Episode.00 『白より黒く、黒より白く』の世界
この章では、物語の背景世界に関する概要をご紹介します。
世界観や用語を補足的に知りたい方は、どうぞお読みください。
(本編だけを楽しみたい方は、次の話からでも問題ありません)
■物語の世界観
この物語の舞台は、突如出現した異形(鬼や妖)によって文明を喪失し、その生存圏を東京都の要塞砦に限定された近未来の日本です。
かつての文化や秩序は要塞砦の中にのみ残り、外界ではすべてが失われました。
人類の存続は、要塞砦の管理機構であり、異形に対抗する力を持つ者「戦将」を擁する神州維新府に委ねられています。
要塞砦にはおよそ1,000人が暮らしており、それ以外の残された人々は東京外界に点在して生存しています。
■戦将について
神州維新府において、異形との戦闘の中核を担うのが「戦将」です。
彼らは以下の特別な工程を経て、その力を手にします。
●戦将になるまでの道のり
志願と検査:
志願者はまず採血によって霊統因子との適合性を調べられます。
面談:
神州維新府の理念に反していないと判断されれば、司令部から許可が下ります。
縁の装着と投与:
右手首に「縁」と呼ばれる腕輪を装着し、体内に霊統因子を投与されます。
この工程は激しい痛みを伴い、多くの者が意識を失うほどです。
戦武の選定:
戦武保管室にて、自身の戦武を探します。
他人の戦武に触れると拒絶反応で意識を失うため、厳重な注意が必要です。
認定と任命:
これらすべての工程を経た者は、正式に戦将として認められ、「武人」という役職が与えられます。
■戦将を支える力
霊統因子:
戦将の内面から肉体を強化する特殊な因子です。
外見に変化はありませんが、定期的な投与を怠れば命に関わります。
縁:
右手首に融合装着される腕輪で、体内で霊統因子を循環させる装置です。
改良された現代の縁は、電脳空間での訓練用ポート、通信機能、バイタルモニターなどの機能を備えています。
戦武:
歴史上の偉人の魂が宿る武具です。
戦武は自我を持ち、生前の記憶と現代の知識を保持しており、全盛期の年齢であるため、老若男女さまざまな個性で存在します。
刀、槍、火縄銃、扇、茶器、筆など種類は多岐にわたりますが、使用者の血筋によって決定されるため、自分で選ぶことはできません。
●戦将と戦武の連携
戦将は常に自身の戦武の「声」を頭の中で聞いています。
他人の戦武の声は一切届きません。
戦武と戦将の利害が一致した際には、「以心伝心」という状態となり、肉体の主導権を戦将が戦武に一時的に譲り渡すことも可能です。
●機動隊の制服
戦将は昼夜問わず出動します。
夜間に活動することが多いため、制服は目立たない黒を基調としています。
ジャンプスーツ:
刃物を通さず、衝撃を吸収する構造です。
陣羽織:
背中には「神州維新府」の文字が金色で印刷されています。
ロングブーツ:
20mの高さからの落下にも耐える着地構造を備えています。
革手袋:
戦死者や負傷者の戦武を回収するため、着用が義務付けられています。
■神州維新府の組織構造
神州維新府は、人類存続のための複雑な組織体系を持っています。
●司令部:
神州維新府の意思決定を担う中枢であり、総勢7名で構成されます。
会議を通じて意見が交わされ、最終的な判断と決定権は総大将に委ねられています。
総大将:
神州維新府の最高責任者です。
戦場、人命、秩序、未来など、あらゆる決断をこの一人が背負います。
目付:
総大将の補佐役を務め、平時は情報の整理・調整を、有事には指揮権を代行します。
副大将:
各部門の責任者として、以下の役割を担います。
-人事担当:
戦将の適性判断、配属、昇降格の監督を行い、「縁」の申告も受け持ちます。
-情報担当:
異形や外部の脅威を調査し、要塞砦周辺の警戒情報を管理します。
-作戦担当:
作戦の立案と指示を行い、大将と密に連携します。
-物資担当:
物資の確保と補給、整備支援を一手に担います。
-開発担当:
戦武補助装置や異形対策の研究を推進し、長期戦体制を築きます。
●機動隊:
異形を退治する部隊で、現在24部隊が存在します。
各部隊は大将1名と武将3名の計4名で編成されます。
-大将:
前線で戦いつつ、部隊の指揮も執ります。
-武将:
大将に従い、前線で戦闘を行います。
戒将:
神州維新府内部の秩序を守る存在です。
司令部から取締りと取調べの権限を与えられています。
戦武が「扇・茶器・筆」の者は訓練が免除され、戒将に特化した学習を行います。
武人:
電脳空間での訓練をすべて終えた戦将は、面談を経て機動隊または戒将へ配属されます。
統将:
戦将としての力を失った者や、負傷により現役を退いた者に与えられる役職です。
かつての名誉を損なわぬよう、「元戦将」ではなく「統将」という敬称が用いられ、警備などを任務とします。
■主な登場人物
●勢力: 神州維新府
名前: 神城崇真
年齢: 16歳
性別: 男性
戦武: 二振りの刀(宮本武蔵)
備考: 本作の主人公。戦将に志願する際、自らの名を「信条崇真」と改めています。
名前: 片岡凌介
年齢: 18歳
性別: 男性
戦武: 扇(竹中半兵衛)
備考: 半兵衛の行動から学ぶため、以心伝心で肉体の主導権を委ねています。
●勢力: 中立
名前: 名無し
種族: 鬼
武器: 刀
備考: 「夢幻」と名乗る中立の鬼。斬るに値する強者を求め、その出現を待ち望んでいます。
●勢力: 敵対
名前: 異形の主
種族: 不明
能力: 使役した異形に力を与える。
備考: その姿も目的も、今はまだ誰も知りません。