朝日
悪魔の住む街では久しぶりの朝日
「おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。」
清々しい。
清々しくなるまでには目覚ましを止めて10分、この季節ヌクヌクしていたい、遠い昔は目覚まし時計なんか使わなくてもピタッと起きていた。
歳のせいなのか、ぐうたらになっただけなのかは、深く考えないでおくことにしよう。
朝日にご挨拶するようになったのは何時からだったろう。
遠い記憶たどって見ると、思い出した。
さっきまで生きていた最愛の人が亡くなってからだろう。
最愛の人とはパパ悪魔である。
地元ではチョッと有名人だったパパ悪魔は優しく面白く自慢のパパ悪魔だった、スクスク大事に育てられた悪魔は、優しく美しい娘に育ちましたとさ、めでたしめでたしにはならなかった。
美しく育っかどうかは、好みが人それぞれ違うので否定はしないでおこう、しかしスクスクは育ちました。
スクスク育った悪魔は恋をしてしまった。
この人と結婚出来ないなんて、なんのために生まれて来たんだろう、どんな苦労でもこの人とならって
他の人にとられたくない、私しか彼を分かってあげられない。
そんな事は断じてない、妄想に過ぎない。悪魔も若かった。
知ってるおじさんおばさんは勿論、お前誰だよっつてな感じのおじさんおばさんにまで、馬鹿だの裏切り者だの散々の言われようだった。
そんなこんな、すったもんだあったけど結婚出来てしまった。
幸せの絶頂、地球は悪魔を中心に回っていると浮かれていた悪魔、神様は見ていたのかも・・・
3ヶ月後、突然パパ悪魔は天に召されてしまった。
泣きましたとも、この世の終わり、干からびてしまうんじゃないかって位。
大切な者は無くしてみないと分からない悪魔は、相当こたえました。
どんなに守られていたか、どんなに頼っていたか、パパ悪魔は一度も嫁に行かないでくれとは言いませんでしたが、自分であの世に行ってしまいました。
ちなみに結婚式当日は一日中花粉症で大変だったらしいです。
悪魔でも良心はあるようで、誰にも内緒で何十年
パパ悪魔は私が殺してしまった自負から今でも十字架を背負っています。
話はそれてしまったように感じますが、二度と会えないかもしれない、朝は来ないかも知れないそんな思いから朝日にあいさつ。
ちょっと湿っぽくなってしまいましたが、愛する人を大切に、朝が来るのは有り難いこと。
頑張りましょう。