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恋の魔法使いの病  作者: カシス猫
一章 恋の魔法使いの日常
3/36

女の子の家に人形は付きもの

アクセス数が累計100越えた⁈

ありがとうございます!


木々の間を縫うように、細くとも丁寧に造られた道がある。それは小さくても古い、魔女の森を突っ切る唯一の道。ロザリーは材料を取り終えて、足早に石畳を蹴る。


「目玉焼き〜、目玉焼き」


頼まれた二つは奥にある温室で栽培されていて、工房からは離れた所にある。そのせいで、少し時間をとられてしまった。

だから、ついでとばかりに温室近くにある鶏小屋から朝食の卵を三つ取ってきた。


時間は有効に使わないと。


畑や花壇の間をすり抜け、石畳を急ぎ足に進む。


やって来てから知った一つに、魔女の仕事は朝に集中しているという事がある。

だいたいの植物は、夜明け前の方が収穫に良いのが主な理由らしい。

夜に活動していると思われがちだが、それは依頼人に会っているのが夜だからで普段は健康的な早寝早起きの生活をしている。

だから早朝から昼前にほとんどの仕事が終わってしまう。

その時間、見習いは当然ながら師匠の手伝い。その後は座学がなければ、課題も含む自由時間。

だから、朝食までに依頼分の調剤を終わらせてもらいたい。午後を丸々、課題と趣味に費やしたい。


気持ち、脚はさらに速くなる。


「…ん?」


私が進む先に、うずくまる姿が見えた。


実は、来る時も見えていた。そこはかとなく嫌な予感がして、帰りにはいなくなってるといいな。と、さっきは彼の後ろを罪悪感に感じつつ通り過ぎていた。正直に言えば、今回も素通りしてしまいたい。

だけど、さすがに二回目は声をかけなきゃならないだろう。


「…デイルさん、何してるんですか?」


うずくまっていたのは、白髪に近い金髪の少年、デイルさん。敬称付きなのは、私の何倍も生きているからだ。よく深い事を言うので、気さくには呼べない。

もちろん、人じゃない。アペルという木の精霊さんです。

なんでも何代か前の魔女が造った人形から出られなくなり、この家に人間のように生活して住んでいるらしい。

当たり前なんだけど、体は人形のままなので無表情な美少年さんです。

そして、生真面目な性格の彼は家賃がわりに庭の管理を手伝ってくれる有難い存在です。

そんな彼がしゃがんで、一つの小さな畑をガラス玉製の瞳で見つめていらっしゃる。


場所が、嫌な予感を大きくさせていく。


この家はそこそこ広い庭を持っていて、奥になるとまるで小さな森があるみたい。叫んだって、入り口に接してる街道には届きません。

だから、あの畑はあそこに作ったんだが…


「…また、マンドラゴラの痴情(ちじょう)がもつれた」


やっぱりねぇーッ!

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