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微かな光

白衣の老人は俺がどうすればいいか迷っている中で研究について話し出した。


「私……いや我々が行っているのはね人類を進化させる事だ。」


「進化?」


人を誘拐したり命を奪う事が進化だと……

何を言っているんだこいつは。


「そう、進化だ。そしてその一環として私が行っている研究は人間と【イーバヤ星人】(我々)のDNAを

融合する事なんだ。」


その研究のためにこの女性は誘拐されたのか。

女性の様子を見る限り、かなり酷い研究なのは確かだ。

進化とかいってるけど実際は人間を玩具のように弄んでるに違いない。


「その女が心配で話が入ってこないか。まぁいいそれはもう用済みだ。」


白衣の老人がポケットから取り出したボタンを押した。

すると女性の手首に取り付けられていたブレスレットのようなものが起動した。

途端、女性は呼吸が詰まるような苦しい声にもならない声を上げ苦しみ、目からは血を流し、口から泡が溢れて地面に倒れた。

俺は急いで駆け寄ったが女性は既に冷たくなっていた。


「なんて事を……!」


俺は怒り、再び白衣の老人に攻撃を仕掛けた。

が、やはり攻撃は当たらず反撃を受け吹き飛ばされた。


「勘違いするな。その女は無価値に死んだわけではない。」


怒りを逆撫でするように白衣の老人は言った。


「その女の細胞を使い10体の|【ランクX】を生み出す事ができた。まぁそのうちまともに動くのは4体程だがね。」


「【ランクX】……?」


「そう。【ランク2】と同等かそれ以上の力を秘めたまさに未知の力を持つ生物兵器の事だ。」


生物兵器だと。

奴が言っていた進化と一体何の関係があるのか。

何を企んでいるんだこいつは。


「ちょうどいい。君の戦闘能力とNo.6の戦闘能力を比較したい。戦ってみてくれ。」


白衣の老人はそう言い機械を作動させ扉を開けた。

中から幼い少女が此方に向かってゆっくりと歩いてきた。

【イーバヤ星人】(奴ら)のような身体的特徴はなく見た目は普通の人間と同じだ。

これがさっき言ってた【ランクX】なのか。

正直言って強そうには見えないが油断は禁物だ。

俺は少女を警戒し身構えた。


「No.6、彼と戦いなさい。」


白衣の老人がそういうと少女は、手を俺に翳した。

瞬間俺の体は何か強い力で押されたように吹き飛ばされ地面に転がった。

何が起こったのか理解する間もなく再び別の方向へ吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。

次の攻撃を何とかしてかわして反撃しなきゃ抗うことができずにやられるだけだ。

そう思い攻撃に備えていたが何も起こらない。

少女の方をよく見ると鼻血を出し地面に膝をついていた。

チャンスだ。

そう思い俺は間合いを詰め攻撃を仕掛けようとしたが

再び少女は俺に手を翳し、未知の力で俺の動きを封じた。


「動けない……」


全方向から圧力がかかり金縛りのように動けなかった。

少女はそこから何かをしようとしたが、力が持たず

地面に手を付いて息を切らしていた。

動ける様になった俺は少女との間合いを詰め攻撃を仕掛けたが、少女の姿は人間そのもの。

攻撃をすることができなかった。

その時、白衣の老人が不意打ちで俺を殴り飛ばし少女の前に立った。


「やはりまだNo.6(お前)はこの程度か……より強い恐怖を与えないと駄目かな。」


白衣の老人は少女を殴り踏みつけた。


「奴を倒せ。できなければお前を殺す。」


少女に対して浴びせられる強い言葉と殺気。


「はい……分かりました……」


少女は涙ながらに返事をして立ち上がり俺の方を見た。

涙を流したその表情は、俺に助けを求めている様だった。

白衣の老人と少女の関係は対等ではなく少女が恐怖で支配されているように見えた。

生物兵器とは言っていたがあんな幼い少女。

しかも涙まで流している。

本当に倒すべきは少女ではなく白衣の老人の方なのではないか。

俺は地面を強く踏み込み、少女との距離を詰めた。


「お願い……もう、戦いたくない……」


俺は少女が囁くような声で呟いた言葉を聞き逃さなかった。


「わかった、俺が助ける」


その言葉を聞いた少女の目から微かな光が溢れた。


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