灼け残る君
風がほどける午前
誰もいない
昨日の夢が
靴底に貼りついて
歩き出す理由を
まだ探してる
君の声が
耳の奥で揺れて
「またね」と言った
あの瞬間だけが
やけに鮮明で
やけに優しくて
僕はまだ
そこに立ち尽くしてる
ねえ、終わりっていつから始まるんだろう
夕焼けが
あんなに綺麗だったのは 君がいたからだって
気づいたのは ずっとずっと後のことだった
手のひらに残る熱
遠くで弾けて
僕だけが
取り残されたようで
それでも
この街で
なんとか今を養ってる
僕はまだ
君の名前を歌にできない
まるで砂の城のように
波にさらわれて形を変えていく
見ようによっては
削っているだけかもしれない