元の世界ではマスクとか防護服とかがあったが・・・ここにはあるのか?


 「対策ね〜気合だよ〜かかったらご愁傷さまだね〜。」

 「「・・・まじかよ」」


二人共、敬語を忘れて本気で驚いてしまった。俺たちまでなにかにかかったら本末転倒じゃん。


というわけで、俺たちはトッルの案内を受けながら街を少し回ってみた。結果と現状は見た感じ最悪だ。病にかかって居るらしき人はかなりの頻度で道端に捨てられて呻いている。ついでに死体もだ。火葬くらいしてやれよ。流石に少し立場が高い人は家の中で療養してるようだが、状態は芳しくない。


 「やれやれ・・・こりゃ地獄絵図だな・・っと。」

 「大丈夫か?」


響也が少しふらついた。めったにあいつはそんなこと無いから少し心配だ。


 「多分大丈夫だ。死体なんてあっちでは数えるほどしか見たことなかったからな。脳が疲れたんだろ。あと死体とかの臭いがキツい。」

 「そこまでキツいか?」


俺は大して感じなかったんだが。そういえば響也は『探知』とか言うスキルを持っていた。それと少し関係があるのかもしれない。


 「これは〜想定よりも〜酷い有様だね〜。」


一通り街を回ったあと、俺たちは宿を取り休憩をとった。トッルは明日会う時間を決めたあと、一度家に帰った。妻と娘が待ってるらしい。リア充がよ。


 「ここまでの様子だと、ここの長にも協力を頼んだほうがいいんじゃないですか?」

 「そうだな〜俺たちだけじゃ〜厳しいね。」


響也の提案にバロンが同調する。それ自体はいい案だと思うんだが・・・


 「だけどよ。そんな街の長になんてどうやって合うんだよ。」

 

多分問題はここだろう。この世界のギルドってどんくらい力あるんやろか。それも知っておきたいという思いもあったがな。『せめて先輩には敬語を使えよ・・・』とか聞こえた気がするが気にしない。俺は本気で尊敬する人にしか敬語は使わないんだ。


 「そうか〜君たちまだ見習いだから〜持ってないんだ〜。」


俺の質問を聞いたバロンはそう言いながら、上着のポケットから手のひらサイズのカードらしきものを出した。

 

 「これは?」

 「これはね〜ギルドライセンスさ。」


バロン曰く、ギルドライセンスとはギルドの正式団員にだけ与えられるカードで、ギルドの団長に許可印を押してもらうことで、ある程度の行動を無条件で許可され、町長との会議とかは流石に許可がないとできないが、受付などはかなり楽になるらしい。そういえば結構勝手に人の家入ってたわ。


 悪用とかされないのかな・・・とか思ってたら、悪用したら首が飛ぶと教えてくれた。恐ろしいなおい。そしてこのライセンスを使って、町長と会談できるだろうとバロンは言った。


 「じゃあ明日は、これを使って長と話しに行きましょう。」

 「俺は賛成。」

 「よーし。明日の予定も決まったし〜もう今日は休もうか。」


明日も早いだろうし、俺たちはもう寝ることにした。



 

     ◇◇◇




 響也と渉輝が寝静まった頃、バロンは一人今回の任務を考えていた。


 『あの二人の面倒をしっかり見てやれ。お前のことだから死ぬことはないと思うが、何かあったら迷わず逃げろ。一応、ギルドに入れれるかを見ておけよ。』


これが今回団長から授かった任務だった。あくまでも自分らの安全が優先。パラノイアは二の次だそうだ。いつも思うが、団長は言動こそ大雑把であるが、その実誰よりも繊細だ。ギルドの誰よりも団員のことを考えている。知る人は少ないが、ギルドで死人が出るたびに欠かさず葬儀に出席している。


 そんな団長だから、俺は彼についていきたいと思ったのだろう。そんな団長に任された任務だ。せめて精一杯努力するとしよう。


 渉輝は、見た感じ死体を見ても一瞬顔をしかめるだけで何も感じている様子はなかった。仕事柄死体を見るのはしょっちゅうだから、そこそこ評価できる。体力も申し分ない。あとは戦闘能力だな。


 響也は・・・はっきり言って全く読めない。死体を見ても眉一つ動かさないのに、少しふらついたりしていた。体力が無いわけではないし、何か意識的に俺に読ませないようにしている気さえする。


二人共かなり特徴的だ。悪くはないと思うが・・・今はまだなんとも言えまい。まだ時間はあるのだ。ゆっくり考えるとしよう。あとは明日だ。明日は町長との会談がある。ここで成功を取り付けれるかが勝負だろう。二人に任せてみるのも良いかもしれない。


 明日に思いを馳せながら、バロンはゆっくり眠りに落ちた。

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