悪意と善意。3
気が付いたら夕方だった(2回目)
誰の姿もなく、1人だった。
ベッドを囲んでいたカーテンは開けられていた。
部屋の扉が、控えめにノックされる。
「どうぞ…」
そう答えると、扉が開いて、
昨日来た男の子2人が、顔を覗かせた。
昨日は気付かなかったけれど、相当カッコいいと思う。
ブレザーの制服の人は、優しそうな爽やか系
学ランの方は、チャラ男風。
「昨日は、大勢で来て混乱させたみたいだから、じゃんけんで勝った俺たちが来たよ。」
チャラ男君はそう言うと、綺麗にウインクをした。
見た目は、今風のチャラ男なのに、
何処か残念な人だと感じてしまったのは何故だろう。
「あ、昨日は折角来てくださったのに、すみません。」
そう謝ると、2人は顔を見合わせ、
「琴音ちゃん?」
爽やか君が琴音の顔を覗き込む。
「あの…私、記憶が無くて…」
…
……
………
間が空く。
「マジで」
チャラ男君は、目を丸くする。
「なので、私と、お2人の関係性を教えて貰いたいです。」
「関係性…」
爽やか君は悩む。
「え、そこ悩む所?」
チャラ男君がそう言うと
「いや、君、ふざけた事言いそうだし。」
「俺の心配!?」
「いつもそうじゃないですか。」
「急な敬語」
「ふふ…」
思わず笑いだす、琴音。
「あ、関係性…」
琴音の笑い声で、話を戻す、爽やか君。
「俺は、琴音ちゃんが幼稚園児の時からの幼馴染で、木沢 光汰。で、こっちは、琴音ちゃんの学校のクラスメイト。」
「仲島 優介だよ。」
何だろう。語尾に星マークが見えた気がする。
「昨日一緒に居た、女の子たちも、琴音ちゃんのクラスメイト。」
「そうなんですね…」
「俺だけ、別の学校なんだけど、琴音ちゃんの友達って事で、一緒に遊びに行ったりしてた。」
私は何で何も覚えていないんだろう。
「そう言えば、落ちた時、一緒に落ちたスマホ、やっぱり直せないみたいだから」
チャラ男君が言う。
「落ちた?」
「あ、ヤバ…」
私、落ちたの?何で?何処から?
私の怪我と記憶喪失の原因は、何処からか落下したせいだという事が分かった。