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クロヌマという男について

俺の他に覚醒薬を投与された人がいたなんて初耳だ。


「あぁいた。そいつはクロヌマ・ケイっていってな

警官をやってたからか人一倍正義感が強かった。そこをイチキに買われて【グレジタンス】に入った奴だ」


その人が俺と同じく覚醒薬を投与された人なのか。

けど、今まで会った事もなければ話を聞いたことすらなかった。


「あの、その人は今何処に?」


「さぁな。クロヌマは正義感は強いがそれと同じくらい我が強い。覚醒薬の投与も周囲の反対を無視して行ったような奴だからな一人で行動してるんだろう」


全然心配されてないんだな。

もしかしたらクロヌマって人は【イーバヤ星人】(奴ら)にやられてるかもしれないのに。


「まぁアイツのことだ心配する必要はねえな」


「そのクロヌマって人をすごく信頼してるんですね」


「クロヌマは初任務で【ランク2】を倒した。」


「【ランク2】を!?」


「あぁそれも一人でな。人間性は全くだが強さと任務遂行能力だけ見れば信頼できるな」


ついこの間ナロの力を借りて俺はようやく【ランク2】を倒せたのにクロヌマって人は初任務で倒したって……どんだけ強いんだよ。

もしそんな強い人と共闘できれば【ランク2】だけでなくまだ出会ってない【ランク3】にすら勝てるんじゃないか。

ダイはそんな期待をまだ会ってもいない生死不明のクロヌマという人に抱いていた。


するとそこへ任務の知らせが入った。


「こんなタイミングで任務か……まぁ今日は色々話せて良かったわ。じゃあこれ連絡先。なんかあったら連絡してくれ。あぁ……それと……いやまた今度でいいか」


俺はマトバさんと別れ司令室へ向かった。

今回の任務は3人が廃校内に捕まっているとの情報。

前回同様救出が最優先の任務だ。


「私も一緒に行く」


急いで準備をしているとナロが声をかけてきた。

白衣の老人を倒せたのはナロのおかげだけどこんな幼い少女を危険とわかっているところには連れて行けない。


「何が起こるかわからないからダメだ」


「だからこそ私が力になる。1人の人間として。」


連れて行くわけにはいかない。

けど、ナロの気持ちも無駄にはしたくない。


「連れてってやれ。」


そこにはさっき別れたばかりのマトバさんの姿があった。


「マトバさん。でも……」


「その子についても色々聞いてる。特殊な力を持ってんだろ。今回の任務は救出が最優先……なら力がある奴が多い方がいいだろ」


マトバさんの説得とナロの気持ちを受け連れて行く以外の選択肢はなくなった。

ナロは顔を覆うフードを被り準備を整えた。

そして今回の任務先の廃校へ共に向かった。


――とある車の中――


そこには誰かと電話をするモリキがいた。


「例の話の答えをお聞かせください大統領」


「君が提案した囚人を使った人体実験だが了承はできない。」


「現在収容されている人間は約3万人。その命が価値あるものとして利用されるのだとしたら彼らにとっても名誉なことではありませんか?」


「……君らのやっていることには今まで目を瞑ってきていたがこの提案は規模が大きすぎる。それに我々は人の命を尊重しているからこそ君らに協力している。そのことを忘れてないでくれ。」


「そうですかわかりました。ではまた。」


モリキの表情は冷徹そうであったが提案を断られた事に怒りを感じているのか他に何かよからぬことを考えているのか定かではない。


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