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一日少女(一人声劇用台本

作者: ねこねこ帝国

私は捨てられた猫。

さまよい疲れ、

かよわく鳴いていたところを

あなたに拾われた。

やさしさに包まれながら

私は幸せでした。

ある日枕元に猫神さまが

現れてこう言いました。

一日だけ限りの願いを叶えてやろうと。

私はこう答えたのです。

人間の女の子になって、

ご主人様といてみたいと。


朝、目が覚め、鏡を見たら

美しい黒い髪の少女になってたので

小躍り(こおどり)しました。

問題はいきなり現れた私に

ご主人様がなかなか信じてもらえないこと。

私を拾ったときのことを話したら

ようやく信じてもらえましたけど。

猫の時のように頭をこすりつけたら

ご主人様はどぎまぎしてました。

ふふふ、シャイなんだから。


幸運にもご主人様が休日の日だったのです。

私たちは水族館に出かけることにしました。

くらげさんのかわいさがたまらない。

ふわふわした気分になるのはご主人様が

こんなに近くいるからでしょう。

初めて見る海の生き物に

うれしそうにはしゃぐ私の頭を

ご主人様がなでてきました。

「わわわっ、ドキドキします」

でもすごく胸の奥がキュンとしたのも

事実です。


一通り見終わって、カフェタイム。

パフェを食べ終え、じっと見つめる

私にご主人様はこう言いました。

「なあ、ボクのところに来て

よかったか?」と。

私は夢中で答えました。

「よかったに決まってるじゃないですか」

返事を聞いて、この日で

一番いい笑顔をご主人様は

浮かべました。


それから公園に行って

ブランコに乗ったり

すべりだいを二人ですべったりしました。

ボートに乗って、五分ほど経った頃でしょうか。

私はご主人様の頬にキスしてみました。

すると、次の瞬間。

やさしく唇に口づけてきたのです。

ああ、このままこうしていられたらいいのに。

手をつないで芝生を歩いて

横になりながら日なたぼっこもしたりしました。

見つめあっているうち、

ご主人様はすっかり眠ってしまいました。

あたりは夕方で、私は一日が終わりかけていることが

むなしくなってきました。

ようやく起きたご主人様と家まで

帰る坂道を歩いている時に

打ち明けることにしました。

「ごめんね、実は夕日が沈むと同時に

ネコに戻っちゃうの。

もっと人間でいたかったよ。

お願い、最後に抱きしめて」

黙ってご主人様は抱きしめてくれました。

その瞬間、まばゆい光が走り、

とうとうその時が来たのだとさとりました。

腕の中にはネコに戻った私。

彼の手には私の涙が

唯一の人間時代の思い出として

残っていました。


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