白衣の老人
ダイが工場内に向かう数時間前。そこでは奇妙な会話が繰り広げられていた。
「実験体No.6の調子はどうですか?ドクター・S。」
「通常時は安定しているが力を使うと一時的な脳震盪が起こってしまう。まぁ7割成功といったところかな。」
「そうですか。では、引き続き実験をお願いします。」
数時間後、ダイは工場内へ侵入した。
ここで何かの実験が行われていたとは思えないくらいに工場内は錆びついており、人気も感じられない。
俺は急いで拉致された人を探すがどこにも見当たらない。
ふと、階段付近の床に目をやるとそこだけ錆がない事に気づいた。
俺は床の僅かな隙間に刀を入れ、テコの原理で床のタイルを剥がし、隠し扉を見つけた。
隠し扉を開けると地下に続く階段があり、俺は恐る恐るその階段を下って行く。
「何だこの匂い……」
俺の鼻を突き刺す化学薬品の匂いが漂っている。
きっとこの先に拉致された人がいるに違いない。
そう思い急いで階段を下るとそこには、如何にも怪しい実験を行なっていると言わんばかりの実験施設のような広い空間があった。
俺が辺りを見回していると奥の扉から白衣を着た老人が出てきた。
俺は急いで身を潜め、その老人が離れたところを確認してからその扉の中へ入って行った。
扉は廊下に繋がっていて、少し奥に進むと鉄格子の部屋があった。
中には資料に書かれていた拉致された女性がおり、俺は助け出そうと鉄格子の扉を開けようとしたが鍵が掛かっていたため、俺は強化された自分の肉体を使って鉄格子を破る事ができた。
「誰……?」
「えっと、俺は貴方を助ける為にここに来た者です。」
女性は俺を警戒している。
マスクつけた不審者が助けにきたなんて言っても信じてもらえるわけないよな。
「とにかく今は、俺と一緒にここから逃げましょう」
女性はなんとか俺についてきてくれるような感じにはなったが疑心は晴れてなかった。
俺はここに来るまでに白衣の老人以外の人に会っていない。
こんなところに人を拉致しているんだ「イーバヤ星人」が数体居てもおかしくはない。
不安な思いに駆られながらこの女性を工場から救助する事を考えていた時、女性が急に倒れた。
「大丈夫ですか!?」
女性は息を荒げていて、顔色もとても悪い。
直ぐにでも病院に診てもらわないといけないような状態に見えた。
女性は俺の肩を借り何とか立ち上がる事ができたが
足はフラつきまともに歩く事が出来ないでいる。
俺は、肩を貸しながら工場の出口を目指して行く。
早く……早く此処から出るんだ。
「おや、そこで何をしているんだ?」
いつの間にか背後にはあの白衣を着た老人が立っていた。
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