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約束の場所

作者: HIROYA

第1章

〜始まりの日〜


二人は

駅のホームで出会った


裕也ゆうやがある日

学校の帰りに

ホームを下りると

またまた知り合いだった

違う学校で

一つ年下の女の子

 椿つばき

その友達が立っていた


「よっ!久しぶり〜!」


裕也は二人に近づいた

椿の隣にいた友達が

留衣るいだった…


その後

何度もホームで

留衣と裕也は出会う…


そのうち二人は

メルアドを交換し

電話番号を交換した…


二人は自然と

仲良くなっていった


ある日

椿は留衣にこう言った


「この頃特に思うんだけどさぁ〜!留衣って裕也のことスキなんじゃない?」


留衣は顔を赤らめながら慌てて返した


「え?!そんなことないよ友達としてしか見てないよ!そう、友達…」


夏の夕方

夕日を浴びたホームに

二人の笑い声が響いた…


ある時裕也は

留衣から恋の相談を受ける


裕也は先輩らしく

アドバイスしていく…

しばらく話を進めていくと

留衣が急に


「その相手は裕也なの」


と言いだす…

留衣の恋の相手がまさか

自分だとは…

裕也はびっくりして

しばらく声が出せなかった


電話から留衣の声だけが

聞こえてくる


「やっぱり無理だよね」


「こんなに早く言うべきじゃなかったかな〜?」


「急にそんなこと言われても困るよね」


「どうしよう…」


留衣は声を震わせながら

言った…

その声を聞いていた裕也がそっと口を開く


「そんなことないよ!」


「ありがとう!すごくうれしいよ!」


「留衣はすごくいい子だし、友達としてスキだよ!」


「でも…恋人としてはまだ見れないから 友達以上恋人未満の関係でしばらく付き合わない?」


留衣が泣きながら答えた


「うん!ありがとう!」


その後二人は

時間を合わせて

朝の電車 そして

帰りの電車に

一緒に乗った…

最初は互いに意識して

どこかぎこちない感じだったが、時間とともにだんだんと馴染んできた…


いつもの仲がいい

二人に戻ってきた…


そして裕也はどんどん留衣への想いが高まっていくのを感じていた…




そして時が経ち…

三回目の

デートの日は

クリスマスだった…


留衣が初めて裕也の部屋に入った…

しばらくすると

留衣が言った


「これ、クリスマスのプレゼントだよ!」


留衣は恥ずかしそうに

裕也にマフラーを渡した…

裕也は

「ありがとう」と

照れ臭そうに受け取った


楽しい会話が終わると

裕也は留衣を駅まで送っていった…


もちろん裕也は

留衣にもらったマフラーを首に巻いていた…


そして二人が

駅に着くと

雪が降りだしてきた

白い息を吐きながら


「今日はホワイトクリスマスだね!」


そんな会話をしながら

手を繋ぎ

階段を下りる二人

そしてホームに着くと…


裕也が前から用意していたクマのぬいぐるみを

照れ臭そうに留衣にプレゼントした

そしてすぐに

「寒いね」と言いながら

繋いだ手を

自分のポケットに入れた


留衣は

「ありがとう」と

言って嬉しそうにぬいぐるみを鞄に入れた


ぬいぐるみの首には

留衣の為に買った

ブレスレットが

巻かれていることに

留衣は気付かなかった…


可愛い首飾りをしている

そう思っていた


しばらくすると…


遠くに電車のライトが見えてきた…

裕也は

「じゃあね」と言って手を振り

階段を駆け上がる

そしてホームに電車が入って来たその時…


ちょうど向かいのホームを歩いていた裕也が

急に戻ってきた…


どうしたのかと

留衣が電車に乗らずに

待っていると

階段を下りてきた裕也が

そのまま

留衣を抱き締めた

そして

裕也が言った


「俺たち 付き合おう…」


それが二人の

始まりの日だった…



第2章

〜愛の唄〜


裕也は留衣の

初めての彼氏だった…


留衣は

すべてのコトが初体験で


好きな人と手を繋ぐコトに

ドキドキして

好きな人と歩幅を合わせて歩くコトに

幸せを感じていた…


二人には

いつも待ち合わせをする

約束の場所があった


そこは

木が10本ほど植えてあり

その間に白いベンチがある

歩道には

綺麗な色をした石が敷き詰められている公園で


いつも二人が通学に使う駅の近くだった…


その公園に

迎えに行ったり

そこから二人で遊びに行ったりしていた…


二人にとって

約束の場所であり

二人が一番

好きな場所でもあった


裕也は

高校に入学した頃からギターを弾いて

唄を作ることが趣味の一つだった…


ある日

留衣が裕也の部屋で

一冊のノートを見つけた

そこには

たくさんの歌詞が

書かれていた…


留衣が

その歌詞を読んでいると

裕也が横に座り


「それ全部 自作の歌詞なんだケド…どうかな?うまく書けてる?」


と恥ずかしそうに言った…


すると留衣は


「すごい!センスがないとなかなかこんなにいい詞は書けないよ!」


「あ!どれか一曲聴かせてほしいなぁ〜!」と


言った…

裕也は顔を赤くしながら


「えぇ〜!恥ずかしいから無理だよ〜!」と


拒否した


すると留衣は


「なんでよ〜!一曲ぐらい聴かせてくれたっていいじゃ〜ん!」と


裕也の足を突いてくる


「あはは!こそばいからやめてくれぇ〜!」


そんなことを言いながら

二人は戯れ合っていた


留衣は

裕也の詞を読んで本当に感動していた…


留衣が言った…


「ねえ!私に贈る唄を作ってほしいなぁ〜!」


すると裕也は


「じゃあ〜わかった!今度の記念日に唄を作って留衣にプレゼントするよ!」


留衣は嬉しそうに

「うん!」と頷いた…


裕也はその日の夜から

さっそく唄を作り始めた


留衣を想う気持ちを

素直に書いた…


いつも歌詞を書く時は

迷ったり

悩んだりする裕也だったが

その時はなぜか

すらすら書けた…


逆に長くなりすぎて

何処を削ったらいいのか

迷ったぐらいだった…


そして

二人が付き合って

3ヵ月目の記念日がやってきた…


レストランで

夕食を済ませた二人は

裕也の家に行った…


しばらくすると

裕也が留衣に二つ折りにした一枚の紙を渡した…


留衣がその紙を広げると


(約束の場所)と


書いてあり、その下に歌詞が書かれていた…


そして裕也がそっと

ギターを手に取る…


裕也が留衣を見つめながら唄を歌いだした…


その唄からは

留衣への溢れるほどの

愛しい想いが

ストレートに伝わってきた


自分の為に書かれた

歌詞を見ながら

自分の為に作られた

唄を聴いている…


そして自分の為に

歌ってくれる人がいる


留衣の瞳から涙が零れた


何もかもが初めての経験だった留衣の心からは

感動を超えた

何とも言えない感情が

溢れだしていた…


裕也はその唄を

テープに録音して

紙と一緒に留衣に渡した…



第3章

〜別れの時〜


それから…

年月が経ち

絶えることなく

幸せな日々を

過ごしている二人がいた


二人はもう社会に出て

大人になっていた…


あの頃

恋だった想いは

愛に変わっていった


たくさんの思い出を作り

二人のアルバムが

何冊も重なっていた


お互いが

かけがえのない人となり

二人は結婚を

考えはじめていた…


二人の愛が

深く根強いものと

なったある日…


留衣は親友の椿つばき

と約束をしていた


夕食を済ませた二人は

プリクラを撮るために

ゲームセンターに行った


しかし…

ゲームセンターに入って

しばらくすると

酔っ払いに絡まれる…


その頃…

裕也は仕事が終わったばかりだった

そこに留衣から

電話がかかってくる

留衣はこう言った


「今 椿と二人でゲームセンターの女子トイレにいるんだけど…」


「酔っ払いに絡まれて出られないから助けにきて…」


裕也はすぐに

留衣がいるゲームセンターに車を走らせた


幸いゲームセンターは裕也の職場の近くだった


裕也がその場所に着くと

トイレの付近に5、6人の酔っ払いがいた


裕也は留衣に

電話をかけて

電話を繋いだまま

酔っ払いを避けて

トイレの前まで行き

二人をトイレから

連れ出した


すると…

出口付近で酔っ払いが

集まっている


裕也は留衣に

あの人たちを抜けたら走って行き

約束の場所で待っておくように言った


今の場所から3分程度で行ける場所だからだ


三人が出口を出ようとすると案の定

酔っ払いが絡んできた

留衣と椿を掴もうとする

酔っ払いの手を

裕也は振り切った…

なんとかその場を切り抜けた留衣と椿は走った


裕也は掴まれてしまう…


留衣と椿が

道に出たとき

裕也は建物の裏へと連れていかれていた…


二人が

約束の場所に着くと

留衣が心配で泣き出した


それを励ましている椿も

怖さで体が震えていた…


5分が経ち…

10分が経っても

約束の場所に裕也は来ない


そして15分が経った頃

ようやく裕也の車が駐車場に入ってきた

留衣は

慌てて裕也に駆け寄った


「怪我してるよ…ごめん」


留衣は泣きながら言った

裕也は留衣の頭を撫でながら言った


「もう大丈夫だから

     気にするな…」


そしてその日は

しばらく話をして別れた


しかし次の日の朝

裕也は帰らぬ人となった…


病院で泣き崩れる留衣

裕也が居なくなるなんて

信じられなかった…


裕也の葬式の日…

留衣は一生分の涙を流した


棺桶の中に

みんなが花を一本ずつ入れてゆく…


留衣は花を

裕也のそばに置いた…


裕也の眠った顔は

涙で滲んではっきり見えなかった


ちゃんと見ようと何度も涙を拭う留衣…


しかしすぐに涙が溢れだし裕也の顔が滲んで見える


留衣は裕也の頬に手をあて

また泣き崩れた…


裕也が

火葬場に運ばれていった


そこで留衣は

最後のお別れをした…



そして月日が経ち…

留衣は深い悲しみを胸に生きていた…


留衣は今でも

あの約束の場所に立ち寄る


ここにいると

辛くなるだけ

かもしれない…

だけど

裕也が戻ってくるような

気がして…


もう一度

もう一度だけ

「大丈夫だから」と言って


頭を撫でてくれるような

気がして…


留衣は

白いベンチにもたれて

夢を見ていた


夢の中に

裕也が出てきて

留衣に語りかける…


「留衣 君は僕のコトをいつも全力で愛してくれた…


もう僕は君に愛され愛することで

一生分の愛を君からもらったんだ…


だから

これからは僕以上に愛してくれる人を見つけて


幸せになるんだよ…」


眠っている


留衣の手首には


いつかの


ブレスレットが


光っていた…





突然の別れだったケド…あなたに出会えて、あなたに恋をして…本当によかった…そして…ありがとう…

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― 新着の感想 ―
[一言] 携帯だから少し縦長になってしまったのかな? でもストーリーは良かったです! 告白の所は感動しました。
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