めあての人物
3.
― 手伝い 情報その1 ―
港をみおろす高さにあるその店は、朝から酒を飲んだり、朝食をたべる人たちでにぎわっていた。
警備官A班の男たちは、ジュリアとレイがつくってくれた朝食を腹につめてきたばかりなので、店の外のシェード下の席につくとジュースをたのみ、目当ての人物の手がすくのをまった。
「 ―― ねえ、あんたたち、観光なのにどうしてアランといっしょなの?仕事なかま?」
その目当ての人物がジャンの横にたち、追加でなにか食べないかとメニューをルイに差し出した。
「 まあ、友達なんだ。それでこの島にもあそびにきてる」
「ああ、そうなの。ちょっと、この島で目立ってるわよ」
ジャンのこたえを素直にうけたっとその女は、忠告ではなく、いい意味ととれるような笑顔をみせた。
そりゃうれしいね、と受けたルイが、メニューにあるワインを一本注文してから、「この島は、 ―― 楽しい?」とふくみをもたせる間をとってきく。
「『楽しい』わよ。海にかこまれてるなんて最高」
「でも、遊べるところなんてないだろ?海の遊びは限られてるし」
いつものゆったりとしたしゃべりかたを強調するような発音でルイはきく。
どうやら、『海があまり好きではない観光客』という路線で行くらしい。
陽に焼けた女は『お気の毒』というように肩をすくめた。
ジャンがあとをひきつぐ。「 なんかさあ、アランが諸島の中でもこの島をいちばん推すからみんなできたんだけど、まあ、泊まってるばしょはいいとしても、あとは海と畑ぐらいか。一緒に来てるやつがレストランにつとめてるんで、農家とか漁師にも会ったけど、若いやつがほとんどいないよなあ」いかにも、『なにかものたりない』という顔をしてみせる。
「泊まる場所って・・・ああ、ジュリアのところに泊まってるのね?なるほど、アランの友達っていっても、あんた、『上流階級』なのね?」返されたメニューで、ルイをさす。ルイはただ、いつものおだやかな笑みをうかべてみせた。
「なるほどね。いくらアランが紹介したっていっても、あのばあさん、よっぽどじゃないとあの屋敷に入るのも許さないもんね。あたしなんか、玄関どころか、裏の台所口までしか入れてもらえないもの。 ―― ふうん、そうなの。金持ちの旅行だと、海があっても楽しくないのね」
ばかにしたような顔で、ワインを持ってくるわ、と女は店の中へもどっいった。