表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A班 (外)ファイル ― 人魚は楽器を弾かない ―  作者: ぽすしち
8. お知らせします

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/38

建物に明かり


「 親父がいうには、ここの海にはいらなければ大丈夫だろうってことだったよ。どうやら、《人魚》ってひとくちにいっても、種族がいくつかあるみたいでね。このところどの種族の噂もきかないって、なんだかさびしそうだったけど」


 ルイがはなすあいだ、ザックはアランをみていた。


 警備官たちにとって、『魔法使い』とか『魔女』なんて、仕事でつきあいのある相手も、この《探偵》にとっては、《昔ばなし》や《おはなし》の登場人物だろうし、だいたい、『人魚』なんていうのは、ザックだっていままで会ったこともない。


「おいおい・・・」ここで思った通り、アランが眉をよせてこまったようなわらいをうかべた。「・・・このあたりの人魚は、むかしは歌で漁師をおぼれさせるって・・・そ、うか・・エレノアか!あいつ、人魚なんだな?くっそ、おれがイメージしてたのとだいぶ違うじゃねえか。あんなんじゃ王子と恋なんてできねえだろう」

 アランはこぶしで膝をたたき、「じゃあホセは、」と顔をあげた。


「残念ながら、捕まったみたいだね」ルイがゆっくりうなずく。


 どうやらアランは探偵むきでない純粋な素直さを持ち合わせているようだとザックは感心してしまった。

「じゃあさ、『捕ま』って、海に連れていかれたのかな」

 ザックが首をまげると、中庭にでるためのおおきな窓がタンタンと音をたてた。みんながいっせいにみると、半分ひらいた窓に挟まるようにして白いタキシード姿の男が立ち、こちらに首をつっこむと、「あのさ、島の建物にあかりがついた」とだけいって、また窓をしめた。


「誰だ?」

 アランがたちあがったときにはもう、男の姿は消えていた。


「ルイの親戚だよ。すっげえ目がよくて、フットワークが軽いんだ」

 ザックとしては、この《探偵》になら、あれが『魔法使い』に仕える《白いカラス》だと教えてもよかったのだが、アランのためにも、やめておいた。



 この世界に、自分がおもってるよりもたくさん知らないことがあるのに気づくのは、一週間に一度だって多すぎるとザックは考えている。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ