落ち着く相手
「はぁ……はぁ……はぁ……」
目の前には無数の【イーバヤ星人】が倒れていた。
俺はもっと強くなる必要がある。
自分自身の限界を越えなきゃ【イーバヤ星人】には勝てない。
「強くなりたいのは分かるけど、任務終えた後
5時間も戦闘シミュレーションぶっ続けなんて最近
無茶しすぎだよ。」
5時間。もうそんなにここにいたのか。
けど、ここまでしてもまだボローネに勝てるビジョンが浮かばない。
今の俺が戦えば殺されるだけだ。
もっともっと強くならなきゃ……
「ダイくん!」
「えっ……」
ミエさんの呼びかけで我に帰った。
「今日はもういいから、外の空気でも吸っておいで。」
ここ最近の俺は任務が終われば戦闘シミュレーションに入り浸っていた。
ミエさんが心配するのも無理はないな。
俺は言われるがままに外を出て少し散歩をする事にした。
鳥の囀り。子供の笑い声。
普段、【イーバヤ星人】と戦ってるせいで
気づかなかったけど、この世界は平和だな。
なんて事を思いながら俺は、公園のベンチに腰を下ろしていた。
ミエさん、俺のこと心配してくれてたな。
ボローネにやられてから強くなる事に固執しすぎて周りをよく見てなかった。
強くなる事は大事だけど、支えてくれてる皆んなの事はもっと大事にしよう。
「なにか悩んでるの?」
「あっ、いや別にこっちのこと……ってか誰!?」
あまりにも自然に話しかけられたからつい返答しちゃったけど、誰だこの人は。
話しかけたのは同い年くらいの青年だった。
「ごめんごめん。とても難しい顔をしていたからつい。」
青年は優しく微笑んでおり、彼なら包み隠さず何でも相談していいのではないかと思ってしまった。
ふと、青年の服装に目をやると上着の隙間から患者服のようなものが見えた。
「お前、どっか悪いのか?」
俺は初対面の人間に対して余計な質問を投げかけてしまった。
青年は怒ったり、不機嫌な様子をみせる事なく答えた。
「少し身体が弱いんだ、だから本当は病院に居なくちゃいけないんだけどね。」
「抜け出して大丈夫なのか?なんか手伝おうか?」
「直ぐに戻るから大丈夫。ありがとう。君は優しいね。」
俺はこの青年と話しているととても落ち着く。
普段話すイチキさんやミエさんは【グレジタンス】の仲間ではあるけど、なんというか友達とは違う感じがあったからなのかこの青年と話すとまるで、友達と話しているようだと思った。
そんな事を思っているとイチキさんから任務のメールが届いた。
「じゃあ、僕はそろそろ戻るよ。」
「悪い、本当は病院まで送って行きたいんだけど時間がなくて。」
「気にしないで。僕なら平気だから。」
「なぁ、お前名前は?」
「僕はソラ。君は?」
「俺はダイ。ソラ、会ったばっかであれだけど
また会えるか?」
「もちろん。また何処かで会おうよ。」
ソラに別れを告げ、俺は急いで【グレジタンス】本部へと向かった。
「ダイくん。立て続けの任務で申し訳ありません。」
「いえ。それで今回の任務は?」
イチキさんから資料を渡される。
今回の任務は都心から離れた工場を調査するらしい。
どうやら拉致した人間をこの工場に連れ込んでいたようだ。
「いいですか、ダイくん。今回は【イーバヤ星人】との戦闘よりも拉致された人間を救助する事を第一に行動してください。」
「はい。わかりました。」
俺は早速準備を整えて任務先へと向かうのだった。
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