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7 狼の走り
「ショックでしばらく何もできなかったそうなんだ。これが、理由」
「…」
零は言葉を失っていた。しばらくの沈黙が空には余計に重く感じた。
「嘘つき」
「えっ?」
「前、家族がいる幸せが分からないって言ってたでしょ。失ったことがあるなら分かるだろ」
そういうことねと首を上下に振る。でもそういうことじゃないんだと言いかけて口を結んだ。
「話してくれてありがとう」
初めて見た子供らしい笑顔に空は目を丸くしたが、微笑み返し、頷いた。
冬の美しい寒さに身を震わせ、美しいソラを見上げた。藍色のソラと黄色の月に白色の息を一つ吐いた。白い息は高く高く立ち上り、夜空へと消えていった。
読んでくださってありがとうございます。
灰狼達の諍。合宿編!ということで六章まで来ました。想像するとかなりグロテスクだなぁと自分で思ってました。かなり雲行きが怪しくなってきました…どうなることやら。
では、第七章。そして、彼らはヒトとなる…




