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記憶の欠片  作者: 陸莉
8/10

謎と真実。

目が覚めたら、お昼だった。

と言うより、叩き起こされた。

「リハビリの事は、伝えて置いたよ。」

莉緒さんは私に向かって、笑顔で言った。

嫌そうな表情しか見た事が無かった気がしたのに

何か良い事でもあったのかと思ったら

「リハビリ?」

男の人の声がした。

「そうなの。琴音ちゃんの希望でね?」

私しか居ない時と明らかに声色が違う。

視線を動かすと

「こんにちは。」

黒髪、爽やか、イケメンが、私を見て微笑んでいる。

光汰くん…だったかな。

「こ…こんにちは…」

目覚めたばかりで、若干声が掠れた。

「学校は」

「僕の学校、今日午前中だけだったんだ。」

キラキラスマイルは、少女漫画の王子様の様だと思った。


そう言えばこう言う事は覚えている。

忘れているのは、自分の事、私の周りの人の事。

不思議な感覚だと思った。

「琴音ちゃん。ご飯冷めるから、早く食べた方が良いわよ?」

莉緒さんが、普段は私の前では出さない様な

猫撫で声で言う。

「あ、はい…」

頑張って箸を手に取る。

今朝までは、スプーンがあったのに、箸しか無い。

「光汰くん、きっと、琴音ちゃん食事している所見られたくないと思うから、お部屋から出てて貰える?」

「あ、はい。僕もご飯食べてくるね。」

そう言うと、光汰くんは、病室から出て行った。

莉緒さんは、その後を無言で出た。

なんであんなに態度が違うんだろう?

疑問を抱きながら、頑張って箸でご飯を食べた。

初めは上手く使えなかったけれど

案外体は覚えていたようで、うまく使いこなせていた気がした。

綺麗に使えていたかは、判らないけれど

ご飯粒を残さずに食べきれた。

(まぁ、それでも未だに食べている間の吐き気や、辛さはある。)

さっきまで眠っていたせいか、眠気は無かったから

莉緒さんが食器を下げに来るまで、

「暇だったら読んで」

と、さくらさんが置いていった漫画本を読んでいた。

様々なジャンルの本があった。

(ホラー系は無かった)

扉が開く音がして

莉緒さんが、食器を取りに来た。

「まだ起きていたの。」

怪訝そうに言うと、

乱暴に、食器が乗っているお盆を持って、部屋から出て行った。

何なんだろう一体。

記憶を失う前に私は何かしてしまったのだろうか?

でも、その割に

私が目覚めた直後にあった時は

優しそうな感じで挨拶をされた。

其れなのに…どういう事なのか

全然理解が出来ない。


何かあったのか、とても気になる。



14時頃、光汰くんが来た。

「これ、出掛けに、おばさんに会って、着替え渡して欲しいって。勝手に部屋の物漁ってはいないからって言っていたよ」

おばさん…

あの人か…

真っ赤な口紅のあの人…

扉が乱暴に開く。

「何が“部屋の物は漁ってはいない!”よ。他の物はめちゃくちゃにした癖に」

さくらさんが入ってきた。

「それもサイズが合っているか判らないわ」

何故、さくらさんが怒っているんだろう。

それが良く分からないのと

私の事情に皆詳しすぎて少し怖い。

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