表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
事件は現場とネット  作者: ゆうき
第1章:始まりの息吹
14/42

魔研

灰色の空の下、郊外の森を抜けた先に、それはぽつんと佇んでいた。

 蔦が絡まり、半分崩れかけた鉄骨の建物。看板は既に外されており、建物の壁面には風雨で剥がれたペンキの痕だけが残る。

 「――この研究施設、“桐原医薬研究所”って名前だったらしい。十年前に閉鎖。理由は不明」

 車の中で、葵がノートPCを開きながら呟く。

 「薬事法違反で強制捜査受けたとか、動物実験で炎上したって噂もあるけど、正式な記録はどこにもない。ほんとに“消された”感じ」

 本郷は助手席で黙って頷き、拳銃のホルスターを確認している。

 後部座席で防寒ジャケットを羽織りながら、樹は目を細めた。

 「……橘が話してた“向後がいた場所”の一つがここだとしたら、確かに消されてもおかしくない」

 「気をつけて。中は電源も通ってないし、セキュリティも壊れてるけど――“人の痕跡”はある」

 葵がPCを回転させて見せると、そこには数日前にアップされた匿名の写真投稿。瓦礫の中に残されたケーブルや、新しめの足跡の写真が並ぶ。

 「場所が特定できたの、ラッキーだったね」

 「ラッキーじゃない。誰かが“見つけさせようとしてる”。そう考えるべきだ」

 本郷が車を降りながら静かに言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ