Living day lights
「立野くん!」
「わあ、なんですか?博士!」
「我々は生まれ落ちた瞬間から、死に向かって生き続けておる」
「…」
「朝が来て、昼になりやがて夜が来る」
「だから?」
「だから時間を止めて、朝が来ないようにする装置を…」
「造ったんですか?!」
また困ったことになったぞ!と立野くんは思った。
「でも、変じゃないですか?地球が自転しているから昼夜があるわけで…」
「太陽を隠す!」
「なんですと!?」
以前からマッドサイエンティストのケがあると思っていたがここまでとは?!
立野くんは断固として今回ばかりは(?)博士を全力で阻止しようと決意した。
「太陽が無くなるということは、植物は酸素を生み出さず、地上は冷えて凍りつくことでしょう!僕らは太陽無しには生きられないんです!」
「どっちにしろいずれ死ぬんじゃないか?」
「死ぬのを早めてどーするんですかっ!!!」
「あれ?」
「あれ?じゃありません。もう遅い時間ですし、お休みになって頭を休めてください」
「眠れんのじゃ」
「じゃあ、テレビで放送してるアニメでも見てポジティブになってください」
「睡眠導入剤を病院で処方してもらってくるよ。明日の朝」
「ああ、明日は無事に来るんですね?」
「うむ。もう少し考えてみる」
「もう、考えなくていいよっ!」
「みよこーみよこはどこじゃ?」
「奥さんはもうお休みですよ」
博士は研究室から出ていった。
「くうー。ビールがうまい!」
あたりめをツマミに深夜ビールを飲む。
「こら、マル。あたりめは食べちゃだめだぞ」
「んみゃあ」
マルが抗議の声をあげた。
「僕が世界を救ったんだ。へへ」
酔っ払ってるかもしれない。
太陽の光が明日を連れてくる。なんて素晴らしいことだろう?
「立野くん」
博士が研究室を覗きに来た。
「あー、マッドサイエンティスト!」
「誰がじゃ」
「博士がじゃ」
「完全に酔っ払っておるな。さっき見に来たときには高いびきだったが、どんな夢をみとったのかね?」
「博士が朝が来ないようにするって言ってて、僕が阻止しましたあ」
「そーかい」
はっ!
「夢?」
「うむ」
「夢だったんですか?」
「なんのことかね?それより、研究は進んでるのかね?」
「あいたあ」
「?」
「頭が痛いよう」
立野くんは涙ぐみました。
翌朝、立野くんは二日酔いでした。