15/43
2 狼の判断
「っ…」
弾は重力に逆らわず、下へ落ちた。それは赤いもので囲まれて。それは痛しいもので包まれていた。
「零…先輩」
小百合は拳銃を下ろす。零が銃口を手で塞いだのだ。手からは一滴二滴と血が滴り落ちる。小百合の呼吸はまだ荒く、瞳孔は開いている。
「また、違うものに来させます」
そう言って小百合を連れて行った。小百合は唇を噛み締め、下を向く。車の中の空気は重く、二人とも一言も発さなかった。零は何か忘れているということさえ、感じなかった。
後々、めっちゃ痛かったことに気付く…




