蘇生少女レイ、ママを助けて、お姉ちゃんになる。
どうしようこのままじゃ、ママが死んでしまう。
透明な液体が家の床に広がる。
倒れたママから漏れている。
なんでこんな時に限って、魔獣が街に入り込んでんのよ。
魔獣の影響ですごく寒くなって、本来暖かい地域なのにママは冬眠しかけているし、パパは討伐のために家にいないし、魔獣が危ないから、家から出て病院に行けない。
ママを失うなんていやだ。いやだ。
ママを助けてわたしはお姉ちゃんになるんだ。
倒れたママに毛布を欠けてさすりながら必死にママの背中をなぜ出て方法を考えようとするけど、思いつつかない。
子供のわたしじゃママをベッドにすら運べない。
魔獣さえいなければママは今頃病院にいたはずなのに。
こわい、ママを失うのが、弟か妹を失うのが嫌だ。
恐さと涙で息が苦しい。
視界が暗くなる。
「危機的状況と判断し、パックを解除します。」
『パックを解除』?
思い出したわたしは魔法が使えるんだ。
魔力を纏い、筋肉を強化して、体を成長させた。
この七年間魔力が溜まったおかげで前の姿、十四歳の姿に戻れた。
ママを優しく持ち上げ、ママのベッドにのせる。
子供だった時の自分の服はきついから破り捨てて、ママの服を拝借する。
「ママ、今から病院に行こう。」
「だれ?うゔ」
ママを背負い、さらにその上から毛布を巻きつけた。
ママのスリッパを拝借する。
魔法でママを温めながら、わたしは病院に向かって走った。
「シバ、オン。病院への最短ルートを教えて」
「最短ルートは、筋肉強化して、植木鉢を足場に向かいの家の屋根に飛び乗って、屋根伝いに飛んでいけば、最短で着きます」
シバが目の前に現れてわたしが飛び移るべき屋根を教えてくれる。
なんとか病院に着いたあと、ママの担当医にママを渡した。
無事、分娩室に入って行ったママを見送った。
わたしは病院を出て街に向かった。
遠くでは、パパと仕事仲間の冒険者さんたちが魔物とたたかっている。
助けないと。