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彼との縁を切って数ヶ月が経った。募り募っていた友人への不満を全て捨てた事で、何も未練はないと思っていた私だったが、そうはいかないものだった。
私自身はもうどうでもいいと思っていても、夢に時々友人が現れるのだ。
夢の内容は、何も難しい事も考えないでただ楽しく遊ぶだけのもの。その夢の中では私達はまるで学生時代の感覚に浸れるのだ。私が勝手に未練はないと思い込んでいるだけで、私の記憶は友人と過ごした日々を掘り起こす。
これまで、私が社会に出た事で考え方が変わったのが友人との別れの導線になったのだろうと考えていた。だが、距離を置いて数ヶ月が過ぎたからこそ分かる事もある。
今思えば、友人は私への不満をぶつける事はなかった。私ばかりが、誰かに友人の愚痴を吐き散らかし、自分が気に入らない事へ勝手に苛立っていたのだ。
彼はずっとアルバイトだから成長していないと、勝手に決めつけているが、どれだけ働く世界が違うと言えど歳を取れば思考も大人へと進む。友人は友人なりに考えを持つ事も増えているだろうし成長しているはずだ。
そんな相手の事も考えず、ただ私だけが成長したのだと一方的に【失望】している時点で、私自身まだまだ子供のような思考で我儘な愚か者なのである。
きっと、友人も私に対する不満を沢山持っていただろう。私が気付かない部分で、彼を傷つける発言や行動をしていたはずだ。それでもこの20年も付き合ってくれたのは、彼なりの【人間】の【見方】を持っていたからなのだろう。
そして、一方的に縁を切った私の元へ友人から数ヶ月ぶりのメールが届く。
【お土産を買ったから渡したいんだけど、明日会える?】
最悪の別れをして、彼から二度と送られてこないだろうと思っていたメールに、私は驚きを隠せなかった。
既読を付けてしまった以上、何か返信をしなければならない。文字を入力する指を止めて、私は少し考えた。
この返信のメッセージによって、友人との関係の全てが決まると思ったからだ。悩みに動かせずにいた指をフリックして、私はメッセージを送る。
【明日は忙しいので無理です】
私は
【会わない】という選択を選んだ。
この【言葉の重み】が彼には伝わったのか、
【了解】
直ぐに返信が届き、それ以降友人からの連絡は完全に途絶えた。関係を修復する最後のチャンスを、私は自ら切り捨ててしまった。何故、この時
【あの時はごめん】
と言えなかったのか、私には分からない。夢にまで現れて遊ぶような未練があるならば、この一言を言うべきだろう。
しかし、私がこの言葉を選んだのは、仮に関係を修復したとしても既に二人は【別世界】で生きていて、どちらも相手の【見方】に合わせる事は不可能であり、再び関係に亀裂が入るのを繰り返すだけだと悟ったからだ。
私の中での友人との楽しかった思い出を、これ以上汚したくなかったのだろう。この選択に後悔はあるものの、これでいいんだと私自身に言い聞かせた。




