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一発ぶん殴ってやる

気づけば意識を失っていたダイが目を覚ますとそこは

使われているのか定かではない倉庫の中だった。


「あれ……俺、何でこんなとこにいんだ?」


朧げな記憶を遡り、ここに来た経緯を思い出す。


「そうか、アイツが俺をここに」


「やっ!目が覚めたかい」


「うわっ!」


ダイの目の前に突然姿を現したノノ。

彼女に敵意は無く、只 目の前で驚くダイを見て無邪気な笑顔を浮かべていた。

寧ろその行動がダイの警戒心を更に強めるのだった。


「キミは可愛げのある人間なんだね。あっそうだ!

キミが寝てる間にそのマスクは取ったりしてないから安心して。ボクはキミと友好的な関係を築いていきたいと思ってるんだ」


「そうかよ――で、あの時言ってた【イーバヤ星人】(お前ら)の目的に俺が必要ってのは一体どういうことか説明しろ」


「うん!いいよ。まあ結論から言うと――キミが脅威に対抗できる力を持ってるからなんだよね!」


「っ?お前の言う脅威ってのは何なんだ?」


【イーバヤ星人】(ボクら)にとっての脅威

奴の名前は【プロカミ】。この宇宙の害獣だよ」


「害獣?」


「そう、【プロカミ】()は何百年も前からこの宇宙に存在し、幾つもの星を意味もなく滅ぼしてきた――正に害獣だよ。

【プロカミ】()を倒そうと【イーバヤ星人】(ボクら)や多くの星人が挑んだけどダメだった。

このままどうする事もできず只、絶滅を待つだけだったそんな時、【プロカミ】()は突然宇宙から姿を消したの」


「姿を消した?」


「うん、それもこの地球でね。

【プロカミ】()はまるで何かの力に惹かれるように地球へ向かっていた。それが何なのかはよくわからないけど」


「その【プロカミ】ってのは死んだのか?」


「わからない、けど地球が滅んでいないのを考えると

その可能性が高いと思うよ」


何故自分達にとっての脅威が来訪していると知って地球へ【イーバヤ星人】が訪れたのか。

【プロカミ】と呼ばれる脅威に対抗できる力を欲してるのに既に死んでいるかもしれないという矛盾がダイの心を疑心暗鬼にさせていた。


「よく分かんねえな。死んでるかもしれない奴に対抗するために俺の力が必要なのか?」


「まあ死んでるっていうのはあくまでもその可能性があるってだけの話だからね。それにさ!考えてみて欲しいんだ。【イーバヤ星人】(ボクら)ですら太刀打ちできなかった

【プロカミ】を殺した奴がこの地球にいるかもしれないんだよ!どちらにしてもキミの力が必要なことには変わりないんだ」


ダイはゆっくりと起き上がる。


「それが俺を必要としてる訳か――なら答えろ

何故【イーバヤ星人】(お前ら)は人を殺してる⁈

一体何のために⁈」


「キミとボク――人間とイーバヤ星人はとても近い存在なんだ。つまりキミたちは何れボクたちと同じ進化に至る可能性があるって事。

キミたち人間が何を糧に進化してきたか知ってるかい?」


「っ?」


「恐怖さ。戦争、飢餓、病気、その様々な恐怖から人間は生き延びるために進化してきた。

原因不明の行方不明や死――それらを繰り返す事で

キミたち人間に恐怖を与えて成長を促してるんだ。

別に【イーバヤ星人】(ボクたち)は快楽のために人を殺してはいないし、そもそも殺したくない。

だからこそ標的の人間を使って新たな生物兵器を作るために利用させてもらってるんだ。

まあその殆どが死んでしまっている結果ってだけさ。」


ダイの心には怒りが満ちていた。

会話することが無駄だと判断したダイは油断している

ノノとの距離を詰め拳を振り下ろした。


――しかし


「もう――戦う気はないの!」


先程まで目の前にいたノノはいつの間にかダイの背後に姿を現した。

一見すれば只、高速移動をして攻撃を避けたかに思える瞬間。

しかし、これまでの戦いでも同じような経験をしてきたダイは気づいていた。

移動したのではなく初めから背後にいたということを。


「あー怒らなくてもいいよ。だって標的にしてる人間は

罪を犯した人間だけにしてるからね!

あと言っておくけど別に人間とイーバヤ星人が近い存在だからと言って平等って訳じゃないよ!

キミたちは【イーバヤ星人】(ボクら)から見れば猿と変わらないからね。

だから、危険な人体実験をキミたちに行ってるんだ。

まあ本来なら人間の手で無益に処分されるはずの命を

ボクたちが利用してあげてるって感じかな!」


「ふざけんな!!罪を犯した人だろうと【イーバヤ星人】(お前ら)が命を弄んでることには変わりねえだろ!!」


怒りに任せノノに攻撃を仕掛けるも当たることはない。

先程と同様気づけば背後に立たれているだけだった。

ダイ自身も心の奥底で気づいていた。

コイツには勝てないと。


「キミも気づいているはずだよ。ボクに勝てないって」


「うるせえ!勝てなくても一発ぶん殴ってやる」


「もうしょうがないな。まあキミもまだまだ成長途中だし【ランク3】のボクの力を見せてあげるよ」


あの時と同じ不気味で異質なものを感じ取ったダイは

生き延びるための最善策を考えようとしていた。










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