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家令となることを父上に認められた。兄上からはこれからよろしくなと声をかけられ、はい! と返事をした。歓喜が伝わり風が踊る。これでライラの側にずっといられる。
「おめでとう、ナハト。私も嬉しい」
「ありがとう、ライラ。これでずっと一緒だ」
森の奥でライラと語り合う。ライラは今日も美しい。月がライラの瞳を更に煌めかせるように輝っていて、眩しさに目を細めてしまう。
「お父様達に認められて良かったわ。これからもずっと一緒ね」
「ああ。ずっとあなたのそばに。ライラ」
ライラが弓のように目を細めた。金の瞳が三日月のようになる。ふわりとそのままライラが浮き上がり、追うように風を操った。
「ナハト。私のナハト。今日は遠くまで行きましょう? あなたに全ての夜を見せてあげたい。北の夜はそれはそれは綺麗なの。南の夜はとても楽しいし、東の夜は活気に溢れてる。西の夜は居心地が良くて、ずっと居たくなってしまうほどよ」
「ああ、楽しみだ」
ライラの手を取り夜を駆ける。夜の娘、ライラ。夜のことで彼女が知らぬ物はなく、あらゆることを知っている。彼女といることはいつも楽しい。これからずっと、彼女と共に楽しい日々が始まる。とても幸せな気持ちで、夜に溶けた。