表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

聖バレンタイン

作者: すのすのこ

「日本人は聖人を馬鹿にして楽しんでいるのですよ」


 ごく穏やかな口調だが、内容は厳しい。ましてやそれが聖人ご本人の言葉ならば。


「日本人というものは、神を馬鹿にしきっているのです」

 

 更に続ける。

聖人たるもの決して怒るということはない。だが神の権威を司る聖人を冒涜する行為を咎めずして聖人はやってられないのだ。


「まあまあ君、そういわずに下界を覗いてきたまえよ」


「下界を、ですか?」


「君の言うバレンタインデーに何が行われているか知らずして冒涜とは言えないじゃないかね?」


 神の言うとおりだった。聖バレンタインはすぐに下界を見渡すことにした。

女が男に、チョコレートを渡すのが見えた。中には女が女、男が男に渡すことすらもあった。

聖バレンタインは目眩を感じながら呟く。


「ああなんてことだ、聖人の名を冠する行事にかくもおぞましい行為に耽るとは。神に注進しソドムとゴモラのように焼き払ってもらわねば!」


 聖人が決意を固めようとした時に、ふと病院が目に止まった。


 病院では少年と少女がいた。

聖人はすぐに少年と少女が難病に冒されており長い間入院していることを知った。


「これ・・・チョコレート、下手くそだけど」

「あ、ありがとうっ」


 少女が顔を真赤にして、顔を真赤にした少年にチョコを手渡す。


「それでねあたし、これから手術なの」

「えっ?」


 少女はにっこりと笑って


「ホワイトデーのお返し楽しみにしてるね」


 そういって呼びに来た看護師に連れられて去っていった。


 聖バレンタインは、聖人なので少女の手術が失敗することが察知できた。


 神が聖人の肩をたたいた。


「それで君、どうだったかね?」

「はい神よ、やはり聖人を称える日には奇跡が必要なのではないでしょうか?」


 神はにっこりと


「私もそう思っていたんだよ」


 と少女の手術を成功するように運命を少し手直しした。

そうして神と聖人は微笑みながら立ち去った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ほっこりする短編でした! チョコの話かと思いきや、バレンタインさんの話だとは(笑) 内容はありがちでしたが、それはそれで良いかなぁと思います。 もう少し話が膨らんでくれたら嬉しかったです。…
2015/02/14 07:48 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ