表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰狼達の宴 ~国家特別防衛機関 活動記録~  作者: 石松 鳰
第七章 灰狼達の宴

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/43

休日編 空の場合

「はい。以上です」

画面が消え、疲れた顔が映る。僕は内閣総理大臣にこの一週間の報告を済ませた。ちらっと時計を見ると、十二時を回ったところだった。確か今日のご飯当番は透だったか。食堂に向かうと、おいしそうな香ばしい匂いが鼻をくすぶる。これほどエプロンの似合わない男はいないだろう。だが、何故か奴は料理ができるのだ。面白いことに。メニューはコロッケ。一口放り込むと

「詐欺だ」

と呟いた。それを前の席で聞いていた祐希が口を開く。

「ですよね…今までも何度かありましたけど、久々に食べて、やっぱりおいしいなと思いましたよ」

嬉しそうに頬張っている。なんて、幸せそうなんだ…

「ほんっと。ムカつく」

僕の隣の席に腰を下ろすやいなや、そういうことを言ってきた。面白いから少しからかってみる。

「零、料理全然だもんね」

零は頬を膨らまして、悔しそうに言った。

「できるもん」

「何できる?」

「カップ麺」

「それは料理じゃない」

そのやりとりに祐希が腹を抱えて笑い始めた。

三人で食堂を後にして受付を見ると、子連れの女性が来ていた。少女は僕の顔を見るなり、満面の笑みで足に絡みついてきた。少々戸惑い、首を横に向けると、二人は手を口に当て、大げさに引いていた。

「先輩!まさか…ロリコ…」

「空、犯罪だよ」

なんという言われよう。お客さんの前だからやめなさいという言葉を飲み込んだ。とりあえず、面会室に通す。

「先日お邪魔した。根室さんですよね」

奥さんは微妙な顔をして頷いた。真剣な話をしようと、口を開こうとしたとき、袖を掴まれた。たしなめようとした奥さんに、いいですよと言って、どうしたの?と聞くと、少女は少し俯いた。

「おにいちゃん。おとーさんね、こわいおじさんたちといて、こわかったの。わたしとママはもうおとーさんにあえないから…わたしがママをまもるの」

純粋で綺麗な瞳にみるみる涙が溜まっていく。慰めようと思ってやめた。この複雑な感情を顔に出さないように全神経を注いだ。

「空さん」

「はい」

そういえば、事情を話しに行った時、一発痛いのを貰ったっけ。

「すいませんでした。そして、ありがとうございました」

思わず口をあんぐりと開けてしまった。

「はあ」

と同時に腑抜けた声も出た。

「私は、主人を奪ったあなた達を許すことはできません。ですが、主人を苦しみから解放して下さってありがとうございます」


去り際、奥さんは笑顔で一礼した。笑顔の二人を見送って、自分が惨めになった。

鬼を殺して、挙句の果て鬼畜と罵られようとも。たとえ、恨まれても、殴られても、僕たちは剣をとることをやめられない。自分に潜むバケモノをそっとしまい込んで。ふと、呟いた。


「さて、この濁りきった目で何を見ようかな。

次は零編でーす

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ