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ひとりぼっちの精霊使い

作者: 成瀬なる

幼い頃から、見えていた。

この、きらきらした、おねーさんたち。

火の精霊、イグニス

水の精霊、アクア

風の精霊、ヴェントゥス

土の精霊、ソーロ

木の精霊、リグナム

そして時々楽しそうにこちらを見てくる双子のおにーさんたち。

時の精霊、テンパス

空の精霊、ローカス


よく一緒に遊んでくれたのは、アクアおねーちゃん。一緒に水浴びをして、びしょ濡れになって。おねーちゃんは濡れないの、ずるいなーって思ったら、いつのまにかおねーちゃんもびしょ濡れになってた。

おねーちゃんはびっくりしてたけど、にっこり笑って私の頭を撫でてくれたっけ。


ぱっと見は怖いけど、でも不器用なだけでとっても優しい、イグニスにーちゃん。最初、おじちゃんって言って悪いことをしたなって思う。

びしょ濡れになった私たちを優しく乾かしてくれた。おにーちゃんが操る火っていうのは使い方によっては危ないってことも、おにーちゃんが教えてくれた。


お父さんとお母さんに見放されてもお腹が空かなかったのはソーロじいちゃんとリグナムばあちゃんのおかげ。

ばあちゃんはおいしい果物をいっぱい木に実らせてくれたし、じいちゃんはお野菜をいっぱい地面から生やしてくれた。

なんとじいちゃんは、どこから持ってきたのかわからないお肉までくれる時もあった。どこから持ってきたの?って聞いても、答えてくれなかったから、聞いちゃいけないのかなって思って聞かなかった。


気まぐれなヴェントゥスさんは、あっちへ行ったりこっちへきたり。面白い話をいっぱいいっぱい聞かせてくれた。私の世界が広がったのは、ヴェントゥスさんのおかげ。

面白い異国の話。怖ーい裏町の話。果ては近所の噂話まで拾ってきちゃうんだから、ヴェントゥスさんは絶対敵に回したくない。でもとっても面白くて、優しい人。


テンパスとローカスの兄弟は遊び相手になってくれた。おねーちゃんも遊んでくれたけど、同い年くらいの子と遊ぶのはやっぱり特別。

ローカスってね、かくれんぼすっごくうまいの。だって私もテンパスもおねーさんも見つけられなかったんだもん。

テンパスと話しているとあっという間に時間が経っちゃう。寂しい時も楽しい時も。

お母さんに殴られて泣いていた時も。お父さんに蹴られて青あざを作った時も。テンパスと話すとあっという間に元気になって、傷も跡形もなく消えちゃうの。すごいよね。


いっぱいいっぱいお友達がいたの。だからね、寂しくないの。お父さんもお母さんも私のこと、見てくれなくても。だれも、にんげんのお友達がいなくても。

だから、寂しく……ないよ。

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