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いきなり三年経ちました。
読んで頂いて、ありがとうございます。
「四、…三と十七の粗めを少し」
肩の長さの赤毛はあちこちにはねて、前髪は四本の空色のピンで止めてある。程よく使い込んだ短パンのオーバーオールに横縞のTシャツで、ロザリーは忙しなく薬棚の間を動く。
師匠のリアに頼まれた番号通りの薬瓶を数本、籠に入れ工房に急ぐ。
「リア婆、持ってきたよ」
工房に入ると、老女は調剤器具を机に並べていた。
「それを置いたら、庭の方へ行ってセズリの蕾とミミルの葉の上ら辺を取ってきておくれ」
「はーい、いってきまーす」
入り口に先程の瓶入りの籠を置き、吊るしてあった剪定鋏を持って厚手の靴に履き替える。
「語尾伸ばすんじゃないよっ、年頃の娘がはしたない」
魔女ロザーリアは、基本的に礼儀にうるさい。ただ、本当に頭にきて怒ってる訳ではない。軽い口頭注意で終わる。
「はい、いってきます」
「ん、いってらっしゃい」
言い直せばすぐ気にしない所も、さっぱりしていてロザリーは好きだ。
ロザリー・ケットルノーム、15歳。魔女ロザーリアの弟子になって、三年が経ちました。