敵討
イチキさんの元へ直ぐに謝りに行った。
「すみません。俺のせいで、一体逃しちゃいました」
「謝らないでください。初任務であそこまでやれれば上出来ですよ。」
イチキさんは俺に叱責せず、むしろ褒めてくれた。
「ところでダイくん。身体の具合はどうです?」
「そういえば、戦ってる時の傷が今は、痛くない」
俺はジャージをまくり上げて自分の身体を見た。
そこにはかすり傷ひとつもない身体があった。
「ダイくんは、常人の数十倍程度の治癒能力をも獲得しています。かすり傷程度なら数分あれば完治するでしょう。」
超人的な身体能力と治癒能力……
それにマスクをつけて、宇宙人と戦っている……
俺ってもしかして、スーパーヒーローなんじゃないか!?
ってダメだダメだ。
イチキさん達は、真剣に【イーバヤ星人】と戦っているんだ。ふざけたことを考えるな俺。
俺は、アジトに戻る道中、疑問に思ってた事をイチキさんに聞いた。
「ここに戻る時、街の人は【イーバヤ星人】の事を知らない様子でした。イチキさんは何故【イーバヤ星人】のことを知っているんですか?」
「ダイくん。任務のあとで申し訳ないのですが、このあとお時間よろしいですか?」
イチキさんは俺の質問に対して答えを言わなかった。
「はい。大丈夫ですけど……」
俺がそう言うと、イチキさんに連れられて街の地下にある個室のバーに行く事になった。
特に会話をすることもなく数秒……数分と過ぎていく
俺が話を切り出そうとするとイチキさんが口を開いた。
「私が何故【イーバヤ星人】のことを知っているのかと聞きましたね。」
イチキさんの表情は、思い出したくない事を思い出そうとしてるような暗く、静かな怒りを感じるものだった。
「私には妻と息子がいました。我が家で家族団欒の時間を過ごしていたある日、一人のフードを被った男が訪ねてきました。その男は突然、触手のようなもので私と家族を襲い
その結果……妻と息子は亡くなりました。」
俺は言葉が出なかったが、イチキさんから何故静かな怒りを感じたのか理解した。
「私は病院に運ばれてなんとか生き残りましたが
そこで妻と息子の死を知り絶望していた。そんな時
私と同じ被害に遭った2人組が私の病室に入ってきて、そこで【イーバヤ星人】の存在を教えてもらいました。」
その2人はイチキさんと同様の被害を受けた事で
レジスタンスを作ろうとしていたみたいだ。
「【グレジタンス】のメンバーは、私のような経験をした者たちで構成されています。これ以上被害を出さないために我々は命懸けで【イーバヤ星人】を調べ上げ、時に武器を持ち戦ってきましたが……ダイくんが来てくれるまでは抗えてもいない状況でした。」
「イチキさん。俺、もっと頑張ります。【グレジタンス】の人達やこの国のために。」
俺はイチキさんの話を聞いて【イーバヤ星人】を野放しにしてはいけない……そんな使命感に駆られていた。
「君が来てくれて本当に良かった。有難う、ダイくん。」
イチキさんの表情はまるで自分の息子を見るような安堵したようなものに変わっていた。
――――――――――――――――――――――
とある施設……
1体の【イーバヤ星人】が白いスーツを着た男に何かを告げた。
「ほぉー。我らに刃向かうバカな人間が現れたのか……」
白いスーツの男は不的な笑みを浮かべた。
読んでくださりありがとうございます。
よければブックマークなどのリアクションをしていただけると嬉しいです。




