怒りのままに
俺は頭に専用の機械を取り付け、刀を持った。
「じゃあ始めるね」
ミエさんが機械をいじると戦闘シミュレーションが起動する。
俺の目の前に現れたのは3体の【イーバヤ星人】
とてもリアルなホログラムに俺は高揚感に包まれた。
いきなり1体の【イーバヤ星人】が俺に攻撃を仕掛ける。
俺は避けられず攻撃を受けてしまい、体が地面に転がされた。
「いたた……」
頭に付けた機械で本来痛みを感じる事のないホログラムからの攻撃が、まるで本当に攻撃を受けていると脳と身体が錯覚してしまう。
俺は、廃墟での戦いを思い出していた。
あの時よりも数は少ない。行ける。
頭の中で簡単に作戦を考え攻撃を仕掛けに行く。
さっき俺に攻撃を仕掛けた【イーバヤ星人】も
俺に向かって攻撃を仕掛けにきた。
残りの2体も遅れてこっちへ向かってきている。
その状況で俺は、持っていた刀を槍投げのように投擲した。
初めに攻撃を仕掛けてきた【イーバヤ星人】はこの攻撃を予測できず心臓に刀が突き刺ささり死亡する。
俺は急いで刀を抜き、死亡した【イーバヤ星人】を踏み台に高く飛び上がり、落下しながらもう一体の【イーバヤ星人】の心臓を貫くことができた。
これで1体1になった。
あの時のように逃したりはしない。
そう思いながら攻撃を仕掛けようとした時
突然に戦闘シミュレーションが終了した。
「あれ?」
何が起こったのか分からない俺にミエさんが駆け寄る。
「ダイくん。イチキさんからの指令が来てます!」
それを聞き俺は急いでイチキさんの元へ向かった。
「ダイくん。急に呼び出してすみません。
こちらで調査していた【イーバヤ星人】の
情報が纏まりましたので確認をしてください。」
イチキさんはそう言い俺に資料を渡し、説明をはじめた。
「今回ダイくんにやっていただくのは、この施設を
調査する事です。」
その資料には、出来たばかりの老人ホームが書かれていた。
「調査?」
「はい。この施設は最近出来たばかりで入居者も少ないですが、ここに出入りしている者の中に【イーバヤ星人】がいる事を確認しています。」
どうやらこの施設に頻繁に出入りしている【イーバヤ星人】がいるらしい。
確かにそれは何かありそうだ。
深夜に調査をするので、それに向けて準備を行う。
――――――――――――――――――――――
――深夜――
施設は都心から少し離れたところにある。
俺は施設前の路地裏に身を隠しながら様子を見ていた。
すると、大柄の人が施設に入って行くところを目撃する。人の服を着ていたが、あれは間違いなく【イーバヤ星人】だ。
「イチキさん【イーバヤ星人】が中に入っていきました。」
「はい。こちらもカメラで確認しました。
ダイくんも中へ行き、調査を行なってください。」
イチキさんからの指令が入り、俺は誰にもバレないよう慎重に施設の中へ入っていった。
施設内は灯りが付いてなく、窓から入る街明かりが仄かに照らしている状態。
慎重に奥へ進んで行くと、先程入って行った【イーバヤ星人】が部屋に入って行くところを見た。
俺は、後を追うようにその部屋の前まで行き部屋の中を恐る恐る覗いた。
「っぐ……」
そこでは【ランク1】の【イーバヤ星人】が人間の臓器を取り出しており、俺はその光景を見て絶句した。
臓器を取り出されている人間は、もう助ける事はできないと瞬時に察し俺は、部屋の中にいた3体の【イーバヤ星人】を怒りのままに殺した。
「はぁ……はぁ……」
3体を相手にしたと同時に、見たくもない惨たらしい光景を目の当たりにしてしまったために吐き気と動揺から息が荒くなってしまう。
「ダイくん。大丈夫ですか。もう任務は終わりです。
後はこちらで行いますので本部に戻ってください。」
イチキさんからの指令が来ても俺は、冷静になれなかった。俺がもう少し早く来ていればこんな事にはなっていなかったんじゃないか。
そんな自責の念に苛まれていた時、こちらに向かって来る足音が聞こえてきた。
「まだいるのか……」
苛立ちを抱えたままの俺は、部屋を出て足音がする方向に視線を向けた。
「ん?誰だお前?」
そこに居たのは白いスーツを着た男だった。
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