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初見

目を覚ますと俺は、病室のような部屋のベッドにいた。なんだ夢か。そう思ったのも束の間、その部屋にイチキさんが入ってきて俺に言った。


「貴方に対する人体実験は成功しました。気づいていないでしょうが、貴方はすでに超人的な身体能力を得ているんですよ。」


そうか、もう俺はそんな実験を受けた後なのか……

全然実感が湧かないな。


「イチキさん、俺は、この後どうすればいいんですか?」


俺がやらなきゃいけないのは【イーバヤ星人】を倒す事だ。人体実験はただの過程に過ぎない。

イチキさんは、俺に資料を見せながら説明をした。

資料には書かれていたのは廃墟のビルをアジトにして大量の違法武器を輸入・所持している【イーバヤ星人】の情報だった。


「こちらで把握している数は6体。奴らは武器の所持以外にも数々の誘拐事件を起こしています。」


資料をめくると【イーバヤ星人】についての記載があった。この国に来て、自分達の持つ技術を教えた事など

前回イチキさんが教えてくれた内容の他に


「ランク?」


俺は思わず口に出してしまった。

【ランク】ってゲームとかのアレのことなのか?

困惑している俺にイチキさんが説明をした。


「【イーバヤ星人】には、明確な序列と固有の能力があることがわかっています。それを踏まえた危険度を

1〜3の【ランク】で区別しているんです。」


なるほど、それはわかりやすくていい。今回の敵は6体全員が、【ランク1】つまり、一番弱い奴らってことか、俺は少しほっとした。

早速俺はイチキさんに案内され戦闘準備を整えに行く。俺は内心ウキウキしていた。宇宙人を倒すための兵器を開発してるって言っていたし、きっとハイテクなバトルスーツとか武器を装備させてくれるんだろう。そう思っていたからだ。しかし、俺が渡されたのは、顔を覆うマスクと動きやすいジャージそれと刀だった。


「えぇ……」


なんで兵器作ってるのにジャージ?

なんで刀?

せめて銃とかにしてくれよ……

俺はイチキさんのような真面目そうな人がひと笑いを

取ろうとしているのではないかと疑ってみたが……

まぁあり得ないな。


「イチキさんこれは一体?」


一応聞いてみた。


「その刀は、【イーバヤ星人】の技術を組み込んで作り上げた特殊なものです。

簡単に壊れたりすることもありません。」


見た目は普通でも中身はハイテクなものってことか。じゃあもしかしてこのジャージも……


「それは普通のジャージです。」


イチキさんは真顔で俺に言った。少し落ち込んでいる俺をみてイチキさんは肩に手を置き


「ダイさんはすでに人体実験を施され超人的な身体能力を得ています。」


そう励まされた。


そうだ俺にはすでに力があるんだ。あとは勇気を持って行くだけだ。

――――――――――――――――――――――

廃墟のビルの目の前へ到着した。

辺りは物静かで人一人もいる気配がなく不気味。

確かにここなら悪いことするアジトにはもってこいだよな。イヤホンからイチキさんの指示が来る。


「ダイくん。君の任務は、6体全てを排除することです。マスクに付いているカメラで状況を把握しながらこちら側で随時指示をしていきます。」


深く深呼吸をし、顔全体を覆うマスクを着けた。


「よしっ」


俺は廃墟の中を進んでいく。廃墟の周りも静かだったけど中はそれ以上に静かだ。息を殺して周囲を警戒しながら進んでいると3階から足音が聞こえてきた。ズシっズシっそんな重い足音だ。俺は3階へ上がり、足音のする方へ向った。廊下には血痕がそこらじゅうにあったが、それでも俺は、一歩ずつ進んでいく。足音は廊下の一番奥の部屋からしていた。廊下を進み、奥の部屋まで辿り着いた俺は、ゆっくりとその部屋を覗き込んだ。そこには、大量の武器を箱に詰めている4体の

【イーバヤ星人】がいた。

身長は、2メートル以上。頭が大きく、筋骨隆々で色白。目は二つあり白目がない。資料の情報通りだけど、初めてみる異質な存在に恐怖心が芽生えた。

怖い。帰りたい。ってか、今更だけどなんで俺がこんなことをしてるんだ?あいつらを倒せば元の世界に帰れるのか?いや、そんな保証はない。

そんな、自問自答をしているとイヤホンからイチキさんの声がした。


「ダイくん。今目の前にいる奴らが【イーバヤ星人】です。」


イチキさん声を聞いて冷静になった。ここまで来たんだもう引き下がれない。

俺は刀を強く握りしめ奴らの元へ飛び出ようとしたその刹那、自分の背後に【イーバヤ星人】が立っていた。激しい恐怖で体が硬直した。声も出ない。

その時、俺の頭に浮かんだのは死だけだった。

背後にいた【イーバヤ星人】は、まるでゴミを捨てるかのように俺を掴み、廊下へ投げ飛ばした。

天井と床に激突。ヒビが入るほどの威力で投げ飛ばされた。


「痛い……」


普通なら死んでいてもおかしくはない。だが、俺の体にはかすり傷がついた程度だった。立ち上がり自分が、人体実験で本当に超人的な力を手に入れたことを初めて実感した瞬間だった。

物音を聞いて部屋にいた4体の【イーバヤ星人】が出てきた。

1対5……そんな状況でも俺は、再び刀を強く握りしめ構えた。地面を強く踏み締め移動、瞬時に【イーバヤ星人】との距離を詰め胸の中心目掛けて刀を突き刺した。



読んでくださりありがとうございます。

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