表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】恋に恋する侯爵令嬢のこじらせ恋愛  作者: 狭山ひびき
好きな人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/44

1

 カトリーナが攫われた――

 カトリーナの侍女であるアリッサが、真っ青な顔をして王家の別荘地にやってきたとき、レオンハルトはカトリーナにプレゼントするための宝石を物色中だった。

 泣きはらした目をしてやってきたアリッサに、カトリーナが乗った馬車が帰宅途中に襲われて、彼女が連れ去らわれてしまったと聞いたレオンハルトは、手に持っていたブルーサファイアの石を取り落とした。


「なんだって! どういうことだ!」


 レオンハルトはすごい剣幕でアリッサに詰め寄る。

 そばに控えていたエドガーは慌ててアリッサをかばうように間に入ると、アリッサをソファに座らせて、事情を聞き出した。

 アリッサが言うには、隣町に買い物に出かけた帰り、馬車が何者かに襲われたという。

 唯一の男手である御者は昏倒しており、馬は馬車から切り離されてパニックになって走り去って、数人の男に取り囲まれたカトリーナとアリッサはなすすべがなかった。

 狙いははじめからカトリーナだったらしい。

 カトリーナは男たちに、自分はついて行くからアリッサはおいて行けと告げて、取りすがるアリッサをなだめて一人で男たちについて行ってしまったそうだ。


「なんてことだ!」


 事情を聞き終えたレオンハルトはソファを殴りつけて立ち上がった。


「案内しろ、その場に行く! エドガー!」

「はい、馬車を準備してきます」


 エドガーは表情を緊張にこわばらせたまま居間を出て行こうとして、家令が切羽詰まった様子で走ってくるのを見つけた。


「どうしました?」


 高齢の家令は、ぜーぜーと肩で息をしながら、震える手でエドガーにぐしゃぐしゃに握りしめられた紙を手渡した。

 エドガーは皺だらけの紙を広げて中に書かれていた文字を読むと、ぐっと眉間に皺を寄せた。


「殿下―――」


 居間の中で檻の中の肉食獣のように落ち着きなく歩き回るレオンハルトに紙を差し出すと、レオンハルトはその文面に視線を走らせ、ぐしゃっと紙を握りしめた。

 紙には、カトリーナを返してほしければ王太子の座を返上して国外に消えろと書いてあった。


「あいつか―――!」


 レオンハルトは、握りしめた紙を、力いっぱい壁に向かって投げつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ