昼飯の時間
《警備官》A班で働くザックたちは、島に旅行にきた。設定ゆるふわ。薄目でご覧ください。。。
それはいまも、
海にしずむ。
――――
1,
― 昼飯を食べに行こう ―
「・・・ほんとかよ・・・」
腕の時計を確認したザック・アシモフは絶句した。
時刻はまだ昼前だ。それなのに、レストランのこの込み具合はなんだ?
「観光客だよ。この店は観光案内にものってるし、でかい看板もたててるし、定期的にメッセージのページもつくってるし、客あつめがうまいんだ」
この島を案内してくれている男は、客のあふれたそのレストランを横目にみて、先をすすむ。
「え?昼飯じゃねえの?」
ずいぶんまえから腹が減っている若者は、そのレストランからもれでる海鮮を焼くいいにおいから、はなれられない。
「なにも、こんな混んでるところで食わなくてもいいだろ?」
案内役の男がふりかえり、キャップのツバをつまみ、なおすふりで首をふった。
「うまくねえってことだろ」
ザックをおいぬきながら、まぶかにキャップをかぶるケンがにやけた顔をみせた。
「いや、そうじゃなくて。この島はどこで食ってもうまいんだって。ただ、混んでるときは避けた方がいいってだけで・・・」
案内役があわてたようにつけたすと、すぐ横をあるくレイがわらいながらうなずいた。
「どのレストランもおいしいってことはわかってるよ。アランのおかげでほとんどの店をまわれたし、漁師や生産者とも会えて、満足してるんだ。ありがとう、アラン」
それに安心したように微笑み返したアラン・マーシュは、この島が集まる地方で『探偵』という仕事をしている男で、すこしまえにレイが人生初の船旅を楽しんだときに、知り合い、今度のこの旅の案内役をかってでてくれた《ひとのいい探偵》だ。
そしてその《探偵》にひきつられてあるいているこの男たちは、この島の本島がある州内で(レイをのぞいて)《警備官》という仕事についている。
ザックはこの仕事について二年目になる新人で、《警備官A班》に所属しており、じぶんはツイていると思える前向きな性格だ。
じぶんが食べるのも、ひとに食べさせるのも大好きなレイは、レストランに勤めていて、ザックが所属する警備官A班の班長であるバートの婚約者だ。
この旅行はそんな彼が人生初の(年上の)友達と楽しんだ船旅で、アランとしりあい、その《探偵》がなわばりとする諸島方面を、みんなにも楽しんでほしいというレイのひとことで、実行に移されたものだ。
レイたちの船旅は、アランも《探偵》として関係して、船内でいろいろ《おもしろいこと》があったらしいのだが、詳しい話をきこうとしても、レイは教えてくれない。いっしょに船旅をした、友達である《警察官》であるマイクと、おなじレストランに勤めるケビンとの、三人の秘密だと、たのしそうに肩をすくめるだけだ。
だがじつは、マイクが(酔ったときに)レイの肩を抱きながら誇らしげにいろいろしゃべってしまったので、警備官たちはなにがあったのかをだいたい把握しているし、レイの婚約者であるバートなど、夜勤明けのマイクを軽く監禁して、すべて聞き出しているようなので、レイたちがのった船に『幽霊』がのっていた、という確実な事実だけはみんな認識している。