第1話〜Dixi ego in corde tuo....〜
2143年現在、世界の技術はものすごい発展を遂げている。全車両自動化や学業電子化、仕事では魔術による発明、それらの技術は電子魔学と呼ばれるようになった。その中でもその技術に群を抜いていたのは日本であった。
そして、今日は日本で唯一の専門大学の新日本電子魔学大学入学式である。
「カグヤおいてくぞ~。」
「リュウ君待ってよ~。」
桜の舞う季節で道中は桜のアーチによって包まれていた。各高校、大学等の入学式が重なり大勢の新入生で道がいっぱいになり、その中でも特に目立っている新入生が二人いた。
「今日人多すぎだろ。」
『星乃流星』18歳だが童顔で年相応には見えない顔立ちだが、器の大きさや要領の良さ等長所がたくさ
んあるため、人望がかなり厚く頼りがいのある人物である。
「本当に多いね。でも、楽しくない?」
『一七夜月香夜』流星の幼馴染みで恋人同士である。才色兼備で、男女問わず人気ではあるが流星にぞっこんなため他の人達との交流は少ない。
流星は居合道によるスポーツ推薦での入学である。その実力は日本でもトップクラスで世界を狙えるほどの逸材。電子魔学大学はスポーツでも有名なため、スポーツ推薦での入学がかなり多い。
かたや香夜は一般入試で主席合格。高校時代は全国でトップ3に入る頭脳の持ち主である。香夜の家系の一七夜月家は100年以上の歴史もある一七夜月神社である。香夜は人とは思えないほどの霊力を生まれつき持ち、巫女としての天賦の才能を持っている。
「なんでニヤニヤしてんの?」
「やっと一緒の大学入れたな~って。」
お互いが中学時代から男子校、女子校であったため6年間別だった。そのせいか今回大学一緒というのが相当嬉しい様子である。くわえて2人は同じ学部の同じ学年なので留年、退学がなければ4年間一緒ということになる。
入学式が始まり、新入生500人が講堂に集まった。答辞には香夜が呼ばれ、登壇した瞬間に誰もが目を奪われた。それは綺麗だとか、美しい意味では無く18歳が放つ威圧感ではないという意味である。もちろん新入生だけでなく在校生、教授等にもそれが伝わった。
「常に初心を忘れず、小さな一歩を積み重ね、自分という心を高めていけたらと思います。また、未来につながる発明、発展を出来るように日々精進していきます。」
長いようで短い入学式も無事に終わり、明日からの講義の説明、サークル、部活や研究設備等の説明で時間は夕方になっていた。
「リュウ君お待たせ。」
「よし、帰ろうか。」
校舎から出ると辺りはもう真っ暗で7時を超えていた。ただ暗いだけでなくなぜかは分からないが、妙に不気味な空気が流れていることに流星が気づく。そして、冷たく、重くとても苦しい感じにカグヤが少し体調が悪くなっていた。
「香夜大丈夫?急いで帰ろう。」
「大丈夫。ちょっと頭痛いだけだから。」
あきらかに様子がおかしい香夜を気遣って近くで少し休憩しようと思った瞬間に、携帯のアラームが鳴った。そのアラームはこの地域が震源による震度7以上の緊急地震速報であった。
流星は、急いですぐ近くの安全な場所に避難をしようとしていた。
「カグヤ早く。ここは危ない!!すぐに大きな地震がくる。」
そう流星が言った瞬間に大きな揺れがこの町を襲った。激しい揺れは、10分ぐらいの長さだがそれ以上の長さに感じるほどの恐怖が心に刻まれる。おさまると同時に大津波警報のアラームが町全体に響き渡たり、住人がパニックに陥る姿やあまりにも悲惨な地獄絵図のような光景になっていた。
流星と香夜は急いで高台を目指し逃げていたが、大津波の姿はすぐそこに見えていた。そして、追い打ちをかけるように余震がきてしまい流星と香夜は瓦礫に埋もれてしまう。
意識が朦朧とする中、流星がみたのは香夜が自分を庇って大津波に飲まれる光景だった。そして、意識が無くなる寸前誰かの言葉が耳に残り流星の意識は失ってしまった.....。
「あな...た..は...いき....て......わた....は....に....い...」
俺がこの世界で聞いた最後の言葉だった.....
to be continued.....