とある会議室にて
俺はNo.6と呼ばれていた少女と共に【グレジタンス】本部に戻ってきた。
疲弊していた少女は精密な検査を受けた結果、脳への一時的なダメージがあったが休息とれば大丈夫だという。
俺の方は白衣の老人の毒霧を吸った影響か、体についた傷の治りが遅く少女と同様、休息をとるように言われた。
ふと、テレビを見ると昨晩の任務で白衣の老人が散布した毒霧により多数の死者を出した事がニュースで大々的に報じられている。
専門家やコメンテーターはアレをテロの可能性や工場で使われていた有害物質が漏洩したのではないかなど様々な意見が飛び交っていた。
一方ネットでは政府が秘密裏に行った実験が招いたものという意見の他に宇宙人の仕業ではないかというものまであったが陰謀論やオカルトの範疇を出ていなかった。
【グレジタンス】の人達は今回の事故処理の他にも
白衣の老人が言っていた【ランクX】について
少女の精密検査を通じて何かを得ようとしていたけど得られたものは少女の心臓が【イーバヤ星人】と同じ胸の中心にあるということだけだった。
今後の少女の処遇については検討中とのことで、少女に対して監視体制をとっている。
今まで俺は、【ランク1】しか倒していたかった。
少女のおかげで初めて【ランク2】を倒せたが【ランク1】と違って心臓を貫いても直ぐには死ななかった。
そのせいで多くの犠牲者を出してしまった。
俺は本当に何をやってもダメな人間だな……
「あの……」
そう声をかけられ振り返るとそこにはNo.6と呼ばれていた少女がいた。
「あぁ君、もう体は大丈夫?」
「はい、だいぶ良くなりました。あの……あの時、助けてくれてありがとうございました。」
「いや、それはこっちの台詞だよ。あの時、君がいなきゃ奴に勝てなかった。有難う……えっと……」
No.6と呼ばれていた少女には名前がなく何と呼べばいいか言葉が詰まってしまった。
「ごめん……なんて呼んだらいいのかな。」
「私、No.6としか呼ばれてこなかったから……
あっそうだ、お兄さんが私に名前つけてよ。」
「えぇっ⁉︎俺が⁉︎うーんそう言われてもなぁ……」
No.6、ナンバーシックス、ナンバーロク……
「じゃあ、ナロって名前はどうかな?」
「ナロ……うん、良いね、ありがとう!素敵な名前くれて!」
今まで番号でしか呼ばれてこなかった少女は自分だけの名前を貰い、とても嬉しがっていた。
――とある会議室――
そこには数人の政府関係者が集まっていた。
「昨晩、工場地区で発生した事故は、やはり【イーバヤ星人】が起こしたことで間違いないようですな」
「あれだけの死者を出すとは一体何を考えているんだ」
「全くですね。後始末する身にもなってもらいたい。」
「これでは、聞いていた話とは違いますね。モリキ君。」
「今回の件は私の指示によるものではありません。
恐らく工場地区を管理していたドクターSが何者かによってやられた結果だと思います。」
「【ランク2】がやられたのはこれで2回目。一体誰が……」
「普通の人間が【イーバヤ星人】を倒す事はまずあり得ないことです。【未知の力を宿した者】、あるいは【奴】がこの地球に来たか……
どちらにせよ対応を急がねばならないのは事実です。
ケント大統領、明日までに例の話の答えをお願いしますね。」
そう言い残しモリキは会議室を出て行った。
会議室に居る政府関係者はケント大統領が如何するのかを暫く見ているだけであったが、静寂に耐えきれなくなり1人が切り出した。
「大統領、このままでいいんですか?【イーバヤ星人】を野放しにして。」
それまで口を開かなかった大統領の口が開いた。
「冷静になれ、罪の無い人が巻き込まれる事も【イーバヤ星人】がやられた事もこれまでもあった事だ。【未知の力を秘めた者】……一体何処にいるんだ」
会議室はその場にいる全員のやり場のない感情で満ちているのだった。
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