店の中
店の中はきれいに整えられ、すぐにも開店できそうな状態のままだった。
「猫、どこだよ?」
ザックは念のためきいてみたが、空耳だった、とかるくケンにかえされる。
「裏のドアがあいたままだ」正面を壊すことなかったね、とルイが報告しにくる。
「店の奥の在庫置き場に、防水シートが広げられてるし、切り取られたロープもある」
ジャンが《警備官》の仕事用である小型の懐中電灯をとりだし、あとは二階だな、と階段の上をてらした。
「 っ おっ ・・・リビア?」
ライトの丸い明りの中には、オリビアが立ち、階段の下にたまる男たちをにらんでいる。
「あんたたち、 ―― いったいなんなの?ここはホセの店だよ?不法侵入ってことば知らない?」
「 あー・・・おれたちは、その、なんていうか」ジャンはついクセで、仕事中腰に携帯する対人用の棒をさがした。
「いくら上流階級だからって、人の家に勝手にはいっていいってことにはならないんだけど、しらなかった?」女は階段の上から動かない。
「そっちこそ、どうしてここにいるんだよ?」ザックがジャンの前にでた。
「あたしは、エレノアからこの家の鍵をもらってるからよ」パンツのポケットからだしてふったその金属がきらきらひかる。




