第1話これは自爆しますか、いいえ神剣です。
CAUTION!!
この作品は以下の成分が含まれます。
・拙い文章
・グダグダ要素
・ウザい作者
・その他読者のカルシウムを不足させる要素全般を含む可能性
つまり素人文章だけどそれでも許せるめっちゃ心が広い神々達は読んでみてやってくださいオナシャス!
ついでにお楽しみ頂ければそれが作者冥利!どうぞよろしくお願いします!
あーあーマイクテストマイクテスト本日は晴天なり。
んんー……ま、よし。
そいじゃどうも皆さま、始めましてこんちわ。
俺の名前は上杉紫藤。
開始早々にメタな事をぶちまけると、これから始めるお話の語り手……おこがましい事を言やあ、まぁそのあれだ、“主人公”ってやつを努めさせて頂くことになりそうだ。
てことで挨拶と導入のついでにざっくりばらんと俺の自己紹介をしておこうと思う。
ぶっちゃけ、他にそれをする機会もなさそうだしな!
そんなわけでまず説明しときたいのは、えーと、俺がどんな奴だったかってこと。
俺、上杉紫藤という男は割と世の中一般世間巷様的に褒められた人間じゃない。あんまりな。
21歳にしてろくに友達もいやしないぼっちで、生まれてこの方色恋沙汰もなし。
運動も勉強もルックスも平凡。いや平凡もずらりと並べれば並以下かな?
つまりは特にこれといった取り柄もなし。
ついでに言っちまえばカネも良心もあんまりありゃしない、オタク趣味で引きこもり一歩手前でインドア派な三流大学生。
しかもバイトという目先の小銭にかまけすぎて大学をサボりまくり、単位と進級と就職と将来が絶望的でもある。
あぁ~もういいだろう、自分で言ってて気が滅入る。
つまりは要するに、そんな感じでわりと人生失敗してる感のある悲しい子だったりするわけだ。
夢や希望や甘酸っぱい青春は異世界とラノベの中に置いてきた!
奴らではこの厳しい戦いにはついてこれないだろう。
うん。まーその、なんだ。
……割とシャレにならない状況かもしれんが、たった一つの冴えた打開策も思い付かないわけで。
もはやここは笑うしかないのである。
笑う門には福来る。ピンチは笑っていなすもの。
おばあちゃんも言っていた!狂気の沙汰ほど面白い。死ねば助かるのに、と!
フハハハハ!死のう!時満ちたなら!(適当)
アッハイ。
こんなふうに時々テンションもおかしいから友達の一つもできないんでしょうね。
わかってマス。一応。自覚は無くも……ナイノデス?
あ、あと家系的には一般家庭の範疇だと思うのだが、上下に優秀な姉妹がいることもあって、親からも既に半分見捨てられている。
信頼パラメータは消失寸前。勘当一歩前と言ってもいい。
……ま、なんとかなるさ。
大学中退でもそれなりに。将来不安でもそれなりに。
生きてさえいればなるようになるだろ。きっと。たぶん。メイビー。
艦これと格ゲーとニコ動と2ちゃん、あとついでになろうでもあれば無人島でも生きていけるさ。
……電波が届けば。
とまぁ、ハイ。こんなもん。以上。解散!
何が言いたいのかというとだから“普通”ってこったよ!
こんな感じに不幸自慢が得意で残念系でユルい(脳が)こと以外は、いやそれ含めてどこにでもいる男子大学生だったのである。
二束三文でワゴンセールされてそうな、コンビニで売ってる黒ボールペンぐらい代えのきく人間ってのが自己評価だったさ!
そう――あの異常な出来事に巻き込まれるまでは。
さてさてそれでは自己紹介も一段落したんで早速、いざや参りましょうや。
ほいじゃ突然の話ではございますが。
俺はたった今――露ほども知らない場所で、目を覚ました。
「……ん……あー……お?……んはー……ん……んんー……あ。そこ。もっと……そこ……あ?……ん……?………――え゛ぅ゛!?………あっ……あっりりぃィ――ッ!?」
(ええからはよ状況を説明しなさい)
「お、お、おっかしいぞぉ――!?お、おいおいおい!?ままま、まじか、まじかかじまじま……まじじゃねーか………――やっべ!……ど、どこだココぉッ――!?」
目を開けるとそこには見知らぬ天井。
いや天井っていうか石の屋根ェ!?
まったくぜんぜんちっともこれっぽっちもォ!?
こんな場所で……目を覚ますような身に覚えがなかった俺は、絶叫しつつがばっ!と身を起こした。
働かない頭(ああいつも通り)を抑えながらしばらく周囲を見回しても、きっぱりさっぱりまったくその場所に見覚えがない。
そこは天井のせいか少し薄暗い場所で、左右には石畳の路地と小川を灌漑した用水路が伸びている。
俺が寝ていたその場所はどうも石橋の下だったようだ。
影から出た路地には眩い太陽の光が差し込んでおり、その美しいコントラストがとてもほどよく目に刺さった。
太陽さんがやる気すぎて今にも視神経がおかしくなりそうだったので、まぶたを細めて手で影を作ってみる。
お手軽グッズにもほどがあるが少しはマシだ。
ぼんやりと目が光を受け入れていく。
しかしそれにしてもまあ、一体全体どれ程の時間ここで寝ていたってのか……。
俺の目はどうやら完全に、どことも知れぬ石橋の下に出来上がったこの暗闇の方に慣れてしまっているようなのだ。
「い、いやー何なんですかねこの状況……。……ど、どうみても屋外、だし?……つーかね?どう見ても知らん場所だしィィ!?どうなってんだ!シャレにならんぞ!誘拐?あ、いや、誘拐にしても異常過ぎるだろ!身代金ヅル屋外にほっぽって犯人は何処に消えたってんだよ!?」
今にも頭痛がしそうな頭を抱えて一人でぶつぶつ愚痴りながら自分の置かれた状況を把握しようとはするものの、混乱しすぎて上手くいかない。
ていうかもうマジで頭がどうかなりそう。
看護婦さん、いつものお薬下さい。
そう、出来ればちょっと強めのやつ。
…………。
よし!現実逃避もほどほどにしよう。
こんなとこでいつまでも狂人ロールプレイしてるわけにはいかない状況だ間違いない。
なんとかかんとか出来るだけ冷静になろうと、この状況を把握する助けはないものか眩しいのをこらえて光の先の遠方に目を凝らす。
――と、いくつもの民家が隙間なく立ち並んでいるのが見えた。
どうやらここは、街の中ではあるようだ。
ただ……そこにあったのは俺のよく知る現代的なコンクリートと化合素材の家屋ではなく、素朴かつ重厚な石と煉瓦積みの家々だった……が。
街並みの雰囲気といいそこは、写真か絵画でしか見たことのないような、そう……まるで中世で時間が止まったヨーロッパの片田舎にでも迷い込んだようだ。
「ファーッ!?ど、どこゾこれ?……こ、コペンハー……ゲン?いや、ヤバイでしょう!なんでこんなとこに!」
もちろんコペンハーゲンではないだろう。だろうが、とにかく想像もつかない場所である事実に、背筋から冷たい汗が流れる。
あぁ……夢!
そう!そうだ夢じゃないのかこれは!
あー……うん……いや……残念ながら違うっぽい、なぁ。やっぱなぁ。
現実逃避してる場合じゃないと言ったとこだ。
絶望に目頭を抑えれば、しっかり指で圧迫される痛みとひんやりした指先の感触を感じる。
それだけの感触だが、だから頬をつねるまでもないだろう。
こいつはきっと夢じゃない。
夢なら良かった。
むしろまだ夢じゃないと信じきれん。
今からでも遅くないからどうか夢であってほしい。夢だと言って欲しい。
……ぶっちゃけ期待薄だろうが。
「どどどどどどうしよォ……!とりあえず警察?警察なのか!いや、しかし、まずここは日本なのか?アムステルダムじゃないのか?それともまさかルクセンブルクだというのか?仮にグンマーだとすると……Ohやべ。死んだな」
いやまじで落ち着けや。
そうだ、こういうときこそ落ち着いて、公的機関に真っすぐ駆け込み事情を説明して助けを求めるべきだ。
うん……日本語通じるかな?
あーこんなことならあれだな、大学でちゃんと英語かエスペラント語でも勉強しときゃよかったナー(棒)。
などと微妙に呑気かつ的外れな事を考えながら立ち上がろうと地面に手を突くと、指先になにやら固い感触が当たり、からりと乾いた音が鳴る。
偶然手に触れたその何かは結構大きい感じがしたので、いったいそんなサイズの何がこんな道端に落ちてるのかとそちらを向くと。
「ん?どなたか、落ちていらっしゃる?……なんぞ?死体かな?……ん?……え″。う″ ぇ″ ぇ!?え……えええええええーと?こ、こここけこっこーれってもしかしてアレデスカー?もしやしますとォッ……!!?」
手に当たったそれは……映画やゲームでよく見るような西洋風の“直剣”だった。
普通に日本で生活していたらまず美術館以外じゃお目にかからないようなシロモノ。
それも王宮にでも置いてありそうな、刀身に青白い紋章の入った美しい剣だ。
それがなぜか鞘もない抜き身のまま、道の隅の方に転がっていたらしい。
たまたま柄の部分が指先に当たったためなんともなかったが、下手をすると怪我をしていてもおかしくない。
「……へ?も……もももしかしてこれぇっ、け、けけけきぇ、剣ン!?あ、あぶっ、危っねえ……!な、なんでこんなもんが道端に落ちてんだよ!どこの博物館からパクッてきたの……他にもっといいもんあっただろ!頭大丈夫?」
腰を抜かしたような姿のまま驚きに後ずさりながらも、物珍しく剣呑なそれをよく観察する。
暗がりではあるが、見間違うような距離じゃない。
石っぽい質感の白い刀身に青い宝石を溶かして塗料にしたような何かで模様が書かれている。
まったく見たことはないが、なんとなくその規則正しく並んだ模様は文字であるように感じた。
「う、うわぁすっげー……!マジかぁ……マジだっ!本物だよなこれ。はじめてこんなもん近くで見たわ。……け、警察に届けた方がいいのかな?」
知らない場所とはいえ、明らかに普通の民家が立ち並ぶ街中である。
どうしてこんなところにこんなものが落ちているのか。
これが謎が謎を呼ぶというやつか。
手にとってもっとよく観察すれば少しは何かわかるだろうかと剣を拾い上げる。
――――と。
「お……?おお、おおおぁわあっ!」
触れるか触れないかぐらいだったが、柄を握ろうとしたところで俺の手が触れた部分が突然光った。
ほんの一瞬の間に強烈な青い光が橋の下の暗がりを染め上げ、俺はとっさに顔を庇うように手で光を遮った。
「ちょっ!ななな、なんだァ!」
いくらなんでも予想外すぎる展開に頭の中が真っ白だったが、それでも俺の灰色の脳細胞さんはひとりでに『ひょっとして……爆発するんじゃないよな!?』という思考にたどり着く。
おかげで怯え、焦りまくる。
結果。
「っ!!?――ッ――!?!?」
目の前で剣が消えていく。
ただでさえわけのわからないことばかりだってのに、それはもう、まったく想定の範囲外だった。
「は、――はぁ!?な、なんだこれ、どういうイリュージョンだ?」
まるで燃え尽きた紙片が空気に溶けていくように、剣が刃から青い炎を上げて消えていく。
あまりにも不可思議な現象に、剣を手から放り出した俺はずばばばっ!と壁際まで後ずさりながら、その奇妙な光景をただ眺めているしかない。
心臓がさっきからバクバク言いっぱなしだ。
喉だってもうカラカラである。
もうひたすらお家に帰りたい。マッハ12ぐらいで。
――と、思ってたら。だ。
その炎がまさかの俺に向かって、いや俺の右手に吸い込まれるようにして飛んできたのだ。
「いッ!―――いいいひぃッ!?う、嘘だろッ!ちょ、まッッ!あ、熱ゥ――ッッ!…………く、ない……だとっ?うわわわわ、な、なんだこれェ!?」
さっきからひたすら一人相撲で絶叫錯乱狂喜乱舞一喜一憂空騒ぎな悶絶をしているわけだが、だってこんな露骨に異常な事態に遭遇しているわけだから、どうか大らかな心で許して。ちょんまげ。
右手に吸い込まれた炎は予想したような熱を感じさせず、もろに手に当たっても火傷したりはしなかった。
ただ結果として俺の右手の甲に、青い光る変な模様……そう、中二病的な言い方をすれば“謎の紋章”が浮かび上がった以外は。
「――ふ、ふぅ、……ふゥ!こ、呼吸が、やばい!し、心臓に悪ィ!ていうかなんだこれ……うわ、模様っ?す、すげェ気持ち悪ぅッッ!」
小さなお子さん達なら目を輝かせて喜ぶ展開なのかもしれないが、分別のある大人として考えてほしい。
謎の物体に触ったとたんいきなり形態変化して燃え盛り、しかもその上自分の体に吸い込まれた挙げ句に謎の跡を残しているのだ。
常識的に考えるとこれって、人体への悪影響を普通に心配するよね?しまくりんぐだよね!?
いやだって考えてもみろって!
たとえばアレだ、UFOにキャトられた夢を見て次の朝起きたら、体に変なチップ埋め込まれた跡があるみたいなもんデスよ!
普通に怖ぇからマジでッ!
「ひィィィィ!も、もうやだ!さっきからなんなのマジで!い、医者!病院行こう!すぐ!……あ。でもなんて説明すりゃ良いんだ……?」
道端に落ちてた剣を拾ってみたら突然燃え始めて炎になって、僕の右手に吸い込まれて変な模様になりました!!と。
虎が回ってバターになったみたいに起こったことをありのままに説明しても、可哀想な人を見る目で『落ち着いて、もう一度よく説明してください。私たちは味方です』と言われるだけだろう。
お医者さんと看護師さんの善意が辛い!
適当に嘘をつこうにも、こんなハチャメチャが押し寄せすぎな事象をうまいこと要約し、理路整然と伝えたいことだけ伝わるようにかいつまんで説明する自信なんて俺にはない!
さもなくばこういうのは、現代では総じて自演乙で片付けられてしまうのだ。
『いやあの、患者さん?……自分でその刺青彫ったんでしょ?』と。
ち、違うんですマジなんですぅぅううう!!
そんな目で見ないでぇ!ちょ、ちょっとだけ興奮するゥ!
一人で妄想街道を暴走しながら相変わらず頭を抱えて悶絶していると、なぜか右手がまたぶわっとこう、さらに光りだして再三怯えるハメになる。
「にゃっ、にゃなななびゃぴゃーっ!?ま、まだなんかあんのォーっ!な、なな、なんだ?じ、自爆ですか!メガザルですか!?お、おおおう、上等じゃねえか、や、やんのかゴラぁ!お、俺に手を出したらあれだァ!あの……2年の須藤先輩が黙ってねえぞ!」
勇者はメダパニ状態のまま不思議な呪文を唱えたが、効果はいまひとつのやうだ。
「ややッやっぱり死ぬのか俺ェ――ッ!!」
強くなる光に死を覚悟した瞬間――。
模様が、すっ、と消えていく。
「……え?あ、あれ?……嘘。き、消え、た?」
右手を反対の手で押さえ付けながら思いっきり体から離すように伸ばして涙目で見ていたのだが、もうなんともない。
ぶっちゃけ拍子抜けにもホドがある。
「な、なんだったの…………?」
マジでこの一言に尽きる。
しかしこんなものはまだ、俺がこの世界でこれから幾度も体験する驚きの、長い旅の始まりでしかなかったのだ。