表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Answer in the Rain

作者: 京(みやこ)

 最悪だ


 洪水警報が出されるほどの強力な雨の中、私は何の抵抗が出来るでもなくずぶ濡れになりながらただ家を目指す

 本当は彼の家で二人共好きな砂糖抜きのミルクティーを飲んでいた筈なのに

 

 その彼にフラれ、ついでに雨にも降られている私は今世界で一番不幸なんじゃないかと思ってしまうくらいだ


 

 だけど、その思いは間違っている


 ばちが当たったのだ

 可愛くなれない私を愛してくれた彼に答えるよう、可愛くなろうと努力しなかったから


 下らないプライドに邪魔され、愛しているとどうしても言えなかった

 大丈夫じゃない時に「頼れよ」って言ってくれたのに、素直に甘えることが出来なかった

 別れを告げられた時、嫌だと伝えられなかった


 自分の気持ちをちゃんと届けていれば彼を失わずにすんだのだろうか


 別れたくないと

 傍にいて欲しいと


 正直に言えばよかった


 彼は素直じゃない私に何度もチャンスを与えてくれたのに

 その好意を何度も踏みにじってきた


 後悔ばかりが痛い雨と同時に私に降り注ぐ


 どうして今のように彼の前で泣けなかったのだろう

 答えはわかっている


 1メートル先の視界も見えないほどのこの豪雨の中では

 どれだけ涙を流しても誰にも見付からないから

 声を上げて泣きじゃくっても誰にも気付かれないから


 ここまで心置きなく泣けるのならこの雨も悪くないかもしれない



 とりあえず家に着いたらすぐにミルクティーで温まろう

 もちろん砂糖抜きで

 

 そして考えてから彼に電話しよう


「今までありがとう」と言うのか

「まだ隣に居たい」と言うのか


 とっくに出ているはずの答えを考えようとしている辺り、私はまだ素直じゃない

 でも、それはきっとまだ冷静に考えることが出来ている証


 だからこの答えに偽りは無い



 さぁ、家はもうすぐだ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ