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6. 狼の偽り
「不気味だな」
思わずそう呟いてしまった。廃病院なのだから不気味なのは当然。一歩踏み入れると一気に冷え込みが激しくなる。すると、横から短刀が飛んできた。空は反射的に避ける。木に真っ直ぐ突き刺さった。慎重に顔をそちらに向けると、廃病院にも劣らない不気味さを兼ね備えた面をかぶった男性が姿を現した。明らかに分かる殺気。
「そりゃそうだよね…」
空は固く微笑すると、箱から銃剣を取り出した。スナイパーライフルの銃剣。暗闇に剣の甲高い音が響く。しばらく打ち合った後、一瞬の隙をついて空は剣を面に当てた。ヒビが入る。そして、割れて散った。
「嘘……」
微かな月光に照らされたその顔は良く見たことのある顔だった…
その顔とは…?




