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拳客、異世界を行く  作者: Katz
騒動
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02-02 村人の襲来

前話のまとめ

魔女のおばちゃま。

 おばちゃんが魔女だって?おいおい、おばちゃんは神を冒涜するような悪女だったのか?


「そういうのは実情を知らない連中が適当に作り上げたイメージなんだよ。と、言いたい所だがね、あたしは神を敬ってないからねぇ。あながち間違ってるとも言い切れないかね」


 そう言ってニヤリと笑った。


 でもなぁ、俺みたいな現代日本人には冗談にも皮肉にも聞こえないんだよなぁ。言葉通りに淡々と受け取るだけだ。


 それよりも、だ。もしかして、おばちゃんも魔法を使えるのか?


「ふふふ、まぁ、嗜む程度にはね」


 土下座!


 突然の土下座にビックリして目を瞬くおばちゃんに頼み込んだ。だってそうだろう、魔法だぜ!


 俺だってガキの頃は、気功で手も触れずに敵を吹っ飛ばすような中国拳法の誤ったイメージに憧れた(クチ)だ。歳を食って現実って奴が見えるようになったが、それでも超常の力への憧れを失った訳じゃない。


 合気やら化勁やら、そういう技術だって知らない人から見れば魔法みたいな物なんだろうがな。どこまで行っても超常の力とは言い難い。そこへ魔法だぜ?本物の超常だぜ?


 交渉の結果、魔法を教わる代わりに俺の知識を教える事になった。魔法を含むこの世界の知識や一般常識をおばちゃんが教えてくれて、俺は俺の世界の様々な知識を教える。等価交換だ。


 う〜ん、いや、等価交換、か?明らかに俺の貰い過ぎだろ。何しろ生活の方法すらわかってなくて、そこを助けてもらう代わりに適当にくっちゃべるって話だからなぁ。


 うん、まぁ、いいか。おばちゃんは等価と言い切ってるしな、ホクホク顔で。おばちゃんにはおばちゃんの価値基準があるって事なんだろう。知らんけど。


 但し、釘を刺された。


「魔法やら魔女やら、調子に乗ってそこらで吹聴するんじゃないよ。話を聞こうとするのもやめておくんだね。さっきも言ったけど、大変な事になるからね。世界を敵に回すよ」


 そうなったら躊躇わずにあんたを切り捨てるからね、と脅された。何しろ異端審問で火炙りだからな。気を付けよう。


 ところで、ずっと気になってたんだが。その、隣の少年はどういったお坊ちゃんで?


「ああ、この子は私の息子でね。ちょっと遠くまで使いに出てもらってて、漸く帰ってきたんだよ」


「はい!おいらはリクドと言います!」


 ちょっと怪しいな。突っ込みたい所が幾つもある。


 そうだなぁ、まだ完全に信用された訳じゃないと考えておくべきか。全部の秘密を公開するなんて不用心な事もしないだろうし。


 ここは大人の対応だな。信用を積み上げたら明かしてくれるような秘密もあるだろう。


 そうだな、その時は、ファンタジーな種族の方々を紹介してくれって頼んでみるか。魔女ってのは旧種族と称するファンタジーな方々と取引するとか言ってたし。やっぱり会ってみたいよねエルフとか。


 うん、当面の行動指針も決まったぜ。まずはおばちゃんの信用を得るってね。一宿一飯どころじゃない恩義もあるしな。


 ・‥…━…‥・


 事件は翌日の午後に起きた。


 おばちゃんに教わりつつリクド少年と一緒に農作業なんかの手伝いをして、さてお茶にしようかと庭の隅で準備を始めた頃。


 何だかチンピラっぽいのが数人やってきた。後ろから一人、しっかりした格好の聖職者と思しき青年が苦虫を嚙み潰したような顔で付いてきている。


 チャラチャラした好い加減そうな雰囲気の、目付きの悪いチンピラオヤジが口を開いた。


「おう、あんたが魔女だっつうババアか。村に悪さをする前にとっ捕まえに来てやったぜ」


 いきなり何を言い出すんだ。おばちゃんを見ると、やっぱり苦虫を嚙み潰したような顔をしている。


「魔女を教会に引き渡せば報奨金が出るからね。大方、村の鼻つまみ者か町の破落戸(ごろつき)があたしの事を聞き付けて、酒代欲しさに来たんだろう」


 すると後ろの聖職者は付き添いか何かか。もしかするとこの場でおばちゃんを痛め付けて聖職者に渡して、それで教会に引き渡した事にしてこの場で手早く金を貰っちまおうって寸法か?(ろく)でもねぇな。


 それにしても魔女狩りに来る聖職者ってのはもっとノリノリになるような気がしたんたが、小説や漫画の読み過ぎなんだろうか。あんまり乗り気じゃ無さそうに見える。


 さておばちゃんはどう出るんだ?


「どうする?付いてって潔白を訴えるか?上手くいけば穏便に収まりそうだが」


「馬鹿を言うんじゃないよ。魔女の取り調べなんざ最初から異端審問に決まってるだろ。拷問による自白の強要だよ、付き合ってられないよ」


「わかった。チンピラの力尽くは俺が抑える。場を作るから、舌戦を頼む」


「ふん。頼りにしてるよ」


 魔法を使われたら厄介だけどな。どんな魔法があってどう使われるかわからんし。でも貴族じゃなさそうだし、魔法が無いなら何とかなるだろ。


 後ろの数人はただの取り巻きらしい。いけ好かないニヤニヤ笑いで、傍観の構えだ。このチンピラオヤジを適当にヨイショして余禄に預かろうってロクデナシの集まりだろう。無視だ無視。


 俺はチンピラオヤジの前に立った。


「なんだぁテメエは。ババアが用心棒でも雇いやがったか」


「そんなようなもんだ。話なら俺が聞くぜ」


「テメエに用は()ぇんだよ」


 そう言いながら振り被ってきた。


 荒事をどのくらい経験してきたのか知らないが、まぁ、ド素人の力押しだな。それも力が足りない。すぐ手を上げるから持て余されてるだけで、別に強い訳じゃ無いんだろう。


 ま、大した相手じゃない。しかし単純にぶっちめるってのもなぁ。聖職者の立ち位置もわからんし、面倒臭い事になっちまうかも知れない。


 さてどうするかな。

宗教に関しては少々面倒臭いです。

学校の歴史の教科書で語られる程度の設定は一応考えてありまして、それはいずれ…

…あれ?全貌を明らかにする機会は無いかも知れません。汗

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