Answer in the Rain
最悪だ
洪水警報が出されるほどの強力な雨の中、私は何の抵抗が出来るでもなくずぶ濡れになりながらただ家を目指す
本当は彼の家で二人共好きな砂糖抜きのミルクティーを飲んでいた筈なのに
その彼にフラれ、ついでに雨にも降られている私は今世界で一番不幸なんじゃないかと思ってしまうくらいだ
だけど、その思いは間違っている
罰が当たったのだ
可愛くなれない私を愛してくれた彼に答えるよう、可愛くなろうと努力しなかったから
下らないプライドに邪魔され、愛しているとどうしても言えなかった
大丈夫じゃない時に「頼れよ」って言ってくれたのに、素直に甘えることが出来なかった
別れを告げられた時、嫌だと伝えられなかった
自分の気持ちをちゃんと届けていれば彼を失わずにすんだのだろうか
別れたくないと
傍にいて欲しいと
正直に言えばよかった
彼は素直じゃない私に何度もチャンスを与えてくれたのに
その好意を何度も踏みにじってきた
後悔ばかりが痛い雨と同時に私に降り注ぐ
どうして今のように彼の前で泣けなかったのだろう
答えはわかっている
1メートル先の視界も見えないほどのこの豪雨の中では
どれだけ涙を流しても誰にも見付からないから
声を上げて泣きじゃくっても誰にも気付かれないから
ここまで心置きなく泣けるのならこの雨も悪くないかもしれない
とりあえず家に着いたらすぐにミルクティーで温まろう
もちろん砂糖抜きで
そして考えてから彼に電話しよう
「今までありがとう」と言うのか
「まだ隣に居たい」と言うのか
とっくに出ているはずの答えを考えようとしている辺り、私はまだ素直じゃない
でも、それはきっとまだ冷静に考えることが出来ている証
だからこの答えに偽りは無い
さぁ、家はもうすぐだ