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瓶の中の時間 (現代・文学)
ツイッターで募集した「リプライでもらったお題で140字小説を書く」
お題「甘い夜」
出題者はオカザキレオさま
「すぐに食べていいの?」
調理実習で作った栗の渋皮煮の瓶詰めを君は秋の陽に透かした。
「二三ヶ月くらい待つこと」
そう言うと食いしん坊の君は振り返って口を尖らした。でもそれからちよっと笑った。
「初めての贈り物だね、ありがとう」
目を合わせるのも気恥ずかしくて、照れ笑いする。
まだまだ恋人初心者の二人だけど。
「いっしょに食べてね」
そう言ってから、口にした言葉の別の意味に思い当たったのか顔を赤らめる。
瓶の中で、ゆっくりゆっくり味が深まってく。
ふたを開けるその日は、甘い夜を過ごすのかな……。
先日、いただいた栗で渋皮煮を作ろうとしたのですが、忙しくて台所に一週間ほど放置したところ……これ以上は怖くてかけません。